人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/エクソシスト

アマプラで観た映画シリーズです。
1973年制作、アメリカのオカルト映画の金字塔です。

 

 

 

 


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【あらすじ】
一人娘・リーガンとふたりで暮らす女優・クリス。
ある日突然、リーガンの様子がおかしくなる。暴れて卑猥な言葉を吐き、拘束が必要な状態にまで陥る。
あらゆる医療をもっても原因すら分からない。クリスは、神父による『悪魔祓い(エクソシズム)』を頼る。

 

【ひとこと感想】
神に祈りたくなるのに神は不在だった、絶望からの救済ドラマ。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①リーガン役の怪演と名演
②多くの『神に祈りたくなる』場面
③しかし神は不在だった

 

【①リーガン役の怪演と名演】
悪魔に取り憑かれた少女・リーガンの中の人の演技がとにかくすごい。

冒頭は、無邪気で明るいけれど母親は忙しくて父親は無関心、遊び相手が乳母しかおらず、『キャプテン・ハウディ』という日本でいうコックリさんで遊ぶ孤独な少女の顔と、
世にも醜悪で嫌らしい表情の悪魔憑きの顔を、見事に演じ分けていられました。

エクソシスト』といえば、いくつもの名恐怖場面が浮かびます。
180度回転する首、スパイダーウォークと呼ばれるブリッジ状態で階段を下りる動作、ポルターガイストや空中浮遊。

それらのどれよりも恐ろしかったのは、リーガンが医療的な検査を受ける場面です。
小さな女の子が頸動脈に細い管を刺されて血を抜かれるのは、観ていて自分の首を押さえるほど痛々しい。

間違いなく、リーガンこそがこの作品の立役者でした。
(当時14歳と知って驚きました)

 

【②多くの『神に祈りたくなる』場面】
悪魔祓いをする神父はふたり。

年老いた、悪魔祓いの経験が豊富なメリン神父。
信仰を失いかけ、最初は精神科医として接しようとするカラス神父。

カラス神父は、病気の母親が精神病棟に収容され、孤独死させてしまいました。
病院内は、同じように正気を失ったあるいは失いかけた人たちが、(言い方は悪いですが)ゾンビのように徘徊し、カラス神父の元へ集まってきます。
まるで助けを求めるように、何かを訴えるように。

凶暴化するリーガンに振り回されるクリスの場面も重なって、

これは、
神を信じない人間でも、
神に祈りたくなる場面だ。

と、つい思いました。

前触れなしに変わってしまった娘を間近で目にする恐怖。
けれど誰にも頼れない。
自分を育ててくれた母親が弱り、動けなくなるのを見せつけられる恐怖。
けれど自分には何もできない。

地獄とはこういうものだ、と容赦なく突きつけてきました。しんどい。

 

【③しかし神は不在だった】
結果的に悪魔祓い――神の力を借りて解決しようとしますが、残酷にも提示されたのは、

「神の不在」

でした。

何故だ。悪魔がいるなら神もいるはずなのに。
長年神に仕えてきたメリン神父は、志半ばで命を落としました。
神がいるなら敬虔なしもべ(※作中使用語)である彼を何故死なせるのか。

残されたカラス神父は、決定的に神に絶望し、目の前の悪魔に怒りをぶつけます。

 

カラス神父:「俺の中に入ってみろ!」

 

そこからの1分以下の短すぎる展開は、
これまでの長い試行錯誤が幻のように、理想的な結末――「リーガンを助ける」を叶えました。

 

【まとめ:信仰の推定正体】

「カラス神父は自分の中の神に従った」

と考えると少々陳腐かもしれません。

けれど、結局『信仰』とはそういうことなのかもしれない。

そもそも神様に何かしてもらおうと考える方が間違ってるのかもしれない。

よく『神様は人間に乗り越えられない試練は与えない』と聞きますが、あれは、

( ・ω・)<そう思わないとやってられない。

ということなのかもしれません。

 

……かもしれない論が多すぎ問題。ゲシュ崩起こすわ。
オカルト映画の金字塔は、神の存在への疑問を呈示するものでしたってことです。


ひとつだけ確かなのは、メリン神父もカラス神父も、最期まで戦って、弱さにも悪魔にも負けず目的を果たして、少女を救ったという事実です。
それだけは絶対に間違いない。立派な生き様のヒーローでした。

 

【余談】
さて今回の鑑賞で思わず緑色のスライムを吐きそうになったのが、

アマプラ版にはスパイダーウォークがなかった。

でした。最後まで見て目玉飛び出た。
あの死ぬほど有名な場面は、ディレクターズ・カット版で観れるそうです。
まじすか。そんなマニアックなのに代表的場面扱いされるのすごいな。

ちなみに何故カットされたかと言うと、「なんかうまく合わない気がしたから(※要約)」だそうです。ぐぬぅ。

そして、リーガンの部屋が終始寒そうだったのが印象的でしたね。
部屋の中なのに吐く息が白いのが異質でした。

 

 

次回は3月28日月曜日、
2014年制作、フィリピンのドールホラー映画、
『生き人形マリア』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗

ホラー初心者にもおすすめ、絶対面白いホラー映画6選!

こんにちは。

( ・ω・)<鳥谷です。

 

本日3月19日ミュージックの日、
4年前の今日、鳥谷綾斗のデビュー作が発売されました。

 

j-books.shueisha.co.jp

 

 

 

 

その節は購読をありがとうございました。
心より感謝申し上げます。

さてこちらは、高校のホラー映画研究部にサイコメトリストの教育実習生がやってきて色々大変なことが起こる物語なのですが、完全に『ホラー映画』のイメージで展開を考えました。

つまりホラー映画がなければこの物語は生まれなかったわけです。

その感謝を込めて今日は、当ブログ(ただの浮かれポンチキなホラー好きが鑑賞したホラー映画の話をのんべんだらりんと話すだけの場所)初の試み、

 

『ホラー初心者にもおすすめ、絶対面白いホラー映画6選!』

 

というテーマで記事を書きたいと思います。
邦画と海外作品3作ずつです。

( ・ω・)<それではスタート!

 

 

邦画編

 

filmarks.com

 

【①降霊】
主人公は幽霊が見える主婦。
誘拐事件の心霊調査を依頼されるが、被害者の少女はなぜか主人公の夫の荷物から発見されて……

鳥谷の感想はこちら
ビックリ要素のない、ただそこにいるだけの幽霊を堪能、そして『霊能力者』を疑似体験できます。

恐怖度/✩✩✩
驚き度/✩✩
グロ度/ほぼゼロ。(精神的にはグロい)

 

 

 

【②輪廻】
主人公は売れない女優。
二十数年前に起こった大量殺人をテーマにした映画のヒロインに抜擢されるが、その日から複数の幽霊につきまとわれる。
大量殺人の現場だったホテルで映画の撮影が始まり……

呪怨』の清水崇監督の作品です。
どんでん返しあり。イヤミスならぬイヤホラなラストは必見です。

恐怖度/✩✩
驚き度/✩✩✩
グロ度/✩✩

 

 

filmarks.com

 

【③感染】
うらぶれた病院を舞台にした群像劇。
問題のある医者と看護師しかいない病院に、瀕死の重傷者が運び込まれ、戦慄の一夜が始まる。

Jホラーで一番面白くて一番怖い作品です。(異論は認めるし議論は歓迎)
「こんな病院は嫌だ」な舞台設定、ナチュラルに狂ってる登場人物たち、不気味さ、不穏さ、悪い方へ悪い方へ向かう展開、すべてが強烈で印象に残る。

作中で看護師が 「はい、でも、おなかが空いちゃって」 と『あるもの』を食う場面があるのですが、一生忘れられません。
ありがちに人肉ではないです。というか、『人肉を食べる』ってホラー映画においてはそこまで怖くないんだなと思いました。

 

恐怖度/✩✩✩
驚き度/✩✩✩
グロ度/✩✩✩✩✩(「痛ぁ!」と叫びそうになります)

 

 

 

海外編

 

 

 

【①新感染 ファイナル・エクスプレス】
韓国作品です。
主人公は冷徹な父親。
幼い娘を母親に会わせるため特急電車に乗ったら、大量の『不死の死者たち』に襲われる。

自分の感想はこんな感じ。泣いています。
走るゾンビという飛び道具に、ベタだけど万人の心に響くヒューマンドラマを掛け合わせた奇跡の作品。
続編も泣くので観てください。

恐怖度/✩✩
驚き度/✩✩✩✩
グロ度/✩✩✩

 

 

 

【②ドント・ブリーズ
アメリカ作品です。
主人公は家を出るために大金を求める少女。
大金を隠し持っているという盲目の老人の家に忍び込むが、恐ろしい強さを持つ老人に反撃される。

自分の感想はこんな感じ。ガッツポーズとってます。
冷静に狂っている殺人鬼を堪能できます。
続編は泣くので観てください。

恐怖度/✩✩✩
驚き度/✩✩✩✩✩
グロ度/✩✩

 

 

 

 

【③ゲット・アウト
アメリカ作品です。
主人公は黒人の青年。
白人の恋人の家に挨拶に赴くと、歓迎されたが、彼女の家は 何かが 変だった。

自分の感想はこんな感じ。この作品でブラムハウスの虜になりました。
アメリカホラーで面白い映画は大体ブラムハウスです。これだけ覚えていれば間違いありません。

恐怖度/✩✩✩
驚き度/✩✩✩✩✩
グロ度/✩✩

 

いかがでしたか?

邦画に比べて海外編は有名どころばかりな気がしますが、未見でしたら、ぜひご覧ください。

 

……。

 

( ・ω・)<以上です。

なんかそれっぽいブログを目指してみましたが難しいものですね。
いまだに、

 

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哀愁の替え歌

 

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哀愁の叫び



みたいな心境ですが、これからも宇宙の片隅で「ホラー」というものを小説で、そして感想で語っていこうと思います。

次の感想記事は『エクソシスト』の話をします。
今年は金字塔と呼ばれる作品も改めて触れたいなあと思います。

そしてもうツタヤで、『OLD』『キャンディマン』『リカ』『マリグナント』のレンタルが始まってるし、来月末ごろには『アンテベラム』もありますし。忙しい。現代のホラー好きは忙しい。

ではまた次回の記事で!

 

鳥谷綾斗

映画/パラサイト 半地下の家族

アマプラで観た映画シリーズです。
2019年制作、韓国のブラックコメディスリラーです。

 

ちなみに2回目の視聴です。いやー楽しかった。

 

 

 

 


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【あらすじ】
家族全員失業中のキム一家は、半地下の家で暮らしている。
ある日、長男のギウは友人から家庭教師の仕事を紹介される。
ギウは身分を偽装し、高台の豪邸に住むパク一家の元へ行く。
キム一家は、あの手この手でパク一家に『寄生』しようとするが……?

 

【ひとこと感想】
起承転結の『転』が本当に『転』、前半後半の温度差が凄まじい激重ヒューマンドラマ。

 

※全力ネタバレです。
※未見の方は頼むから先に観てください。

 

【3つのポイント】
①『起』と『承』は軽妙なテンポのコメディ
②『転』で転がり落ちる。
③凄惨すぎる『結』。

 

【①『起』と『承』は軽妙なテンポのコメディ】
映画の脚本は基本的に『序破急』なんですけども、こちらは完全に『起承転結』でした。

ギウが家庭教師となってパク家に入り込むのを起点に、妹のギジョンは美術系の家庭教師、父のギテクは運転手、母のチュンスクは家政婦として、策を弄して侵入します。
具体的には 🩲パンツ🩲 と 🍑🍑 を使って。

( ・ω・)<よくもまあこんなペラペラと嘘が出てくるな???

と感心しました。
一連の流れが実に秀逸で、

人物描写=『キム一家は決して能力が無いわけではない』
状況描写=『それなのに貧困に陥っている』

という2種類の描写が表現されています。
計画性が無いと自認する家族が、とんでもなく大胆で繊細な『計画』を立てて、どんどん成功して目的を達成する様は観ていて非常にワクワクしました✌️

 

【②『転』で転がり落ちる】
主に奥様のヨンギョの天然っぷり(※オブラートに包んだ表現)のおかげで、見事に侵入を果たしたキム一家。

ある日、パク一家は息子のダソンの誕生日にキャンプに行き、母が留守を任されたのをいいことに、キム一家は家族水入らずでバカ騒ぎをします。

そこへ現れたのが、一家が桃で追い出した前任の家政婦・ムングァン。

はい、ここから急『転』直下です。
ここまで見事な起承転結の『転』はそうそう無いです。

今まで見てきたものが一気に流転するこの感じ。

その時の正直な気持ちを一部抜粋。


「人感センサーちゃうんかったんかい……!」

「ああそうか……韓国ってその家に住んでいる人の姿絵を飾るもんね……」

( •᷄ὤ•᷅)<えぇ……(混乱)

そしてコメディからも一転。
今までじわじわと、画面の端で描写されていた現代の格差社会を目に焼きつかせようとします。

キム一家は一気に転がり落ちます。

高台の綺麗で安全で清潔なお屋敷から、汚物まみれの下水が逆流した、生活スペースよりもトイレの位置の方が高くて便所コオロギと一緒に消毒される半地下の住処に。

本人たちには自覚できない、古い切り干し大根のような煮出した布巾のような、地下鉄の乗客からよく感じられる、何とも言えない『におい』が体に染み込む半地下に――ほうほうの体(てい)で帰っていきました。

……ここでキム一家とパク一家の間に、決定的な亀裂が入ってしまった、と思いました。
それと同時に、『貧』と『富』の圧倒的な差を見せつけられました。

キム一家とムングァンたちの壮絶な(面白いけど)スマホ争奪バトル、パク一家はたった一本の電話で終わらせたのです。

 

ヨンギョ:「チャパグリを作れますよね?」

 

このセリフがまた凄絶。

普通ならここ、「今から帰るけど」という前置きがあるはずなんですよ。「キャンプは中止になったので帰る。夜食を作っておいて」みたいな。
なのにヨンギョはごく普通に、要求だけを端的に言った。怖い。

ものすごくアホみたいだけど必死で、どこか切なく、そして身につまされる『貧乏人』どもの争いを、『金持ち』は強者の余裕で、完全に無意識で「そっちの都合なんて知ったこっちゃねえ」とストップさせる。怖い。

 

ヨンギョ:「すぐお湯を沸かしてね。ファイティン!」

 

素で、万事が自分の思うとおりに(※『思い通り』ではないのがポイント)なると考えている。本気で怖い。

チャパグリやソファでのイチャつきで、「富裕層も貧困層も結局は同じ人間だ」というのは表現されてましたけど、
やっぱり違うんやん……と静かに絶望しました。

 

【③凄惨すぎる『結』】
翌朝はバカみたいな上天気で、パク一家はダソンの誕生パーティーを催し、本来なら休暇のはずのキム一家を呼びつけます。
ここからパク一家の一挙一動がやたら鼻につくのがすごいです。洗脳完了してましたねアレ。

そこからは血だらけです。
富裕層も貧困層も、血の色は同じでした。

同じ人間でした。

同じ人間なのに。

何が悪かったのか。
キム一家は優秀だった。家庭教師もできて、デザインもできて、運転技術も家事も売り物になるレベル。
パク一家は決して悪い人たちじゃなかった。ギテクの話をする時も、『臭い』とは絶対に言わなかった。
ムングァンとグンセも、気持ち悪かったけれども必死に生きていて、お互いを想っていたのは分かる。
全員、間違いなく仲の良い家族だったのに。

幼いダソンにしか伝わらなかったSOSが悲しかったです。
今までダソンの言葉も掬い取られなかったことも含めて。

 

【まとめ:それでも最後に残ったのは『計画』】
凄惨な結末でしたが、それだけじゃ終わらなかった。
それがこの映画の、もっともよかった部分だと思います。

半地下に逃げ込んだ父親の手紙が、息子に届いてよかった。
無謀な夢だとしても、ギウが陽射しを求めてくれてよかった。

 

ギウ:「父さん 今日計画を立てました」

 

作中に何度も出てくる『計画』という言葉。
これは『目標』であり、つまり『希望』なのだと自分は解釈します。

この鑑賞後感は大好きな『ゲット・アウト』に通じます。
映画なのでね。最後は希望で結んでほしいんです。

(ただ、パク一家側のその後がないことは残念でした)

(パク社長を喪ったあの家族、とりわけヨンギョはどうやって生きていくんだろうか)

(難しくても力強く生きていってほしいと思います)

 

いやはや2回目視聴、実に楽しかったです。
初見では謎だった、ソファのシーンのヨンギョの「ドラッグを買って!」も理解できましたし。
(あれは分かりやすく言い換えるなら、「(安いパンティで興奮するんなら)ドラッグも買わなきゃね(笑)」だったんですね。これも格下を小馬鹿にする描写ですね)

 

次回は3月21日月曜日、
1973年制作、アメリカのオカルト映画、
エクソシスト』の話をします。

 

 

 

鳥谷綾斗

更新情報/スーパー猫の日なので猫の話を書きました。

今週はホラー映画の感想記事はおやすみなのですが、代わりと言っちゃアレですけど、久々にエブリスタを更新いたしました🐈

 

猫の写真

猫の表紙

 

estar.jp

 

2022年2月22日、スーパー猫の日なのでネコチャンの話です。

コメディです。ホラーじゃないです。
ついでに妄想コンのお題が 🐱 🐱 なので参加しました。

( ・ω・)<……だいっっっぶ久々すぎて、

( ・⌓・)<投稿するのかなり戸惑いました。

 

ネコチャンは最強なんだよって話です。
ちなみにもう1作書く予定でして、そちらは2月28日に投稿・コンテスト参加予定です。

よろしければ読んでくださいますと嬉しいです🐈

 

ちなみに表紙は友人氏の猫様です。
画像ください! 画像ください! と拝み倒しました。
ありがとう友人氏。永遠なれ✨

 

他には、

今日の夜中にふと目覚めたら、2月22日2時22分だったとか。

 

2月22日2時22分

 

久しぶりに三毛猫ホームズを読んだとか。
やっぱり小説の中の猫ちゃんと言えば、私の中では永遠にホームズです🐈

 

 

あと猫の日まったく関係ないんですけど、明日実は刀ミュの現場でして、うちわを作りました。

 

うちわ作成中

 

そんな感じです。
世界の猫様その他様たちに幸いあれ!

 

 

映画/血のバレンタイン

どうもこんばんは。そしてハッピーバレンタイン。

( ・ω・)<鳥谷です。

たまには全力でイベントに乗っかろうと思い、本日はバレンタインホラーの話をします。

( ・ω・)<と、その前に宣伝でーす。

 

集英社さんのチャットノベルアプリ・TanZakさんにて、

【殺人権利、お売りします。】

というブラックホラーが現在公開中です。
一応連載でして、今は5章になります。
クズ大学生が事故物件に住んでヒドイ目に遭いますので、よろしければ。

 

tanzak.onelink.me

 

🍬×🍫

 

この記事を書くためだけにアマプラでレンタルしてきました。
1981年制作、カナダのスラッシャーホラーです。

 

 

※注釈
原題のロゴが『MY  BL❤️❤️DY VALENTINE』という浮かれっぷりなので、こちらもハート増量でお送りします。(対抗意識)

 

 

【❤️あらすじ❤️】
アメリカの小さな炭鉱の町・ハニガー。
20年ぶりにバレンタインパーティーが催され、町全体が浮かれていた。
だが、市長の元に脅迫文が届く。
「バレンタインパーティーを開いてはいけない。血まみれのハートが警告する。2月14日のあの事件を思い起こすのだ」
それは猟奇殺人鬼・ワーデンの20年ぶりの復活を意味していた。

 

【❤️ひとこと感想❤️】
レトロチーププリティーな舞台×殺人鬼の血みどろ殺戮劇!

 

※全力ネタバレです。

 

【❤️3つのポイント❤️】
①スイート趣味な殺人鬼
②スパイシーな死体描写
③まったく盛り上がらない三角関係の結末は

 

【❤️①スイート趣味な殺人鬼❤️】
この映画の特徴は、舞台の可愛らしさ。
時代は1980年代のアメリカ。ポップカルチャー全盛期。
革ジャンを着た署長がパイプを吸い、市長が葉巻を吸いながらその辺をウロウロするというレトロっぷりです。

それらを彩るのは赤ベースのバレンタインの飾りつけ。
現代のようなスタイリッシュさ(LEDライトなど)はなく、画用紙で作ったような学生っぽいチープさが可愛いです。

なので殺人鬼も、ハート形のキャンディボックスに ❤️心臓❤️ を入れて脅迫します。

雰囲気に合わせていて素晴らしい。
血まみれのハート(臓物)がキッチンペーパーに包まれているのに死ぬほどツボりました。

作業着にガスマスクという無骨ないでたちなのに甘々趣味です。

(ちなみに殺人鬼・ワーデンの誕生した経緯は、

①炭鉱での作業中にバレンタインパーティーに行きたがった同僚たちに置き去りにされる。
②事故で生き埋めに遭い、仲間の人肉を食べて生き残ったけど狂気に取り憑かれて薄情な同僚たちを惨殺。
③それ以来バレンタインを憎むようになった。

――という、いかにもホラー映画っぽい理由でした💮)

武器はツルハシなんですけど、キャンディボックスの方が印象深いです。
その心臓を入れる用の、赤いハート型でフリルをあしらい、可憐なお花とリボンで飾った箱はどこで買ったんだ、どんな顔して買ったんだとツッコみました。(※1)

 

【❤️②スパイシーな死体描写❤️】
『色恋沙汰ではしゃぐ若者を殺人鬼が虐殺する』という単純明快、既視感バリバリな展開ですが、死体描写がとにかく良い。

お気に入りはワーデンの存在を喚起するおじさん。(八つ墓村の老女的なポジ)
パーティーをやめろと言っても聞かない若者に対し、ワーデンのギミックを作って驚かせようとするお茶目なおじさんです。
しかし彼も、ワーデンによる「バレンタインにはしゃぐ輩」に認定されてぶち殺されます。

「これはえぐい」と膝を打ったのは、『ウインナーを茹でる鍋で溺死させる』と『心臓を食い散らかす野犬』でした。
久々に嫌悪感を抱きました。見習いたいです。

(特に『ウインナー鍋』は、そうと知らない女子がウインナーをパンに挟むのがキッツくて最高でした)

(殺された青年の心臓も同じ鍋でいい感じに茹で上がってて、さらに冷蔵庫に死体があるのに気づかないというのがもう天才)

お化け屋敷のような味わいで楽しかったです✌️

 

【❤️③まったく盛り上がらない三角関係の結末は ❤️】
このように細やかな部分は非常によかったんですけど、全体的な印象は『……?』でした。
死ぬほど残念です。(血の涙)

何せメインである主人公たち、男→女←男の三角関係がまったく盛り上がらない。
都会に行っていた男・T.Jが戻ってきたら、別れた元カノ・サラは親友のアクセルと付き合っていた。
二人はサラを取り合って険悪になり……元カレ(ちょい悪で強引)と今カレ(優しい)、アタイはどっちを選んだらいいの……? というサラの揺らぐ様が描かれます。

大変失礼ですが心底どうでもいい。(強調)

二人がサラを助けるために結託するのは良かったです。

この三角関係は意外な展開で結末を迎えますが、これも「雑などんでん返し」という印象が拭えない。
(※1)も伏線といえば伏線だったんですけども。
残酷描写がカットされたバージョンなせいか、肝心な殺戮場面もあっさり。
イチャつくカップルの死体ではなく殺される様を見せてくれ。
ラストバトルものんびりしてました。

私個人としてはシンプルに、

殺人鬼・ワーデンに会いたかった。

(´・ω・)<……です。

 

【❤️まとめ:文句はあれど観て良かった❤️】
ちょっと不満だらけになりましたが、総合的には面白かったです。

最後に 『主題歌があらすじ』 という笑いどころも用意されていましたし、2009年のリメイク版も観たいです。

いかがでしたか?
(胡散くさいブログ風)

本当は一行ごとにハートをつけていたのですが、視覚の暴力にも程があったのでやめました。
たぶん二度とやりません。(目にうるさすぎた)

次回は3月7日月曜日、
2019年制作、韓国のコメディサスペンス激重ヒューマンドラマ、
『パラサイト 半地下の家族』の話をします。

 

鳥谷綾斗

映画/地獄少女

ネトフリで観たホラー映画シリーズです。
2019年制作、日本のホラーファンタジーです。

 

 

 


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【あらすじ】
恨みを持つ相手を地獄に流してくれる、地獄少女
そんな噂が流れる中を息苦しく生きる美保は、推しの魔鬼のライブで、遥という危うい魅力を持つ少女と出会う。
一方、フリーライターの工藤は、地獄流しをした母親の死がきっかけで独自に地獄少女を追う。

 

【ひとこと感想】
最後まで波岡一喜(※敬称略)たっぷりな歌多め厨二病ファンタジー

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①ホラーシーンがたっぷり。
②歌うシーンもたっぷり。
波岡一喜が本当にたっぷり。

 

【前置き】
地獄少女リアタイ民です。
(もう17年前の作品と聞いて宇宙猫になってます)
2006年の岩田さゆりちゃん版ドラマも観てましたぞ。

 

【①ホラーシーンがたっぷり】
さらっとネタバレします。

美保が遥と出会う。
→アイドルの早苗がライブ中に切りつけられる。
→犯人を地獄流し。
→逆恨みされて早苗も地獄に流される。
→早苗の代わりに遥が魔鬼のオンナに選ばれる。
→どんどんやばたんになる遥を嘆いた美保が元凶の魔鬼を地獄に流す。

展開もテンポもよくて胸糞もきっちり悪い、2010年代Jホラーのお手本のような作品でした。

ホラー描写はグロテスクと美しさの境界線のような。綺麗だけど気持ち悪い、みたいな。

白石監督の 『俺色』 も満載でした。
つまりビンタです。『貞子VS伽椰子』その他でもありましたけど、蝶野正洋さんばりの迫力のあるビンタが頻出します。
冒頭から1965年の女学生たちのいじめでビンタ。
痴漢をボコる遥は、授業中の美保のクラスに乱入して女教師をビンタ。
それに感化された美保がうざい友達にビンタ。なんだこれ。

抑圧された少女が不良少女に出会って変わっていく、王道のガールミーツガールものです。良いですね。
でも悲しいことに、そんなサバサバを気取った遥は友情よりも男(魔鬼)を取る女でした。
美保の学校生活(ビンタした直後は爽快感があるけどその後が地獄)をぐちゃぐちゃにしといてなんて無責任な。

そんな流れで絶望した美保は、『魔鬼』を地獄に流そうとします。
ここ意外でした。てっきり、推しの魔鬼に選ばれた遥に嫉妬して……だと思ったのに。

 

美保:「遥ちゃんを別人にしたな!」

 

ここの感情の流れはなかなか興味深かったです。怒りポイントそこ?
美保にとって、遥はカッコイイヒーローだったんだなと思いました。

 

【②歌うシーンもたっぷり】
全体通しての印象はこれです。

( ・ω・)<こいつらめっちゃ歌うやん?

歌の場面がめっちゃ多い。
あいちゃんが『籠目』『あぶくたった』を歌い、オリジナル楽曲によるライブシーンも多い。(ミュージカルのように心情を伝える手段ではなさそう)

名前の『魔鬼』からお察しですが、パフォーマンスは厨二病感満載でした。
なんせ破壊神を呼ぶために遥を生贄にしようぜって本気で言うレベルです。
おまえ二十歳すぎてそれはって思いましたけど、魔鬼っちは実家が太いそうなのでなんとなく納得しました。
裕福すぎて暇な人間ってまじロクなこと考えねぇ。
(※悪意と偏見に満ちた意見)

 

【③波岡一喜が本当にたっぷり】
そんなヒロインたちより印象に残る人物がふたり。

フリーライター・工藤と、
地獄に流し流されたアイドル・早苗です。

この早苗ちゃんは本当に可哀想な人物像でした。
ライブ中に暴漢に顔を切りつけられ、弁護士から受け取った反省の手紙には「ざまぁw」と書かれた。容赦がない。
地獄流しをして魔鬼の計らいで復活しようとしたら、犯人の母親に逆恨みされて地獄に流されました。容赦がない。(2回目)

犯人の母親が、早苗の両親の元にわざわざ訪れたのも胸糞が悪い。容赦がない。(3回目)

(でも目の前で首を掻っ切って自殺したのは「うわ汚っ!」って思いました)

(ホラー映画過剰摂取による感性の歪み)

 

そして影の主役、工藤。

演じるのは波岡一喜さんです。
ザコいクズを演じたら天下一品の役者さんです。
仮面ライダー鎧武』のさくらんぼことシグルドでの輝きが、今も胸に残ってます。

本作ではこの波岡一喜さんの魅力が余す所なく描かれています。
最初は母親の死の真相のために奔走し、我が身を顧みず暴漢を捕らえて、早苗に復讐をやめるよう諭していました。

期待しました。
これは世にも珍しい光の波岡一喜か。
光の波岡一喜なのか。

しかし数分後に裏切られました。
早苗が藁人形の紐を解くのを、彼は「やめろ」と口では言いつつカメラを構えました。

( ・ω・)<……クズ――……ッ!

結局、魔鬼っちに始末されるんですけど、その死に様がまた見事なこと。
バリバリに情けなく命乞いをして、呆気なく殺されました。
ですがご安心ください、魔鬼っちの地獄流しの際に出番があります。

結論。
どう考えてもこの映画で最も推されているのは波岡一喜氏である。

目をかっ開いて視線を外してぶっ刺すのサイコー✌️

 

【まとめ:原作ファンには物足りない】
波岡一喜氏には大満足ですが、『地獄少女』というアニメの実写化映画としては、物足りなさが否めませんでした。

あいちゃん、よかったです。
声のトーンがアニメに寄せてて、もっと彼女を見たかったです。
彼岸花はもうちょっと植えてよとか思いましたが)

一目連の偵察の目が小さかったのは笑いました。でも、実は彼は刀の付喪神だったと言う設定は生かされててよかったです。
骨姉さんや輪入道もあまり目立ってなくて、その辺だけ不満でした。ぴえんってやつです🥺

 

 

次回は2月14日月曜日、
1981年のスラッシャーホラー、
血のバレンタイン』の話をします。

( ・ω・)<バレンタインだからね!

 

鳥谷綾斗

映画/地獄の警備員

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
1992年製作、日本のホラースリラーです。

 

 

 

【あらすじ】
総合商社に就職した秋子は、絵画取引部門で働いていた。
同時期に入った新人警備員・富士丸に目をつけられ、ストーカーされることになる。
秋子が落としたイヤリングの片割れを耳に着けて、密かに人を殺し続ける富士丸。
彼は元力士で、兄弟子と妻を殺したが精神鑑定で無罪になった殺人鬼だった。

 

【ひとこと感想】
殺し方が個性的な、地獄を歩む殺人鬼!

 

※全力ネタバレです。

 

【3つのポイント】
①色濃く漂うあの時代の空気感
松重豊VS大杉漣
③殺し方が個性的

 

【①色濃く漂うあの時代の空気感】
ドラマが制作された1992年は、ギリギリバブルの頃でした。
タクシーのお釣りは受け取らず、海外の絵画を80億円で買いつけるような世界線です。
その時代特有のギラギラとした光が作り出す、色濃い影。

タバコの煙で淀んだ空気すら伝わってきて、またその時代で働く女性の「うわぁ……😧」となるような『苦労』を察せるような描写が続きました。

(とある人物が富士丸に対して「とにかく大きい。その分、知恵がない」という現代だったら絶対アカン発言があったのもまた時代です)

(そしてお助けアイテムが『テレックス(ファックスやEメール以前に使われた海外との通信手段)』だったのも以下略。ちなみにこれで初めて知りました)

そんな閉塞感をぶっ壊すのが、松重豊さん演じる地獄の警備員、富士丸なのです。

 

【②松重豊VS大杉漣
188センチメートルの長身に厳つい顔つき、ロングコートを纏い、昆虫のように無表情で何も語ろうとしない、その場に立っているだけで威圧感を与える(警備員は天職では???)富士丸。
彼は間違いなくこの映画のアイコンですが、他にびっくりするほど縁の下の力持ちだった人物がいます。

それが大杉漣氏演じるクズ上司・久留米です。

(ていうか『降霊』に引き続いてのパワハラ要員ですね大杉さん)

 

久留米:「女と同じだ、(絵画は)売れなきゃ意味がないんだ!」

 

と怒鳴り散らし、

 

久留米:「じっと見てくれるだけでいいんだヨ」

 

とヒロイン秋子の前でズボンをスッポーーンと下げ、
自分の部下を『俺の女』扱いして、自分より立場が下とみなした相手を脅す。

( ・⌓・)<……輝かんばかりに殺されるべきクズだ……

不快だけど笑いました。

そんな彼は、残業中の秋子のもとへ「忘れ物しちゃったー🌟」とわざわざ引き返して、懐からピンクのお花を出して乙女な瞳で見つめていたところを富士丸に襲われました。
それからは見事な死に様、否、殺され様でした。

バッドでぶっ叩かれ、ビクンビクン痙攣しながらブツブツブツブツつぶやき「アーッ」と叫び、地下に引きずられて「許してくださーい!!!」と叫んだけど感電されられ、四肢をバッキバキに折られて、あー死んだんだなーと思ったら黒いゴミ袋(この辺にも時代を感じる)を被らされた瞬間、

 

久留米:「アハハハハノヽノヽノ \ / \ / \」

 

と笑い出す男です。狂気と紙一重の喜劇がありました。お見事すぎた。

『スクリーム』のケイシーばりの立役者でしたね!💮

 

【③殺し方も登場人物も個性的】
けれど富士丸も負けちゃいません。
とにかく殺し方が個性的。

ソファの下にもぐった人間の足をつかんで前に押し出し、壁に頭をぶつけさせたり。
殺した相手をロッカーに詰めるのが好きらしく、最後の犠牲者はロッカーに閉じ込めて体当たりしてロッカーごとベコベコにする人です。それ自分も痛くないのかね。

この辺、説明が難しいので観てください。(投げた)

ただ、そんな個性的な殺人鬼が殺す人々も一筋縄ではいきませんでした。
なんか大体どっかズレてる。
なんせ、ヒロインが殺人中の殺人鬼に「どうしてこんなことするの!」「私は勇気があるわ、説明してちょうだい!」などと抜かします。

じんわりとしたクズとじんわりと狂気を感じる人間かしかいない、そんな『あの時代のホラー』でした。

 

【まとめ:『悪魔』ではなく『地獄』なのは】
最初にこのタイトルを知った時、あまりにB級でテンションが上がりました。
しかし疑問にも思いました。

何故『地獄の』なのか?
『悪魔の警備員』でも良いのでは。
『地獄』とは本来場所を示す単語ではないか。
そしてふと思いました。

『地獄』とは、主人公・秋子が生きる環境ではないか?

のっけから秋子の環境はクソでした。
明らかに料金をふっかけるタクシー運転手、社員なのに「そんな部署聞いたことない、適当なこと言うな!」と威嚇される、パワハラセクハラをかます上司、そんな上司にへいこらするくせに「ボクがあなたを守ってやるべきだったんです」とか抜かす同僚(個人的にはトップオブクソ)、比較的まともな人も基本的にうざい……

殺人鬼に惚れられる以前に、分かりやすくはないけど地獄だな、と思いました。

なんとも言えない気色悪さを感じられた作品でした。

 

富士丸:「俺のことを忘れるな」

 

そう言葉を残し、首を吊った富士丸の姿で幕を閉じました。
この場面もひどく印象に残る。
衝撃的で陰鬱、やっぱりこの時代のJホラーは良い。

 

 

次回は2月7日月曜日、
2019年の日本のホラーファンタジー
地獄少女』の話をします。

( ・ω・)<地獄つながり!

 

 

鳥谷綾斗