人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/地獄少女

ネトフリで観たホラー映画シリーズです。
2019年制作、日本のホラーファンタジーです。

 

 

 


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【あらすじ】
恨みを持つ相手を地獄に流してくれる、地獄少女
そんな噂が流れる中を息苦しく生きる美保は、推しの魔鬼のライブで、遥という危うい魅力を持つ少女と出会う。
一方、フリーライターの工藤は、地獄流しをした母親の死がきっかけで独自に地獄少女を追う。

 

【ひとこと感想】
最後まで波岡一喜(※敬称略)たっぷりな歌多め厨二病ファンタジー

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①ホラーシーンがたっぷり。
②歌うシーンもたっぷり。
波岡一喜が本当にたっぷり。

 

【前置き】
地獄少女リアタイ民です。
(もう17年前の作品と聞いて宇宙猫になってます)
2006年の岩田さゆりちゃん版ドラマも観てましたぞ。

 

【①ホラーシーンがたっぷり】
さらっとネタバレします。

美保が遥と出会う。
→アイドルの早苗がライブ中に切りつけられる。
→犯人を地獄流し。
→逆恨みされて早苗も地獄に流される。
→早苗の代わりに遥が魔鬼のオンナに選ばれる。
→どんどんやばたんになる遥を嘆いた美保が元凶の魔鬼を地獄に流す。

展開もテンポもよくて胸糞もきっちり悪い、2010年代Jホラーのお手本のような作品でした。

ホラー描写はグロテスクと美しさの境界線のような。綺麗だけど気持ち悪い、みたいな。

白石監督の 『俺色』 も満載でした。
つまりビンタです。『貞子VS伽椰子』その他でもありましたけど、蝶野正洋さんばりの迫力のあるビンタが頻出します。
冒頭から1965年の女学生たちのいじめでビンタ。
痴漢をボコる遥は、授業中の美保のクラスに乱入して女教師をビンタ。
それに感化された美保がうざい友達にビンタ。なんだこれ。

抑圧された少女が不良少女に出会って変わっていく、王道のガールミーツガールものです。良いですね。
でも悲しいことに、そんなサバサバを気取った遥は友情よりも男(魔鬼)を取る女でした。
美保の学校生活(ビンタした直後は爽快感があるけどその後が地獄)をぐちゃぐちゃにしといてなんて無責任な。

そんな流れで絶望した美保は、『魔鬼』を地獄に流そうとします。
ここ意外でした。てっきり、推しの魔鬼に選ばれた遥に嫉妬して……だと思ったのに。

 

美保:「遥ちゃんを別人にしたな!」

 

ここの感情の流れはなかなか興味深かったです。怒りポイントそこ?
美保にとって、遥はカッコイイヒーローだったんだなと思いました。

 

【②歌うシーンもたっぷり】
全体通しての印象はこれです。

( ・ω・)<こいつらめっちゃ歌うやん?

歌の場面がめっちゃ多い。
あいちゃんが『籠目』『あぶくたった』を歌い、オリジナル楽曲によるライブシーンも多い。(ミュージカルのように心情を伝える手段ではなさそう)

名前の『魔鬼』からお察しですが、パフォーマンスは厨二病感満載でした。
なんせ破壊神を呼ぶために遥を生贄にしようぜって本気で言うレベルです。
おまえ二十歳すぎてそれはって思いましたけど、魔鬼っちは実家が太いそうなのでなんとなく納得しました。
裕福すぎて暇な人間ってまじロクなこと考えねぇ。
(※悪意と偏見に満ちた意見)

 

【③波岡一喜が本当にたっぷり】
そんなヒロインたちより印象に残る人物がふたり。

フリーライター・工藤と、
地獄に流し流されたアイドル・早苗です。

この早苗ちゃんは本当に可哀想な人物像でした。
ライブ中に暴漢に顔を切りつけられ、弁護士から受け取った反省の手紙には「ざまぁw」と書かれた。容赦がない。
地獄流しをして魔鬼の計らいで復活しようとしたら、犯人の母親に逆恨みされて地獄に流されました。容赦がない。(2回目)

犯人の母親が、早苗の両親の元にわざわざ訪れたのも胸糞が悪い。容赦がない。(3回目)

(でも目の前で首を掻っ切って自殺したのは「うわ汚っ!」って思いました)

(ホラー映画過剰摂取による感性の歪み)

 

そして影の主役、工藤。

演じるのは波岡一喜さんです。
ザコいクズを演じたら天下一品の役者さんです。
仮面ライダー鎧武』のさくらんぼことシグルドでの輝きが、今も胸に残ってます。

本作ではこの波岡一喜さんの魅力が余す所なく描かれています。
最初は母親の死の真相のために奔走し、我が身を顧みず暴漢を捕らえて、早苗に復讐をやめるよう諭していました。

期待しました。
これは世にも珍しい光の波岡一喜か。
光の波岡一喜なのか。

しかし数分後に裏切られました。
早苗が藁人形の紐を解くのを、彼は「やめろ」と口では言いつつカメラを構えました。

( ・ω・)<……クズ――……ッ!

結局、魔鬼っちに始末されるんですけど、その死に様がまた見事なこと。
バリバリに情けなく命乞いをして、呆気なく殺されました。
ですがご安心ください、魔鬼っちの地獄流しの際に出番があります。

結論。
どう考えてもこの映画で最も推されているのは波岡一喜氏である。

目をかっ開いて視線を外してぶっ刺すのサイコー✌️

 

【まとめ:原作ファンには物足りない】
波岡一喜氏には大満足ですが、『地獄少女』というアニメの実写化映画としては、物足りなさが否めませんでした。

あいちゃん、よかったです。
声のトーンがアニメに寄せてて、もっと彼女を見たかったです。
彼岸花はもうちょっと植えてよとか思いましたが)

一目連の偵察の目が小さかったのは笑いました。でも、実は彼は刀の付喪神だったと言う設定は生かされててよかったです。
骨姉さんや輪入道もあまり目立ってなくて、その辺だけ不満でした。ぴえんってやつです🥺

 

 

次回は2月14日月曜日、
1981年のスラッシャーホラー、
血のバレンタイン』の話をします。

( ・ω・)<バレンタインだからね!

 

鳥谷綾斗