ゲオで借りたホラー映画です。
1987年制作、イギリスのスタイリッシュオカルトホラーです。
【あらすじ】
究極の性的快感を体験できるパズルボックス、『ルマルシャンの箱』。
それを手に入れたフランクは行方不明となる。
数年後、彼の弟のラリーが後妻のジュリアを連れて実家に帰ると、そこには肉体を失ったフランクがいた。
フランクと関係していたジュリアは、彼の復活のために他者の血肉を捧げる。
【ひとこと感想】
グロテスクで美しい怪物造形が光る、SM育成推奨ホラー。
(ただし最後はびっくりハウス)
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①グロ造形が素晴らしい
②前半はサイコサスペンス
③後半はびっくりハウス
【①グロ造形が素晴らしい】
この作品の特筆すべきは、こだわり抜いたグロ造形。
キッチンの腐った食べ物に本物のウジやG。
ラリーの血を得て(床が吸水力バツグンでウケた)復活したフランクの、骸骨に肉をまとったような姿。
皮膚がなく人体模型みたいな男がタバコを吸い、女をたらし込む様。
病室の壁が割れ、異空間につながり、点滴の袋が真っ赤に染まり、
ついでに謎のヒゲもじゃ男が虫を鷲掴みにして食い、ヒゲに羽虫がついているところなどに、
( ゚∀゚)<ウヘハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
よく分からん笑いが出ました。
この嫌悪感がゾクゾクする。見るも耐え難いのに見てしまう。
80年代のホラー映画に出てくるグロ造形でしか得られない栄養素がありました😘
特にデザインが秀逸なのは、ルマルシャンの箱を解いたら現れる『セノバイト(魔道士)』たち。
リーダーっぽいピンヘッド、
紅一点なフィメール、
ぬっぺふほふみたいなバターボール、
歯をカチカチ鳴らすチャタラー。
怖いけどオシャレで、目だけやたら綺麗な彼らはシリーズの顔です。
が、彼らの正式な出番まで1時間6分ほど待ちます。
何故ならこの映画、最初は完全にグロつきサスペンスでした。
【②前半はサイコサスペンス】
前半は、究極の官能とやらを求めた挙句に肉体を失ったフランクを復活させたい、ジュリアの頑張り物語です。
実は義兄と関係していた彼女。
そのときの回想が完全に三文オペラで、特にナイフでキャミソールのヒモを切るところは「浸ってんな〜〜」と笑ったのです、が。
フランクと他の女とのアレな写真を見ても、その想いは壊れないジュリア。
復活に必要な血を求めて、行きずりの男を家に連れ込みます。
最初は戸惑いながら男を誘い、苦しげに殺して返り血を拭う彼女。
(空っぽの死体を担いでいて、血がないと人間の死体って軽いんだなぁと思いました)
その献身のおかげでフランクはどんどん元気に。
ネズミを磔にしたり、ジュリアがラリーとおっ始めようとするその背後でネズミを削ぎ切りにしたりと大はしゃぎです。
(ネズミが何したって言うんだ……)
( ・⌓・)<うわこいつ嫌いだわ〜〜
となったところで、ラリーの娘(ジュリアには義娘)であるカースティが本格参戦。
ヒロインはカースティになり、皮剥ぎスーツのフランクと出会って、ルマルシャンの箱を持ち出します。
【③後半はびっくりハウス】
ノリで箱を解いてしまうカースティ。(そんな得体の知れないものをいじくるなよ)
セノバイトたちが彼女の前に現れ、
ピンヘッド:「快楽の領域を広げる案内人」
と自己紹介して、「快感と痛みは紙一重だしこの苦しみを耐えれば悦びもひとしおだよ🤗」と、魔界で拷問を受けるよう強います。
しかしカースティは強かった。
フランクを脱走者だとチクり、自分の身代わりに連れていけと交渉したり、
クローゼットに隠れていると死体が倒れてきて、胸や腕にウジがボロボロ落ちてきたのに叫ばなかった。(いや死体をそのままで収納すな)
キモの座ったオンナでした。(好き)
対して父親兼夫のラリーが可哀想すぎた。
なんと兄であるフランクに殺されて皮を剥がれました。
ジュリアは大喜びでフランクと一試合します。物の例えです。
愛してはいてもさすがに皮剥ぎスーツと寝る気にはなれなかったようです。それ外見は殺した旦那だがいいのか。
NTR通り越したNTR(乗っ取り)です。この人でなし!
カースティはフランクと戦い、セノバイトたちに引き合わせます。
ここからがギミックだらけです。
フランクを捕えんと走る鎖、彼の肉に突き刺さるフック、爆散する顔面と肉体。
壁から血が流れ、自動でドアが開閉し、ピカピカ光りまくり、『ポルターガイスト』ばりに大暴れする家。
追いかけてくるセノバイトたち、扉を開けたらバターボール、箱を使いこなして逃げるカースティ。
びっくりハウス感があって面白かったです!😚
ラストは一瞬で全焼した家を前に、カースティは箱を燃やそうとしますが、
謎のヒゲもじゃ男がそれを拾い、🦕プテラノドン🦅 みたいな姿になって飛んで持っていきました。
意外とファンタスティックな映画でした。
(箱で始まって箱で終わるところ大好きやで)
【まとめ:究極の快楽って】
セノたちと発言とフランクの証言をもとに推察すると、
究極の快楽=SM
という公式が成立しました。
(そんな賢いものではない)
しかしまあSMならSMでもいいんですけど、それならちゃんと相手(カースティ)の了解を得ないとねってセノたちに言いたいです。
それはそれとしてフランクに腹が立った93分でした。
殺した弟・ラリーのことを『生ける屍』と抜かしたのが特に。
いやラリーは立派な人間だろうよ。
ちゃんと働いて家を持ち、妻子を養い、毎日を生きている社会人で大人だった。
それに引き換えフランクがやったことは、弟の嫁を寝取って事後に「物足りない」とほざき、ドスケベを求めて肉体を失ったくせにまた女を利用して最後はポイ捨てした外道の所業。
加えて、父親を心から心配するカースティをニヤニヤ見下ろす嫌らしさ。
さらに肉体が爆散する寸前の捨て台詞が、
(顔面をフックで引っ張られながらも舌をペロォっとして)
フランク:「キリストは泣き、俺は復活する」
(# ゚Д゚)<いや貴様何様〜〜〜〜???
性欲もコントロールできない人間が何を抜かすのだ。
同列に並べるな恥知らず。
そんな輩には究極の快楽っつーか至高の喜びは絶対に得られん、と断言します。
そういうものは、毎日をきちんと生きた者しか味わえないものです。
喜びを受容できる器を自分で育てないとどんな快楽も幸福も意味がない。
労働後のビールが死ぬほど美味いように。
日々のしんどさを耐え忍んだからこそ推しの現場が輝くように!
つまり人生ってメリハリが大事。
(また変な〆で終わる)
次回は12月4日月曜日、
2023年制作、日本の子ども向けホラーアニメの大人版因習系家族愛ホラー、
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の話をします。
( ・⌓・)<12月……?
鳥谷綾斗