CATVで観たホラー映画です。
2022年制作、インドネシアのオカルト閉じ込められホラーです。
【あらすじ】
ジャカルタ北部の高層アパートで、父親と弟二人と暮らすリニ。
彼女は前の家で、母親と祖母を亡くし、末弟のイアンも行方不明になった。
世間は、数年にわたり2,000人を殺した連続殺人鬼の話題で持ち切りだ。
そんな中、アパート内の事故で大勢の住人が亡くなる。
さらに嵐のせいでリニたちは閉じ込められ、多数の遺体と恐ろしい一夜を過ごすことになる。
【ひとこと感想】
暗転→明転で心臓をぶち抜く、悪夢めいた明滅系ホラー。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①まさかの続編だった。
②冒頭と事故と探索パートが本気で怖い。
③手話で話す死者たち。
【①まさかの続編だった】
鑑賞してから気づいたんですが。
本作は、『リメイク版の続編』でした。ヤッチマッタナー
第1作目は『悪魔の奴隷』。
ちなみに元ネタである作品のタイトルは、【夜霧のジョギジョギモンスター】でした。
( ・⌓・)<じょぎじょぎ……?
圧倒的に元ネタの方が気になるってなもんですが、ホラーを愛する心さえあれば前作未視聴なぞ瑣末なことです。
大丈夫。自分は 『ファイナル・ディスティネーション』 も 『サメストーカー』 も2から観たトリ。(邦題の罠にかかった)
前提として。
主人公のリニは、父親と弟二人と暮らしている。
大学進学を志しているけれど環境のせいで難しい。
アパート暮らしの前は一軒家に住み、そこで すごい怖い目 に遭い、母親と祖母を亡くし、末弟も行方不明。
父親は何の仕事をしているのか、家族にもわからない。
物語は記者のブディマンの視点で始まります。
この冒頭が、すっっごい怖かったです。
【②冒頭と事故と探索パートが本気で怖い】
1955年、ブディマンが警察官に連れられた先はどこかの集会場。
そこには、布に包まった死体が整然と並べられていました。
まるで五体投地したまま硬直したような死体がずらっと。
正面に掲げられた謎の女の肖像画にひれ伏しているようなその様は、不気味で悪夢そのものでした。
『返校』 でも 『サンゲリア』 でも 『オーディション』 でも思いましたが。
何故布に包まれた人体は、生死問わずで怖いのか😨🫨
(ウジがわく顔面のインパクトよ……)
この恐ろしい出来事は公にできず、都市伝説として広めるようブディマンは命じられました。
時間は流れて、1984年。
リニたちが住む14階建ての高層住宅・マンダラアパート。
といっても住人の対象は貧困層で、薄暗く、あちこちボロボロで。
エレベーターの1階扉の下には 穴 が空いていました。
そこでえぐい事故が起こります。カウントダウンっぽいBGMを添えて。
エレベーターが作動中に止まり、カゴごと落下しました。
それには聴覚障害を持つ母親と、介助する少年ウィスヌも乗っていました。
ウィスヌは何とか脱出しましたが、母親と他の住人はそのまま落ちる。
1階のその下には、落とした小銭を争いながら拾う幼い少女たちが
ぐちゃっ
諸々潰れる音、生き残った少女ウィナにかかる血飛沫。
最悪な事故が起こり、あっという間に団地内はご遺体だらけになりました。
( ;⌓;)<子どもが死んだ……
これぞアジアンホラー。胸も胃も痛む。
なんか知らんけど死が平等。子どもも善人も何なら犬も死ぬ。
これも宗教観の違いでしょうか😟
最悪は加速し、外では大雨が降りしきり、マンダラアパートは冠水して1階が水に埋まる。
泳ごうにも断線した電線があり、水に入れば感電死。
そんな強大な密室の中――
あなたならどうしますか。
家に閉じこもって寝る。それが一番ですね。
しかしそうはならないのがホラーというもの。
きもだめしなんて安易かつひとでなしな手法は取らず、きちっと主人公たちにアパート内をうろちょろさせました。
(見事だけど怖い)
【③加速する恐怖と死体フェスティバル】
ウィスヌが心配で様子を見に行くリニ。
父親を亡くした友達が心配な弟ボンディ。
ご遺体を見回るよう強いられた弟トニ。
各自の視点で物語が進みます。
特にトニの見回りパートがやばかった。
先生と呼ばれるオッサンに命じられるのですが、それに使う光源が マッチ なのです。
( ;ω;)<いやだよ!!!
貴様の懐中電灯よこせよ! ってなもんですが、このマッチがいい仕事をするんですね。
マッチが火が消えて暗転、マッチを点けてor稲光で明転。
その一瞬で、画面が変わるのです。
死体が、動くのです。
個人的に怖かったのは、住人のセクシーガール・タリのターン。
ラジオを聴いていると、徐々にその内容がおかしくなる。
ラジオ:「俺をふった女へ どこに逃げても探し出す」
さらにラジオからタリと同じ名前、同じ声の女が助けを求める。
ラジオ:「助けて。お墓がすごく狭い」
:「母さん。奴らがいつも私を拷問するの」
:「喜びを感じろ!」
:「助けて神様!」
泣いて救いを求める自分自身の声――と同時に、四肢が折れ曲がった自分自身の姿を幻視するタリ。
やがてそれは……という容赦のなさに、ゾワゾワしました。
(お祈り中に背景がコロコロ変わる=元凶であるカルト教団の影響? も怖かった)
話は進み。
リニは自分の父親がカバンに 人間の指 を大量に詰めていることを知り、
ボンディはアパートに幻の15階があることを突き止め、
姉弟で合流するも、行方不明だった末弟が現れ――
謎の白いベールを被った女やら動く死体やらが出てきました。
つまりだんだん派手になっていきました。
それまでの慎み深さなど投げ捨てて、真夏の死体フェスティバルです。
特に面白かったのは、友人ディノの死に様。
お化けが被っていたベールを水に投げ捨てようとしたら、ベールがフワッと戻って巻きつきました。一反木綿かな?
そのまま絞殺かと思いきや、転んで突き出た柵にノドを貫かれました。感電死じゃなかった。意外で良い。
口から出産する死体もいましたし、
エレベーターにみっちみちに立つ白い死体のインパクトが凄まじい。
なんやかんやでカルト教団に捕まる一行。
フラッシュ明滅が凄まじい中、リニは美しい夢を見せられ、「家族のことは忘れろ」と悪魔の誘惑を受け、
イアン(中身は悪魔):「馬よ! 僕の可愛い馬たちよ」
\ヒヒーン!/
と召喚した馬に四肢を引っ張られる拷問の、『幻覚』を見せられました。
果ては、死者を操る方法が手話でした――って。
Σ( ゚д゚)<インドネシア産のゾンビって手話で意思疎通すんの!?
寡聞ながら初見です。そんなゾンビは。
学ぶことばかりだ……🫢
【まとめ:求ム、前作と続編】
寸でのところでブディマンが助けに入り、一行はボートで脱出。
(中身は悪魔(仮)とはいえ、弟の姿をした者の首を棒でぶち折るリニの剛毅さに舌を巻きつつ)
真相は『カルト教団のせい』でした。
姉弟の父親は元警官で、ラミノムという女(冒頭に出てきた肖像画の人)の教団に入団。
妻、つまり姉弟の母親も入団させ、そこでは子どもを授かったらスターになる。
退会しようとしたけど、それには1,000人殺さなければいけない。
つまり、
世間を騒がす2,000人を殺した連続殺人鬼が父親だった。
動機は、
パパ:「おまえたちを守りたかった」
だそうです。
最後の最後でめっちゃ大味になったな……と思いきや、
カルト教団の根城だった部屋で、突然知らんカップルが現れ、壮大な愛の言葉でいちゃついて終了しました。
いや、ていうか。
( ・⌓・)<……誰……?
(あれだけ怖かったのに最後はこれですよもう)
【おまけ:ウィスヌが立派で痛ましい】
登場人物の中で、いちばん有能だったのがウィスヌです。
死者たちの暴動を手話で食い止めたのも彼でした。
エレベーターの事故で、必死で母親に手を伸ばしたのに助けられなかったシーンはつらかった。
その夜も、彼は涙ひとつ見せず、至って冷静で。
リニの境遇に同情さえしたのです。
ウィスヌ:「頑張ってね、リニ」
母親を亡くしたばかりの子が、こんな言葉をかける。
その気持ちを想像して、ちょっと苦しくなりました。
次回は6月17日 6月24日月曜日、
2012年制作、インドのホラースリラー、
『ピザ 死霊館へのデリバリー』の話をします。
( ;ω;)<コロナになったので休みます……
鳥谷綾斗