人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

貞子vs伽椰子(映画)

JUGEMテーマ:Horror

 

鈴花の絶叫が響き渡る。経蔵を喪った珠緒のこの世ならざるものを視る眼には、あまりにも巨大な闇が映っていた。
貞子と伽椰子が融合した絶対的な闇。
もはや為す術は無い。
有里はどうなったのかーーそれを考える暇すら与えられなかった。
闇が広がる。珠緒と鈴花を覆わんとする。すべてを飲み込む。ひときわ高い鈴花の悲鳴。

 

(暗転)

 

やがてエンドロールと、聖飢魔IIが歌う主題歌・『呪いのシャナ・ナ・ナ』ーーという一連の流れを映画館のまっくらな中で目の当たりにした私は、

 

( ゚д゚)

 

という顔になりました。
そんな思い出です。

 


あらすじ。
女子大生・有里と夏美は、リサイクルショップで買ったビデオデッキにセットされていたビデオを観る。
それは15年以上前の都市伝説・『見ると必ず死ぬビデオテープ』だった。
一方、女子高生・鈴花は、『入ると必ず死ぬ家』の近所に引っ越し、『伽椰子(&俊雄)』に呼ばれてしまう。

――「化けもんには化けもんをぶつけんだよ」
死が迫った有里と鈴花を助けるため、霊媒師・経蔵と珠緒は『貞子の呪い』と『伽椰子の呪い』をぶつけ、呪いの相殺を図る。

 

 

( ゚д゚)という顔から正気に戻った自分の一言。

「いや……白石監督がんばったよ」
(果たしてどこから目線の何様きどりで言ったのかは謎ですが、思わずそんなつぶやきがぽろっと)

 

そもそも、『貞子vs伽椰子』というこの物語、どうあがいてもB級ホラーにしかならない気配がバリバリで、料理するのはかなり難しいと思います。

(そもそも発端がエイプリルフールのおふざけ企画)

 

勝敗を決めず、融合したと結末は非常に妥当。
さらにあのぶつ切りラストも定石といえます。

 

つまり白石晃士監督は、かーなーり、手堅く作ったんじゃないか。まあ運命には逆らえませんでしたが。

 

よかった点。
①冒頭の、独居老人の家を訪ねるシーン。
(普通に怖くて期待感が高まる)
②お祓いシーンがいい感じに狂ってる。
(水をがぶ飲みさせる場面が不穏で◎。この霊能力者さんもあっさり退場しましたが)
③珍しく有能そうな霊媒師コンビ。
(いきなりアニメっぽい展開とキャラで戸惑いますが、妙にマッチしてました。守銭奴だけど頼み事を引き受けちゃう霊媒師とキツい口調の霊感幼女。良いですねとても良いです)

④貞子の呪いが7日から2日に短縮。

(この変更点、現代を象徴してていいですねー。今の時代はとにかく速度最優先。良き良き。ホラー映画が時代を映す鏡なのだ)

⑤びっくりするくらい貞子と伽椰子のバックボーンに触れていない。

(この話はとにかく貞子と伽椰子をファイッッ! させることがメインですから、「何故呪いが起こったのか」さえ余計なのです。取捨選択がしっかりしてる。その潔さ良し!)


対して引っかかる点。
①お前は何だったんだ森繁伸一。
(『悪の教典』の釣井ばりの有能と見せかけて無情な退場っぷり。貞子を研究していたならもっと活躍して! がんばって!)
②何で井戸の中の有里泣いたの。
(解釈が分かれそうですが、単純に絵的に欲しかった可能性も微レ存)

 

おまけ・地味にすごい点。

①タイトルとテーマとコンセプトと概要が全部『貞子VS伽椰子』。

(企画書どんなんだったんだ)

 

といった具合に、総合的に、ホラー映画ならではのみんなで楽しめるエンタテイメント作品です。

実際映画館は若い人だらけで、楽しげな笑い声に満ちてました。


何より主題歌が素晴らしい。


呪いのシャ・ナ・ナ・ナ/聖飢魔II

https://youtu.be/lzzHTR3hgs0

 

iTunesで購入しました。

『リング』の『feels like HEAVEN』に匹敵する、思わずハンズアップしてしまう名曲です。

 

【余談】
経蔵役の安藤政信さん好きです。
2001年に『バトル・ロワイヤル』で演じられた桐山和雄は、邦画唯一の『理想の殺人鬼』です。

 

 

さて今日から12月。

12月の7日は、Jホラー界待望の新作・中島哲也監督/岡田准一主演の『来る』がとうとう公開されます。

原作の『ぼぎわんが、来る』を読んだ時から期待値が爆上がりでした。

 

「これはたぶん映画になるな」
カドカワが本領発揮するな」
「Jホラーの復権の予感がする」
「毎年、角川ホラーが映画化されたあの黄金期が再来するかもしれない!」

 

ワクワクもんです。

がんばってぼきわん、Jホラーの未来はあなたにかかってるのよ!

まあ倒されるんですけど