人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

ドント・ブリーズ

JUGEMテーマ:Horror

 

2017年映画館で視聴。

 

今年最初に映画館で観た映画でした。
観終わった瞬間、

 

「今年はいい年になりそうだ……!!」

 

と確かな予感を覚えました。
(訳=大変どストライクだった)


あらすじ。
どうしようもない両親から離れたい、妹と一緒にカリフォルニアで暮らしたいと望む主人公、ロッキー。
そのためには大金が必要だった。
恋人のマニーから強盗計画を持ちかけられ、友人のアレックスと共に、夜中に盲目の老人の家に忍び込む。
だが老人は、超人的な聴力と筋力、そして殺人をまったく厭わない精神の持ち主だった。

 


こういう、『返り討ち系』が大好きです。


最初は調子こばった若者たちに制裁をくわえたい自分が、
「いいぞジジィもっとやれ」
だったのが、
強盗を企てるようなヤツだけど仲間を庇ったマニーや、ロッキーを絶対守るマンのアレックス、そして何が何でもアタイは金を持ち帰るぜと一貫した根性を見せつけたロッキーを見ていて、
「この若者たちも……別の道があったのでは……」
と思い直し、
中盤で老人の『闇』の部分が出てきて、
「やばい。私コレだめかも」
と軽く後悔しはじめ、
そして『それの方法』が明かされた瞬間、
「ひゃっほー! 素晴らしい!」
と拍手喝采しました。


細かいところは追記にて。なかなかアレな感想なのでご注意ください。

 

また、盲導犬兼番犬(早口言葉のようだ)にすごく強そうなわんちゃんが出るんですが、めっちゃ怖いです。遠距離攻撃はこの犬の担当です。
ですが、人間側が犬を蹴っ飛ばしたりなど危害を加える場面は不自然なくらいに皆無だったので、犬派に非常に優しい作りでした。

 

ただし吹替版のココだけはいただけません。

 

字幕「私が見ているものを見せてやる」

吹替「お前らも見えない世界に来ればいい」

 

なんかちがーう!

 

以下、思いっきりネタバレです。

 

 

老人は交通事故で娘を亡くしていました。
その加害者の女性は、示談金を払わずにトンズラしておりました。
ブチギレた老人、加害者を拉致監禁しました。
彼女を妊娠させ、新しい『自分の子』を産ませるために。

 

ココですよココ。これこそがこの映画の最大ミッドポイントですよ。
この場面が来たとき、普通に思いました。
「ああ、力ずくで無理矢理妊娠させたんだな……」と。

 

告白します。
自分は、本当の本当に、『暴力』の上に『性的』が来るものが大っ嫌いなのです。


リアルでもそうですが、創作物、取り分けホラーでコレが来るとげんなりします。

純粋な暴力なら全然問題ないです。ある程度まで余裕で見れます。
ですが、ちょっとでも性的な要素が入れば、その時点でアウトです。

特に、『事の凄惨さ』を演出するためというのが最低最悪です。

別に他の要素でもええやん。わざわざソレを選ばなくてもええやん。
単純に、「ほら悲惨でしょ? 気持ち悪いでしょ?」ってするために、手軽にコレを選択しているように見えて、手抜きに思えます。ふざけるな。本気でふざけるな。

 

(昔ニコ生でB級ホラー邦画見まくった際、「呪いの原因・犯行の動機が、ある女性が性的暴力に遭って云々」ってのが連続で出てきて、画面カチ割りそうになりました)

 

自分は大抵のホラー映画を愛せます。B級でも何でも、「アホかw」と笑いながら観れます。
ですが、無意味な『性的暴力』と『ケタケタ笑いながら人を殺すサイコパス』と『「ホラ狂ってるでしょ? いいんだよ? 狂ってるって賛美しても」と言いたげな物語』は、そりゃあもうこの世から消えてほしいです。

 

(これがあるから自分は『SAW』シリーズが大好きなのです。あそこに在るのは非常に平等な人間の破壊)

 

なのでコレもそうなのかなぁ……と映画館の暗闇の中で( ・ ω・`) になっていたら。

 

なんと加害者を妊娠させた手段が、『注射器で直接注入した』だったと判明し、思わず指をパチンと鳴らしました。

 

我ながら「それはアリなのか」とツッコみましたが、すみませんこの方法は気に入りました。

 

まず加害者を完全に人間扱いしていない。
それはそうです。自分の娘を轢き殺しておきながら、トンズラするような外道です。
完全に産む機械扱いです。なのに監禁スペースが気遣いに満ちていて、ものすごく不条理な合理を感じました。
(子どもを産む大事な機械だから、身体を傷つけないようにしたんだろうなぁ。防音も兼ねているし)

 

この方法は、加害者の女性の尊厳もこれでもかってくらいに踏みにじっています。
連城三紀彦先生の短篇、「涜された目」にも通ずるような)

 

実に残酷で、合理的な復讐の手段だと思います。よく思いついたなこんなん。

 

とはいえロッキーが代わりにされそうになった場面はなかなかキツかったです。
生理的なおぞましさは想像するだけで吐けますね。

 

ラストはロッキーの一人勝ちでしたが、老人も生き残っていて、なんかもう両成敗でいいような気がしました。
どっちもどっち。双方とも、感情移入などしない方がいい外道の犯罪者。
そんな突き放したような制作側のスタンスが大変好ましかったです。