人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/チャイルド・プレイ(1988年版)

ツタヤで借りたホラー映画シリーズです。
1988年制作、アメリカのスラッシャーホラーコメディです。

 

 

 

 


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【あらすじ】
湖畔の殺人鬼、チャールズ・リー・レイ。
相棒の裏切りに遭い、刑事に追い詰められた彼は、おもちゃ屋に逃げ込む。
そこで人気アニメ・グッドガイの人形を見つけ、謎の呪文を唱えて爆死する。
その人形は、シングルマザーのカレンの息子、アンディーの元に届けられた……

 

【ひとこと感想】
お子様も安心、元気いっぱいな殺人人形のド健全ホラー!

 

 

※全力ネタバレです。

 

【3つのポイント】
①年を取るとホラーでも避けたい展開がある
②チャッキーの暗躍。
③正体を明かした後は元気いっぱい。

 

 

【①年を取るとホラーでも避けたい展開がある】
数年ぶりの再鑑賞です。
初見はおそらく中学か高校生。目に輝きがあった頃です。

その時よりも強く思ったこと。

( ・ω・)<アンディものごっっっつい可愛いな?

いやだって、湖畔の殺人鬼(また湖畔か!)ことチャールズが謎の呪文を唱えて爆死した後、アンディのターンになるんですよ。
グッドガイ人形のCMが流れる早朝、アンディはマミーのために朝ごはんを作るのです。

6歳の子が。
一生懸命背伸びして。
パンを焦がしてシリアルに砂糖をドバドバ入れて牛乳こぼしながら寝室に朝ごはんを運ぶんですよ。

そんなもん「あらー⤴︎ 可愛いわねー🥰💕」と「あー⤴︎ 危ないやめてやめて!😖💦」になる決まってますでしょうが!!!

ここでひとつの誤算。
学生でなくなった私は、シンプルに、理屈など関係なく、感情で、

( ;ω;)<この子が怖い目に遭うの観るの嫌だ……

と思いました。加齢ゆえの変化ってやつです。
最初はそんな不安に駆られましたが、結果的に杞憂で終わりました。

この映画、めちゃくちゃド健全でした。

 

【②チャッキーの暗躍】
コメディとは言えホラー。怖い場面もきっちりあります。

「おおっ」と思ったのは、チャッキー視点での場面があったこと。
第一の犠牲者・マギーがリビングで本を読む姿が、低い目線としてのカメラで映されます。
映像ならではの手法。『何者か』を映さないことでその存在感をアピールできるの、素直に強いなと思います。小説でもできないものか。
(電池の場面もすごく好き)

マギーを殺し、自分を裏切った相棒エディーを始末したチャッキー。
(マギーの落下とエディーの爆発、勢いがありまくって花丸💯)
アンディは病院に入れられ、母親のカレンによって「動かないと暖炉で焼き殺す!」と脅され、

 

チャッキー:「うるせぇクソビッチ、ぶっ殺すぞ!!」

 

それまでの静かさが嘘のように大暴れ。
元気いっぱい殺人人形の爆誕です。

 

【③正体を明かした後は元気いっぱい】

 

チャッキー:「ハイ! 僕チャッキー! 一緒に遊ぼう!」

チャッキー:「おめぇは死とデートしな」

 

この豹変ぶりである。
中の人(チャールズ)、どういう感情でこのセリフ言ってたんだろうか。

カレンの家から逃げ出した後、チャッキーは自分を追い詰めたマイク刑事も殺しに行きます。
この車での攻防戦、めちゃくちゃ面白かったです。
怖いけど笑える。運転席の背もたれから飛び出すナイフ。座席の下から飛び出すナイフ。回避する尻。

失敗に終わったチャッキーは、今度はアンディの体を狙うことに。
けれどアンディは、ただ怯えるだけではなかった。①での心配は杞憂でした。

アンディはしっかりと抵抗し、反撃したのです。

カレンがチャッキーを暖炉に閉じ込めた後、アンディは命乞いをする彼に、実に冷静に言い放ちます。

 

アンディ:「もうおしまいだ、チャッキー」

 

ここ痺れました。
容赦ない。達観にも似た冷酷さ。彼はきっとこれからどんなことがあっても自分の人生を切り開くのだろうと確信し得るような。

そうして確信しました。
やっぱりきちんと反撃するホラーこそ最高で健全なのだな、と。

 

【まとめ:ド健全だった】
というのも、これの再視聴前に観たのが『呪詛』だったのです。
ツイッターで話題となった台湾ホラー。あちらも小さい子がひどい目に遭いますが、本作との違いは、『遭うだけ』です。
(面白かったんですけど)

そこで感じたモヤモヤが本作で晴れたというか。

主人公の子どもが自分の手で切り開く、ある種の冒険要素があるホラーでした。

お子様の初めてのホラー映画にも最適かと。この夏休みにいかがでしょうか🥳

(かと言って無理に観せることはありません)

(人にはそれぞれ、ホラーに触れる最適な時期があります)

(その時まで観ても観なくてもどちらでも良いのです)

(大丈夫、ホラーはいつまでも待っています)

(なんでこんなこと言うかって言うと、小学生の子どもにグロホラーを遊びで無理やり観せた人を知っているからです)

(まじ許せん)

 

 

次回は8月15日月曜日、
2022年制作、台湾のホラー、
『呪詛』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗

映画/オールド

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2021年制作、アメリカのスリラーホラーです。

 

 

 

 


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【あらすじ】
美しい南国のリゾート地に来た一家、父ガイ、母プリスカ、息子トレント、娘マドックス。
離婚前の最後の旅行だったが、ホテルの支配人に、岩壁に囲まれたプライベートビーチに他の家族と招待される。
やがて女性の水死体が発見され、彼らは気づく。
6歳と11歳だった子どもたちが成長していたことに。

 

【ひとこと感想】
「そうはならんやろ」の連続、世にも恐ろしい浜辺での穏やかな悪夢。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①鑑賞前の感想:「オチどうすんの?」
②鑑賞中の突込:「そうはならんやろ」
③オチ前の心持:「これはこれで……」

 

 

【①鑑賞前の感想:「オチどうすんの?」】
映画館で予告を観た際。
そのあまりにも面白そうなコンセプト――『その場にいるだけで高速で年を取るビーチ』に鷲掴みにされました。

誰もが無関係ではない加齢がテーマ。
さらに舞台がビーチってのが良いです。
バカンス、笑い声、はしゃぐ足音、シャッター音、潮の匂い、サンセット、あの夏の思い出。
けれど目前には、生命が生まれて生命を飲み込む『海』。

( ・ω・)<バランス感覚の塊やん……?

その分、オチは気になりました。
結果的に『ホラー映画ではよくあるやつ』だったのですが、そこに至るまでが美しかったです。

 

【②鑑賞中の突込:「そうはならんやろ」】
美しかったけど「そうは(略)」の連続でした。

さて、このプラベビーチ。
何故いるだけで年を召すかと言うと、
『周囲の岩壁がなんか特殊な鉱石でできていて、それが細胞に影響を与えている』とのこと。なるほど分からん。

髪や爪は死んだ細胞なので変化はない。
食べ物や服も生きていないので無事。
ビーチから出ようとしても、鉱石の影響に体が耐えられずに気絶する。
30分で1年、1日で50年の年をとる。

つまり、何もしなければ老衰で死ぬのです。

そんなサメの方がまだマシなプラベビーチに来たのは4家族。
主人公一家、医者と祖母と幼い娘の一家、看護師と心理学者の夫婦、そして人気ラッパー。

プリスカがガン、医者は統合失調症、心理学者はてんかん持ちと、それぞれに持病を抱えています。

厄介なのは、病気も進行するということ。
ただし生傷は即座に塞がり、古傷になります。

というわけで、プリスカの腫瘍がどんどこ成長してメロン大に。
仕方ないので外科手術で摘出しました。そうはならんやろ。

さらに成長した息子と、医者の娘が15歳の体になり、恋に落ちて妊娠して出産します。そうはならんやろ。

アメリカでは6歳児も子作りの具体的な方法を知っているものなのだろうか)

(それとも脳、つまり思考や知識も成長しているのだろうか)

(いやどうやってだよ……それ細胞云々より時間的なものが捻じ曲がってない……?🤔)

その他、連続するトラブルの果てに、
とうとうビーチには一家しか残らなくなりました。
(ちなみに死体もすぐ白骨化して風化します)

 

【③オチ前の心持:「これはこれで……」】
わずか一日で、恋愛、妊娠、出産、身近な人との別れ、さらに殺人と、通常なら何年もかけて遭遇する『出来事』を経験したカッパ一家。

家族4人で寄り添い合い、ぼんやりと、夜の海を眺めます。
その姿はひどく穏やかでした。

老人となった夫婦。
実はプリスカは不倫をしていて、それが離婚の原因でした。

冒頭は、子どもたちの隣の部屋で夫婦喧嘩をしていた彼ら。
その目には怒りも憎しみもありません。
「前に喧嘩した?」「何が原因でも怒ってないよ」と許し合います。
必死になってこのビーチから出ようとした理由すら、もう分からなくなってしまった。

 

ガイ:「So beautiful (いい所だ)」

 

最期の夫婦の会話、とても優しくて幸せで、けれどひどく心が痛い。

ここがこの映画のもっとも怖いところかもしれません。

高速に年をとり、時間を奪われて老衰で死んでいく。
けれど感情は凪いだ海そのもので、羨ましくなるほど穏やかでした。

これはこれでいいのかもしれない。

そう思ってしまうことが、一番怖かったです。

そうして夫婦は逝きました。海の向こう、天の国へ。

朝になり、トレントとマドックスは50代に。
砂のお城を作る二人、何もしなければ13時間後には苦しまずに両親の元に逝ける。

けれど二人は、選択して決断しました。

 

【まとめ:でもやっぱり残酷な話だ】
姉弟はビーチを脱出し、元凶である支配人を告発します。
ヒントをくれた支配人の甥の少年との再会はグッと来ました。

真相は、いわゆる『実験・観察もの』。
加齢するビーチで、何十年もかかる新薬の治験を行なっていた。

(ここでてんかん持ちの心理学者の死の謎が解けたのよかったです)

 

しかし、真相よりも注目したいのは、姉弟の選択。
何もしなければ逝けた。
ビーチを脱出しても、その後の人生がどうなるか分からない。
両親もいないし、苦労は目に見えている。

それでも姉弟は、外に出ること、生きることを選んだ。

ここにトレントの恋人・カーラのセリフが活きます。

 

カーラ:「試さず老いるの!?」

 

穏やかな死という甘い夢にうっかり身を浸しそうになるのを、
ビシッと目を覚まさせてくれるような言葉です。

 

けれども。
やはり残酷な物語です。
恋も結婚も出産も身近な人との別れも親を見送るのも、数十年かけてやることだと思うので。

たった2日はキツい。(シンプルな表現)

 

【おまけ:特大の「そうはならんやろ」】
ホラーなので、混乱の果てに殺人鬼になっちゃう人が二人も現れるわけですが。
(正確には一人は違いますが)

その反撃方法がすごかった。
錆びたナイフで切りつけ、体内に錆が入った状態で再生したら毒になり死んだ。

もう一人は、骨がボキボキに折れた状態で再生して蜘蛛(『貞子3D』の蜘蛛貞子みたいな)状態になった。

 

そうはならんやろ通り越して、「そんなことある!?」になりました。

 

エンタメ的面白さとセンチメンタルな気持ちをくれる、

夏にぴったりな映画です!

 

次回は8月8日月曜日、
1988年制作、アメリカの元気いっぱい人形ホラー、
チャイルド・プレイ』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗

映画/感染

TSUTAYAで借りたホラー映画シリーズです。
2004年制作、日本のワンシチュエーションホラーです。

 

 

 

 


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【あらすじ】
経営悪化の一途を辿り、崩壊寸前の古い病院。
そこで働く医師も看護師も限界を迎えようとしていた。
ある暗い夜、医師の秋葉は医療ミスで患者を死なせてしまう。
どうにか隠蔽しようとする中、感染症の疑いがある患者が救急搬送されてきた。

 

【ひとこと感想】
佐野史郎の存在感、スピーディーな臨場感「これが日本のホラーだ!」と突きつける緑色の悪夢。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①開始数分でヤバいと分かる病院
②次々と重なる最悪
③つよつよ佐野史郎

 

【前置き】

word-world.hatenablog.com

 

この記事でも書いたとおり、
本作品は、『Jホラーで一番面白くて一番怖い』と思っています。
(異論は認めるし議論もしたい)

さてどこが面白いのか。暑苦しく語っていきます。

 

【①開始数分でヤバいと分かる病院】
舞台は古びた病院。患者は多く、それなりに明るい。
しかしヤバい。死ぬほどヤバい。
枚挙しますと、

1.トイレ介助が必要な老人のナースコールに応答できない。
(老人は転んで骨折。ナチュラルにあり得ない方向に曲がる足が怖い)

2.注射器の持ち方が明らかにおかしい新人看護師。

3.その新人をいじめるパワハラナース
(気持ちは分からんでもない)

4.患者たくさんの待合室の公衆電話で、慰謝料の滞納の言い訳する医者。

5.給料未払い。

6.連絡のつかない院長。

7.『至急』と訴える救急車をずっと無視。

8.「看護師が9人も辞めました」

9.縫い目ガタガタの裂傷の縫合をする新人外科医。
(止められても「僕にだってできる!」と引かない)

10 .「ついに備品が底を尽き始めています」→「もう少し頑張りましょう!」
(どうやってだ)

11 .鏡の中へ話しかけ続ける老婆。

12 .頭を打って意識混濁する若者を待合室で放置発覚。
(地味に一番怖い)

13 .残ったスタッフに重く蓄積される過労と寝不足。

トドメに意味もなく狐のお面をかぶる少年――

暇ってもんがない。
実にテンポ良く紹介され、その不穏さ! 不気味さ! 絶え間なく打ち寄せる悪い予感に、

(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)<これですわ〜〜〜〜

五臓六腑に染み渡りました。
わざとらしいイベントなど起こさずに、あくまで「これがここの日常です」という描写。プロの技ですわ〜〜〜。

 

【②次々と重なる最悪】
廃病院待ったなしの中、最悪な展開が、主人公・秋葉に襲いかかります。

①医療ミスで大火傷を負った患者の命を奪った。
②救急車で感染症の患者が運び込まれた。

医療ミスの隠蔽と院内感染との戦い。
感染症に罹患した人間の成れの果ての描写が、凄まじかったです。

具体的な画を見せずに、
……ぐじゅり、ぐじゅり…… という音と、
「体液が緑色」「内臓が溶け始めている」という冷静な説明、
「こちらに笑いかけてきた!」という反応の描写で、想像力を掻き立てるのが良かった。

ウィルスは広まり、次々と医師看護師たちは凶行に走ります。
「ごめんなさい」と謝りながら。
緑色の体液を流しながら。

そうやってどんどん人間が『人間性』を失っていく様、
それこそが、最も恐ろしいものだ――と思います。

そしてただ一人、終始冷静だったのが、佐野史郎さん演じる『赤井先生』でした。

 

【③つよつよ佐野史郎
『赤井先生』は、唐突に、秋葉先生と魚住先生の前に現れました。
それまで名前すら出なかったのに、医療ミスを仄めかして脅し、ウィルスの調査を持ちかけます。

そこに佇むだけで時間が止まったような、空気がぬるつくような、そんな違和感を与えます。
これはもう演者の佐野史郎氏のチカラでしょう。すげーな冬彦さん。(※懐かしすぎるネタ)

赤井先生は容赦なく、静かに追い詰めます。
秋葉先生が患者を愛せないことを指摘し、
このウィルスは意識に感染して、皆は自身の罪によって裁かれたと諭します。

秋葉先生は怒鳴りつけます。
「これはあんたが作ったウィルスで、俺たちを実験台にしたんじゃないのか」と。

そこに現れたのは、精神科医・中園先生。

 

中園:「そこには誰もいません」

 

『赤井先生』の姿は、鏡の中の秋葉先生で、
『赤井』は、医療ミスで亡くなった患者の名前でした。

 

【まとめ:再鑑賞してみて】
昔観た時はぼんやりと「幻覚オチかー」と思いましたが、今観ると少々辻褄が合わない、説明がない点も多かったです。

①縫合にこだわる新人外科医と先輩外科医の件。
→蚊帳の外感が強い。
そもそも罪悪感に感染するのなら、「縫うくらいできるし! なんでやらせてくれないんだ!」と逆ギレする新人外科医は感染しないのでは。
あと先輩外科医は泣いてる看護師に手を出すなよ。

②狐面の少年の件。
→たぶん『少年の頃の監督』。(映画であるあるのメタ)

③ひとりでに揺らぐブランコ。
→最後ふたつとも揺れたのは、感染者が増えたことの比喩かと。ウィルスの目的は増殖だって『リング』が言ってた。

④ウィルスを持ち込んだのは誰か?
救急搬送も『赤井先生』も幻覚なら、始まりは何なんだ。


このようにスッキリしない部分もありますが――

それが何だと言うのか。(強調)

 

ホラー作品の最重要課題は、『怖いこと』です。
スピード感、臨場感、最悪に次ぐ最悪、焦燥感、この状況になる前は真っ当だったであろう人々が環境のせいで荒み人間性を失っていく過程、

その作り上げた『怖い』をぶつけてくるのです、この映画は!!

ホラーにおける一番大切なことです。
怖ければ多少の辻褄破綻はゆるされるし、逆に辻褄完璧でも怖くなきゃ意味がないのです!!!

そう前提に置けば、
やっぱりこの作品が、Jホラーで“一番恐い“。

 

 

【おまけ:お気に入り場面】

 

桐野看護師:「はい、おなかが空いて。先生も食べますか?」

 

後輩看護師をずっといびっていた桐野さん。
その時に食べていたモノが、ずっと頭を離れません。

 

そして何気に『怖いお婆さん』が大活躍。
優しそうな語り口で、見えざるものを手招きして。
必死で救命しようとしている横で、キャッキャとはしゃいで。
かと思いきや、はすっぱにタバコをふかすして。
影の立役者でしたね。

お見舞いに来た首のないお婆さんもナイスです👍

 

 

【おまけ:この作品で得る学び】
この記事を書いている現在、コロナ第7波が猛威を奮っています。
自分の職場も陽性者が出て、私ともう一人以外は全員罹患しました。

それもあって鑑賞の間、

( ・⌓・)<やっぱり寝不足怖いな……

と思いました。
寝不足と過労さえなければ、秋葉先生も「塩化カリウム投与!」なんて言い間違わなかったし、看護師もきちっと確認したと思います。

冷静な判断力を、失わなかったと思います。

皆様もお気をつけください。

 

 

次回は7月25日 8月1日月曜日、
2021年制作、アメリカのスリラーホラー、
『オールド』の話をします。

 

鳥谷綾斗

映画/輪廻

TSUTAYAで借りたホラー映画シリーズです。
2005年制作、日本のミステリーホラーです。

 

 

 

 


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【あらすじ】
新人女優の杉浦渚は、ある映画の出演に大抜擢される。
気鋭の映画監督、松村による実際に起こった大量殺人を元にした映画だった。
その日から渚の前に、人形を抱えた少女の霊が現れるようになる。
一方、謎の失踪事件が相次ぐ中、大学生の弥生も不可解な夢に悩まされていた。

 

【ひとこと感想】
ヒロインの迫真の演技が必見、どんでん返しつき理不尽Jホラー。

 

 

※全力ネタバレです。
※初見の方は頼むから先に観てください。

 

 

【3つのポイント】
①冒頭の不穏さが最高
②前世フェスティバル
③来世も続く贖罪

 

 

【①冒頭の不穏さが最高】
物語は、それぞれ年齢も性別もバラバラな人々が同時多発的に心霊現象に遭い、『連れ去られる』場面からスタート。

『懐かしい』の連続でした。
ストラップをジャラジャラつけたケータイを持つ女子高生たちによる噂話、という王道な入り。
(※大体「ねえ知ってる?」から始まる)
(自分も小説でよく使います)

どこか薄暗い、彩度が低いようで妙に線がくっきりした画面。
『一人きりの公園』『一人きりのトイレ』が映っているだけなのに、何故こう不安感をそそられるのか。

そこにいたはずの人間がいない。
そこにいなかったはずの人間がいる。
ざわめく森の木々の中、ぼうっと青白く浮かぶ大量の顔。
赤いスーパーボールが誘うように飛び跳ね、
朽ちかけた人形の目玉がひとりでに潰れて、少女の声が囁く。

 

“ずっと一緒だよ”

 

(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)<これですわ〜〜〜〜

不穏に次ぐ不穏、静かな「恐ろしいことが起こる」予感、久々に『あの時代』のJホラーの空気感を浴びて、疲れた体に糖分が沁みるがごとくじわ〜〜〜と感じ入りました。

あの時代のJホラーでしか摂取できない栄養素がある!

 

【②前世フェスティバル】
物語の骨組は、

①1970年(昭和45年)に、輪廻転生を研究していた大森という教授が、「肉体は器でしかない」と思い込み、実験のために11人もの人間を殺した。
②その被害者たちが、前世の恨みを晴らすために集合し、大森教授の生まれ変わりに復讐する。

――という塩梅です。

その被害者たち(転生したけれど、霊的存在になって他の被害者の生まれ変わりを引き摺り込む)の集合がハデで良いです。
集団で囲んだり、エレベーターで拉致したり、人気の多い真っ昼間の図書館で天井までリフトアップしたりとやりたい放題。

そのハデっぷりに、『前世フェスティバル』と呼んでいました。
(語感重視なので意味は不明)

中心にいるのは大森教授の娘、千里です。
可愛いけど持っている人形は可愛くない。チャッキーばりに動く。

千里とお人形は何度も渚の前に現れる。
やがて渚は、「自分は千里の生まれ変わりなのでは?」と感じはじめますが――

このどんでん返し、演出が最高に好きです。

渚は千里ではなく、
輪廻転生を信じて大殺戮を行なった人でなし、大森教授の生まれ変わりだったのです。

(夢の場面で千里と手を繋いでいたのが伏線ですね)

そうなると、松村監督のセリフも、意味が反転します。

 

松村監督:「これ(人形)を抱いたまま死んでいった少女の魂と、真剣に向き合ってほしい」

 

松村監督は、同じく大森教授に殺された息子の生まれ変わり。
記憶自体はなくとも、彼は父親の魂を持つ渚に対して、

「おまえが命を奪った妹の魂と向き合え」

と言っているのです。

それは、転生しても終わらない『贖罪』でした。

 

【③来世でも続く贖罪】
公開された当時は、この真相に「なるほど!」と膝を打ちましたが、今回改めて観てみると、

( ・⌓・)<転生の意味が無いのでは……?

と、虚無になりました。

個人的に、輪廻転生とは一種の救済措置だと思います。
前世で悲惨な目に遭っても、次の生では異なる道を歩める。

それなのにこの11人は、前世の恨みを三途の川の水でも流せなかった。

別の人間に転生して、それなりに、女子高生として会社員としてトラックの運転手として女優志望として、そして女子大生として生きてきただろうに。

それほどまでに身勝手な、つまらない『実験』で殺された恨みは深かったのか。
どうしても自分たちを殺した男が――かよわい女性に生まれ変わり、よりにもよって『被害者である千里』を演じることが許せなかったのか。

地獄でも大森教授の罪はすすがれず、
現世では何もしていないはずの渚が復讐され、
心を壊して狂気に堕ちて、
白い部屋に白い拘禁服を着せられた結末は、

苦々しく、理不尽だ――と思います。

(魂が同じでも別人格だろう、的な)

(そして前世フェスティバルの始まりが気になります)

(最初に前世を思い出し、霊となって復讐を始めたのは誰なのか)

(殺害現場であるホテルを、映画のセットとして作り上げて、その中で惨劇を再現するというのは『追体験』という名前の復讐方法なのだろうけども)

(映画の制作がキッカケで復讐が始まったのか?)

(はたまた、復讐劇のために映画の制作があったのか?)

(どっちが先か気になります)

 

【まとめ:優香さんの演技】
忘れてはならないのは、渚を演じた優香さんの演技です。

個人的意見を言いますね。

間違いなく彼女こそ和製スクリームクイーンだと思う。(強調)

表情だけでなく全身から、どんどん追い詰められる渚の不安定さが伝わってきます。
また、事件の唯一の生存者で、大森教授の妻だった歩美を演じた三條美紀さんもすごかったです
(あんなことがあったのに苗字は『大森』のままなんだなぁ)

渚が気が狂った際の映像を目にして、満足そうに笑う歩美。
そしてその傍らで、ちょこんと『父親』を見つめる息子と娘の姿を発見した瞬間、
どんな形でも再び我が子を見れた、そんな『喜び』を感じました。

ラストシーン。
渚が入れられた白い部屋で、
歩美は覗き窓から、渚――殺しても飽き足りないくらい憎い夫を見つめる。
そしておもむろに、

 

“ずっと一緒だよ”

 

と囁く人形と、血のように赤いスーパーボールを外から差し入れて、……

最後の最後、微笑んだ渚は美しかったです。
『ミッドサマー』のダニーと、同じ笑顔でした。

 

【おまけ:お気に入りと驚き】

お気に入り場面。
ドアスコープの向こうでチューチュートレインするお化けたち。元気だなオイ。

 

驚き場面。
①弥生の彼氏が小栗旬氏だった。
②キャストに黒沢清監督と藤貴子さんがいた。
呪怨の伽椰子さん。こういう遊び心大好きやで)

 

 

次回は7月11日 7月18日月曜日、
2005年制作、日本の密室劇系ホラー、
『感染』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗

映画/シライサン

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2020年制作、日本の都市伝説系ホラーです。

 

 

シライサン

シライサン

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【あらすじ】
大学生・瑞紀の目の前で、親友の香奈が突然死した。
香奈の眼球は破裂していた。
一方、大学生の春男も、弟が眼球破裂して死ぬ。
謎の怪死を追う二人は、『その話を聞くと死ぬ、シライサンの怪談』に遭遇する。

 

【ひとこと感想】
作り手の好きなものてんこ盛りな、手堅いホラー。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①行儀の良いプロット。
②シライサンの特徴。
③エンドロールを見逃すな。

 

【①行儀の良いプロット】
物語の筋は、非常にシンプル。

序:
異様な死に様の死者が頻出(※大体が若者)

あの怪談は本物の呪いだった!

ホラー人生で親の顔より見たあらすじです。(いいぞいいぞ!)
(次点は『田舎にバカンスに行ったらひどい目に遭った』)
指南書に模範例として掲載されてもいいくらいです。(これだよこれ!)

破:
怪談の調査をして、生き残る方法を探す。

安心して見れます。(そういうのがいいんだよ!)
ここで主人公の恋愛フラグ、いい感じの家族愛、友情話などを入れてスパイスにします。(ブラボー!)

急:
その怪談の出所・すべての始まりの場所へ向かって怪物とラストバトル。

と、続くのが古来(具体的に言うと『リング』)からの王道なのですが、最後の最後で意外な解決策をふたつも編み出しました。

 

【②シライサンの特徴】
新たなるJホラーモンスター、シライサン。

外見は貞子さんと『コンジアム』の1時間10分頃に突然出てくるお化けの合いの子って感じです。
非常にシャイな子で、まず呪いの対象者の前にフッと現れて、立ち上がって、徐々に近づいてくるタイプです。

ヒロイン・瑞紀が図書館で書き物をしていると、その手をそっと握ります。
バーのナンパかキャバの営業みたいな驚かし方です。

そんなシライサンに遭遇すると、眼球が破裂して死にます。

シンプルに嫌だなー怖いなーなんですけど、あっさり死なずに済む方法が判明。(てかパッケージに書いてた)

シライサンの目を、
見つめ返して目を逸らさないこと。

そして瑞紀と春男、
本当に二人で現れたシライサンを見つめ続けます。
ちなみにどちらかが見つめ続ければOKらしく、

 

春男:「僕が見ているから休憩していいですよ」

 

シューーーール🤔

最初は「うわ、怖いな……」だったものの、緊迫感ってな長い続かないもので、

( ´∞`).。oO(……これ塩で殴っちゃいけないのかな)

などと考えてしまいますね!

(ホラーで実体ありのお化けを見るたびに思う)

(岩塩の塊とかで殴ればいけるのでは、と)

(すみませんロマンがなくて)

(何せ、デビュー作のホラー小説 で『どうやって呪いによる死から逃れるか』を考えて)

(ガッツリ力技で解決した人間なもので)

 

【③エンドロールを見逃すな】
しかしここからさらに話を進めて、ふたつの意外な解決策が出ます。

中盤で突然出てきた記者の幸太と脚本家の冬美夫婦。
過去に娘を亡くした、微妙な溝ができている二人です。

なんやかんやあって、シライサンは3日ごとにしか来ない(原作小説いわく、元ネタの死来山に死体を運んで戻ってくるのに時間がかかるそうです。そこは現実的なんかい)ことに気づき、
怪談を知った冬美のために、幸太は『意外な解決策』を取ります。

シライサンの怪談を世界中に広めて、
シライサンが来るリスクを分散すること。

一万人に広めたら、一生シライサンに遭遇しない可能性も出ます。死ぬ人が増える可能性も出ますが。
シライサンを退散させるのではく、自然現象のように共存する道です。

そしてもうひとつの解決策。
シライサンの話を忘れること。

瑞紀は事故で記憶喪失になり、事件に関するすべてを忘れます。
ただし春男との恋愛フラグ 絆 も失ってしまった。

ほろ苦い結末と、シライサンの影を感じながらのエンドロールには、

 

脚本:間宮冬美

 

ここで、「ああ!」と納得しました。
作品の仕掛けがパッと理解できて、アハ体験でした。

劇中に、すごく違和感のあるセリフがありました。
『見つめあう対処法』を示した森川くんの言葉です。

 

森川:「映画一本分くらいの時間、あいつと向き合わなきゃいけない」

 

つまり、
この映画自体が『シライサンという怪談』を広げるためのもの、
観客であるアナタも呪いに感染しましたよと語りかける、
鑑賞者巻き込み型、第四の壁をぶち破る系の構造だったのです。

 

【まとめ:てんこ盛りだった】
振り返ってみると、

・話の筋/王道のJホラー的展開。
・テーマ/シライサンは現代人が抱える病・『承認欲求』のメタファー。
・怪物の造形/黒髪ロングの不気味な女。
・真相①/呪いの一族や村や巫女などの民俗学系。
・真相②/呪いを広めた人物の目的は、失ったものを取り戻すため。
(これは原作小説のみに出た設定。映画ではカットされて残念)
・結末/切ない別れと恐怖は終わらない系。
・オチ/『この話を知った者は呪われる。観客だろうが無関係ではない』という巻き込み型。


作り手の好きなもの全部盛りやないかーい!


分かるよ! 私も大好き!

ミックスフライで玉子とじ丼作ったみたいな味わいで、
大変手堅い、職人技のような作品でした。満腹。

 

【おまけ:鑑賞時のメモにあったシライサン想像図】

 

シライサン想像図

どうかと思う。

 

 

次回は7月4日月曜日、
2005年制作、日本のミステリーホラー、
『輪廻』の話をします。

( ・ω・)<しちが、つ……?

 

 

鳥谷綾斗

映画/亡霊怪猫屋敷

アマプラ観たホラー映画シリーズです。
1958年制作、日本の怪談映画です。

 

 

亡霊怪猫屋敷

亡霊怪猫屋敷

  • 和田桂之助
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【あらすじ】
深夜、大学病院の医師・久住は研究室にいた。
突如停電し、真っ暗な中、不気味な足音が近づいてくる。
久住の脳裏に6年前の記憶が浮かぶ。
妻の結核治療のために住んだ古い屋敷のことを。
そこで起こった、猫の鳴き声と恐ろしい体験を……。

 

【ひとこと感想】
猫耳おばば様が元気に人を襲う怪談映画。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①怪談映画というジャンル。
猫耳おばば様の無双。
③「いや仇から殺せよ!」というツッコミ

 

【①怪談映画というジャンル】
この作品の冒頭、大変素晴らしいです。(直球)

 

味のあるフォントでのオープニングの後、真っ暗な停電の夜の『病院』内が画面一杯に広がります。
明かりで照らす部分だけが見える。
いま通ったストレッチャー、乗せられているのは生者なのか死者なのか。
それを押していた看護婦(この時代なのであえてこの表記で)に、ちゃんと足はあったか?

そんな不安を掻き立てられる画面展開は、
『化け猫』というモチーフも相まって、
『ホラー映画』でも『恐怖映画』でも『怪物映画』でもなく、
『怪談映画』と呼ぶにふさわしい――などと頷きました。

ちなみにVRで観たら最高だろなぁとも思いました。

( ・ω・)<ワクワク。

 

【②猫耳おばば様の無双】
そんな50年代の怪談映画、モンスターはなんと 🐱猫耳が生えた老婆👵 です。

( ・⌓・)<50年代のニッポン、進みすぎでは?

と、昨今の萌え文化に侵食された感想が出ましたが、よくよく考えると『人間に猫の耳が生える』とは、本来ならかなり奇怪、奇妙、フリークスなのです。
(それを文化にまで発展させた日本すごい。タコを食べる国なだけある)

白髪を振り乱し、猫の耳と顔面と動きで、養生する頼子を襲う化け猫のインパクト、そりゃもう凄まじかったです。

ふと目を向けた先の、暗がりにいる。
雨夜の中、裸足で佇んでいる。
突如頼子の部屋に現れて襲う。
まさに神出鬼没。久住夫婦は、屋敷を紹介した兄の伝で、お寺さんに事情を聞きます。

ここは丁髷の時代、恐ろしい呪いが跋扈した屋敷だったのです。

(そんな家に妹夫婦をあてがうなよ、と静かなツッコミ)

 

【③「いや仇から殺せよ!」というツッコミ】
そして謎解き。屋敷の過去編です。

それまで白黒画面だったのが過去に遡ると、カラー画面になったのが鮮やかでした。
普通逆では、と思いましたが、『血の赤』が映えさせたかったのかと推測。

簡単にまとめると、
①元々この屋敷は、えぐい癇癪持ちの色情狂の御家老のものだった。
②御家老はプロ棋士の青年・小金吾と囲碁をして、負けた腹いせに斬って壁に埋めた。
(心が狭い。しかし小金吾も接待囲碁と割り切ればいいのに、本気でボコボコにした挙句煽るのはやめてやれ)(しかし気持ちは分かる)(囲碁に誇りを持っていたんだろう)
③小金吾の母親は当然仇討ちへ。しかし返り討ちにされ、自害して、飼い猫に血肉を食わせて化け猫と化した。
(小金吾の幽霊が現れただけで「誰に斬られたの!」と察した母上、理解が早い)

です。

だがしかし妙な点。
若く美人の母上に猫耳が生えるのではなく、わざわざ 🐱御家老の母親(老婆)を殺して取り憑いた👵 点。

なんでや。何故ひとつ挟む。そこは普通に母上に猫耳でええやろ。ていうかそのおばあちゃん関係ないだろ!

そう。
この怪談映画、元凶の御家老をさっさと殺せばいいのに、何故か他の人から襲うのです。

老婆、女中さん、御家老の息子。いや周りを巻き込むな。

さらに御家老の息子は、若い女中さんと身分違いの恋を燃え上がらせていたのですが、御家老は彼女にすら手を出しました。胸糞です。
しかし化け猫は、彼女が襲われるのをじっと見るだけ。何してんねん、早よ切り裂いて噛み殺せよ。(野次)

化け猫がちんたらしたせいで、御家老はますます調子に乗り、息子に恋愛を諦めるよう言います。
その時のセリフ。

 

御家老:「女狂いも程々にしろ」

 

( ・⌓・)<おまいう!?!?!?

世界中でおまえだけには言われたくない。

――という鬱憤がめちゃくちゃ溜まった後だったので、派手な殺戮シーンはスカッとしました。

でもそれまでが長すぎた! 周りを巻き込むな!(2回目)

 

【まとめ:ハッピーエンドでした】
そんなわけで現代。冒頭の、停電の夜の病院に戻ります。

謎の足音は、元気になった頼子のものでした。お弁当の差し入れです。
不気味な猫の鳴き声は、ホンモノの 🐱ネコチャーン🐱 の声でした。
猫好きになった頼子は、 🐱ネコチャーン🐱 を抱き上げて、この子を飼おうと言い出し、明るい笑い声で終幕です。

化け猫の祟りは屋敷の壁に埋められた小金吾の遺体を弔ったら止んだ、という事実をさらっと流して……

( ・ω・)<……

ハッピーエンドです。
だが力技だな???
(肝心なシーンをセリフだけで済ます的な意味で)

 

【おまけ:お気に入り場面】
御家老の母親(おばば様)が化け猫に殺される際、
『障子に映った影絵』で表現していたのが素敵でした。
影絵にはロマンがある。

さらに女中さんが殺される際、
女中さんが帯を解かれ、完全に「あ〜〜〜れ〜〜〜」の状態で踊りながら殺されるの面白かったです。なんだこれ。

化け猫おばばが障子を破る際も、
「そりゃ破るよね、猫ちゃんだもの……😌」
などと思いました。猫だもの。

 

猫が可哀想な目に遭う場面はないので、猫好きさんも安心してご覧になれます!👍

 

 

次回は6月27日月曜日、
2020年制作、日本の都市伝説ホラー、
『シライサン』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗

映画/ローズマリーの赤ちゃん

ツタヤで借りて観たホラー映画シリーズです。
1968年制作、アメリカのオカルトホラーです。

 

 

 

 

 

【あらすじ】
NYのアパートに俳優の夫と引っ越してきたローズマリー
黒い噂を耳にしつつも、隣人のカスタベット夫妻にお節介を焼かれる日々を過ごす。
ある夜、ローズマリーは人ならぬモノに強姦される夢を見る。
そして彼女の妊娠が発覚した。

 

【ひとこと感想】
50年以上前の作品とは思えないのが残酷な、不信感募るサスペンス。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①この明るい部屋に、悪魔がいるのか?
② 『現代でも通じる』どころじゃない・近所のおばちゃん編
③ 『現代でも通じる』どころじゃない・夫編

 

【①この明るい部屋に、悪魔がいるのか?】
この作品のポイントは、

インテリアがとにかく可愛い。

『サスペリア』 『ポルターガイスト』とはまた違う雰囲気で、現代でも通じそうなオシャレさです。
前住人が作り上げたゴシックでレトロで重厚な雰囲気から一転、若い夫婦に似つかわしい、白と黄色の陽の当たおうちに。

前住人が謎の死を遂げたこと、
クロゼットを 「まるで何かを閉じ込めようとしたみたいに」 大きなタンスで塞いでいたこと、
人喰い姉妹がいた・地下室に赤子の死体があったという黒い噂があること、
それら全部スルーーーーして、ローズマリーとガイは理想的なおうちにDIYします。
(ドレッサーが特に可愛い)

そんな素敵な部屋で、ローズマリーはどんどん窶れていきます。その対比が良かった。

奇妙な夢――全裸の人々に囲まれながら、裸の腹に魔法陣を書かれ、さらに異形のモノに覆い被さられ揺さぶられる――を見てから、彼女は不信感を募らせます。

まずいチョコムースをおすそ分けし、薬草入りのネックレスを渡してくるカスタベット夫妻。
彼らは、悪魔教の信徒?
夫もグルになった?
私の赤ちゃんが、生贄にされてしまう――?

誰も信じられなくなったローズマリーは、同時に誰にも信用されなくなった。
それは観客である我々にも、です。

すべて彼女の、妊娠による情緒不安定の果ての妄想なのか?
そんな不信感が募りました。

 

【②『現代でも通じる』どころじゃない・近所のおばちゃん編】

( ・ω・)<これ本当に54年前の映画?

 

と思えるくらい、『妊娠した女性』にまつわるアレコレが『現代でも通じる』どころじゃありませんでした。
現代とほぼ一緒でした。

特にカスタベット夫妻。引っ越した先で出会った世話焼きの老夫婦は、その有難い強引さに辟易します。
手作りの品や食べ物を渡されて、嬉しいけど口や好みに合わなかった時の、笑うしかない微妙な感じ。
心配してくれるのは分かるけど、少しだけ迷惑な親切心。

うわ。

これ、こないだリアルでもフィクションでも見たわ。

( •᷄ὤ•᷅)

いつの時代も近所付き合いにはしがらみが付き物。
さらに、ガイも現代(主にネット)でよく見聞きする『夫』像でした。

 

【③『現代でも通じる』どころじゃない・夫編】
シンプルに言います。
この夫、

( ・ω・)<おっととっとクズだぜ!

(注・EEJUMPの曲のリズムで)(懐かしい)

と言いたくなるほどのクズでした。

最初は普通だったのですが、自分が俳優として出世するために妻を売りました。文字どおり悪魔に売ったのです。
クズ語録も凄まじい。たとえば悪魔に悪魔にNTRされた朝は、

 

ガイ:「楽しかったぜ 死体を抱いてるみたいで」

 

悪魔云々より、仮に抱いたのが夫だとしても気絶している妻に手を出すのはいかがなものか。その上にこの発言。クズだ。

そしてラスト、ローズマリーが死産だと聞かされた赤子は生きていたことを知らされた場面。
混乱する妻に、夫はハリウッドに引っ越そうと提案した後、赤子のことは忘れろと抜かした挙句、

 

ガイ:「死産だと思えばいい」

ローズマリー:「( ゚д゚) 、ペッ」

 

眩暈がしますね。クズだ。
ちなみに最強にクソな行動は、悪魔教の集まりに現れたローズマリーを見て一瞬だけ姿を消したことです。「逃げんな!!!」とキレました。

(クズな夫という生き物はね。とにかく逃げますよね)

 

【まとめ:流されやすかったローズマリー
ローズマリーは、基本的に『素直な女性』です。

夫や目上の人間の言葉を信じやすく、受け入れる。
何ヶ月も腹部に痛みを感じていたのに、医者が「問題ない」といえば我慢し、市販のビタミン剤より謎の薬草を煎じたドリンクを摂取することを選ぶ。

そんな流されやすい彼女は、ラスト、大きな選択と決断をしました。

悪魔の子を育てること。
人の身で、悪魔の母になること。

そう決めた彼女の表情は美しかったです。

そこにあるのは母性か狂気か。
そもそも、母性とは狂気の感情なのか。

不明なまま子守唄が流れ、幕を閉じました。

 

【余談:個人的にグッときたセリフ】
ローズマリーの妊娠が発覚し、ミニー(カスタベット妻。服もメイクもド派手)がウキウキで有名な産婦人科医に連絡を取る場面。

 

ミニー:「ええ 今度こそきっと」

 

これだけのセリフで、最初に亡くなった夫妻の養女・テレサが死亡した理由を察せられるのがスゴイ。

 

 

次回は6月20日月曜日、
1958年制作、日本の怪談映画、
『亡霊怪猫屋敷』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗