人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

新感染 ファイナル・エクスプレス(映画)

JUGEMテーマ:Horror

 

こんばんは、早くも2月への追悼を始めている鳥谷です。生き急ぎすぎだぜ2月。

 

「散りゆく花の名を呼んで、」勝手に宣伝カウントダウンイベント、その3を開催します!
どんちき└(^ω^ )┐♫ ┌( ^ω^)┘♫どんちき

 

(一応編集さんに知らせてはいる)
(見てるのだろうか)
(見てたら拡散してください(o*。_。)o)
(「どんちき」の元ネタ分からない方へ→ニコ生ホラーでよく出るアレです)

 

 

第3弾は「新感染 ファイナルエクスプレス」です。
韓国のゾンビ映画。『邦題もうちょっとなんとかならなかったのかオブザイヤー2017』堂々の第1位です。

 

以下、ネタバレ注意。

 

あらすじ。
家庭をないがしろにしていた父親・ソグ。
幼い娘・スアンと共に、別居中の妻に会うために釜山行きの列車に乗る。
発車直前に、怪我をした女が駆け込んできた。
その女はゾンビウィルスの感染者だった。

 

最初に予告編を観ました。→『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編 https://youtu.be/k3829dsZyzY

 

これは無理め……

 

\(^o^)/
(この顔文字を久々に使った)

 

 

この絶望感は『サイコブレイク(ゲーム)』のチェーンソー振り回したりロケットランチャー撃ってきたりするゾンビを目にして以来ですね。
めっちゃ速いやん。
メイドイン韓国のゾンビ何でこんなに速いん。キムチか。キムチ食ってるからこんな速いんか。
と、本気で悩みました。もし自分がこの世界にいたら一瞬で「ヨロブン、アンニョン!」と星になりますね。


走るゾンビほど可愛げがないものは無い――というのは通説ですが、この映画に限ってはゾンビ云々は単なる舞台装置です。
肝心要は、突然命の危険に晒された人々がどんな行動をとるのか。ジャンルはヒューマンドラマでした。
(だから何故パンデミックが起きたのかは描写説明されてないです。推測はありましたが)

 

ロメロ監督の『ゾンビ』をはじめ、バイオハザードやオブザデッド系を観た身ですが、ゾンビもので泣いたのはこれで二度目でした。
(一度目はコレ→ゾンビショートムービー「CARGO(ベビーカー)」 https://youtu.be/lmHSjTGh06Q

 

 

【良かった① ゾンビの悲劇】
ゾンビもの最大の悲劇は、食われることでも自身がゾンビになることでもなく、『身近な人々がゾンビになること』だと思います。
大切に育ててくれた親、大切に育てていた子ども、手を取り合った配偶者や恋人、思い出を共有する友達……そういう大事な人たちが、突如自分を喰い殺そうとする生ける屍になる。
『それ』は殺さないといけない。
ついさっきまで、笑い合っていたのに。
何故かあまり出ないこの展開(寡聞ですが)、こちらはきっちりと野球部の高校生たちでやってくれました。
エグイ。ですが、その、舌を痺れさせるようなエグみこそがキモだと思います。

 


【良かった② 主要人物全員に見せ場と役目がある】
主要人物は、


・家族を忘れていた『父親』。
・心優しくて幼い『娘』。
・ゾンビとも戦える強くたくましい『夫』。
・妊娠中の『妻』。
・好きな男の子がいる『女子高生』。
・好きな女の子がいる『男子高生』。
・献身的な『姉』の老婦人。
・わがままな『妹』の老婦人。
・横柄で傲慢なバス会社の『常務』。
・ごく平凡な感性の『乗務員』。
・有能な『運転士』。
・怯え続ける『ホームレス』。


ですが、全員に見せ場があるのがすごい。

 

特に、横柄で傲慢な『常務』。こいつは最低な人間です。自分を守るためなら他の人間を身代わりにするし押し退ける。
「さっさと食われろ!」と思ってたのですが、……ねぇ。
とうとう感染者に噛まれて、恐怖のあまり、彼は幼児退行……子ども返りを起こします。
主人公の『父親』に、「おじさん、ぼくを家に連れてって」と泣いて頼みます。
もうこれだけでね。絶対に許せないけど、「ああコイツも怖かったんだ」って思えてしまう。たった数分、数行の台詞なのに。

 

他には、『父親』『夫』『男子高生』たちを閉め出した身勝手な乗客たちを、ゾンビの餌食にさせる『妹』。
この辺は溜飲が下がってスッキリ、見せたいものを見せてくれてありがとうでした。(そして泣いた)

 


【良かった③ ラスト十五分】
『父親』は最終的には噛まれ、感染します。
そして泣きじゃくる『娘』を説得し、自ら命を絶ちます。

走る列車から身を投げ出す寸前、『父親』の脳裏には、『娘』が生まれた時の記憶が甦ります。
小さな手。
小さな足。
軽くて、なのに途轍もなく重い、こんなに小さいのにちゃんと動いて生きている、すごく不思議ですごく愛おしい、生まれたばかりの我が子を思い出す。

 

その時、『父親』はこう思ったと思います。

 

この子さえいればいい。この子が元気で、笑って、幸せでいてくれさえすれば、他には何もいらない。
この子を守って、幸せな人生を歩むようにするのが、自分の役目だって、ベタなことを本気で考えたと思うんですよ。
なのに『父親』はそれをすこーんと忘れて、『娘』の誕生日に何が欲しいのかすら分からない人間になった。
バカです。
でもね、忘れちゃうんですよ。人間ってバカだから。
『あなたの人生で大切なものは何ですか?』と問われたら、『家族』って答えるだろうけど、日常ではそんなこと忘れちゃうんですよ。
だから蔑ろにしてしまった。そんなつもりは確かに無いんだけども! 辛い!!

 

『父親』はたぶん、死ぬほど大切なことを死の間際に思い出せたんだろう。
その点だけは本当によかった。
もちろん何事もなく平和に生きていくのは一番なんですが、……こういうのを観ると、一点の曇りも無い悲劇って存在しないのでは、と思います。
どんな悲しい結末でも、一縷くらいは『良かった』ことがあるんじゃないか。
悲劇的な出来事が起こったおかげで、出会った人や変わったことや、救われたことがあるんじゃないのか。
もちろん悲劇なんて無い方がいいです。特に命に関わることは。
いちばん理想的なのは、悲劇の力なんて無くても、大切なことを覚えておく、大切なことを知る――ですねえ。

 

『父親』の最期は、影でした。
走る列車から、ゆっくりと身を投げ出す影が映されました。
ここ! この部分が映画ならではの演出ですごく好きです。
(小説でコレはできんのだよ……!!)


で、ここで終わると思いきや。(※このパターンはだいぶ珍しい)

 

『娘』と『妻』が釜山につながる(?)トンネルに入ります。
そこには兵士たちが銃を構えていて、二人が駆逐対象かどうか見定めます。
「血まみれだし多分ゾンビだ」で、射殺許可が下りる。
でもそこで、『娘』が『父親』のために覚えた歌が聴こえてくる。

 

ゾンビは、『走る』『食べる』『人を傷つける』はできても、歌を唄うことはできない。

 

二人が人間だと了解した兵士は、彼女たちを保護します。
『父親』が、間接的に『娘』たちを救った……。

 

伏線回収と歌というモチーフの使い方ーー!!
こういうの好きーー!!
˚‧º·(˚ ;⌓: )‧º·˚

 

という感じで泣きました。

しかしこの映画ね、ほんとベタなんですよ。設定は。
でもそこがいいんです。
ベタ最高。
泣かそうとしてんだから素直に泣くが吉。
ていうか、走るゾンビなんて飛び道具使ってるんだから、人物設定くらいはベタじゃないとバランスが取れん。

 

大満足の1本でした!

 


【おまけ・一押し場面】
クライマックス直前で、群衆ゾンビが逃げる列車に捕まって鈴なりになって「あらやだこれゾンビの重さで列車が停まる展開?」を危惧した場面。

 

ヴィジュアル系ライヴのモッシュだ……(°□°)

 

停まらなくてよかったです。

 


【おまけ・制作側のメッセージ予想】
先頭切って戦う『夫』、最初は卑怯だった『父親』、そして野球部の『男子高生』。
そして怯え続けていた『ホームレス』も、倒れた車体の下敷きになりかけた『娘』と『妻』を助けて、身代わりになった。

 

大人の男たるもの、女・子どもを守れ!!

 

『大人の男』にはそれができる。だからどんな状況でもそれを忘れるんじゃねぇ……!!


という少年漫画の師匠のような声が届きました。(※幻聴)

私は男ではありませんが、それをヒシヒシと感じて、「自分……身体鍛えるよ……!!」と拳を握りました。
せめてうちの可愛い甥っ子姪っ子を抱えて全速力できるくらいになりたい。

 


【おまけ・余談】
うちの父と姉はゾンビ好きです。『ウォーキングデッド』でたまに盛り上がってます。
先日、その姉がこれを視聴して、息子ともども号泣したそーです。
で、その後、『もしゾンビにぶち当たったらどうするか』を話し合ったそーです。

何やっとんと思いましたが、その議論、私も一緒に観てた父とやったわ。

血は争えませんね。
( ・ω・)<ちゃんちゃん!

 

 

 

【宣伝】

 

2018年3月19日 発売
「散りゆく花の名を呼んで、」
(「花は二度死に、名を失う」より改題)
集英社 j-BOOKS刊行


第3回ジャンプホラー小説大賞銀賞受賞のホラーミステリ! 

男子大学生の鹿住未来(かずみ みら)は、残留思念を読み取る、サイコメトリーと呼ばれる超能力を持っていた。母校の高校で教育実習を始めた未来は、生徒からホラー映画研究部の活動に誘われるが、彼が部活に参加したその日に部員の一人が異常な死を遂げ、他の部員も後を追うように次々と変死してしまう。 
未来は、心を寄せる生徒・恵田桜香(えだ ほのか)を守るため、自身の能力を用いてその原因を捜査するうちに、特殊な交霊術「キラズさん」の呪いにたどり着く。遺言と異常死、名に込められた祈り…その全ての謎が明らかになるとき、切なくも怖ろしい驚愕の結末が待ち受けて…。教師と生徒との呪われた愛の行方は。
Amazonさんより抜粋)


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