人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/血を吸うシリーズ

アマプラで観たホラー映画シリーズです。

1970年公開/『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』(洋館もの)
1971年公開/『呪いの館 血を吸う眼』(洋館もの)
1974年公開/『血を吸う薔薇』(学園もの)

山本迪夫監督の三部作をまるっとまとめて話します。

 

 

  

 

 

 

 

【あらすじ】
美女が吸血鬼に目をつけられる。(大体これ)

 

【ひとこと感想】
これはホラー映画ではない、怪奇映画だ。

 

【3つのポイント】
①昭和レトロの浪漫あふれる画面。
②昭和のコンプライアンスどうなってる???
③美女たちよ、蹴り飛ばせ。

 

【①昭和レトロの浪漫あふれる画面】
まずは予告編をご覧ください。

 


www.youtube.com

 

鑑賞の際、私は飢えていました。

最近のホラーには、ロマンが足りない。

画面がスッキリしている。画面がミニマリスト
現代日本・海外の平均的な家屋やゴミ屋敷に現れるお化けもオツですが、よく分からん事象が起こって人が死ぬという非日常を、より非日常な背景で味わいたい。
非日常を極めたい一心で、パッケージ・予告編からして非日常感あふれていた『血を吸う人形』を観ました。

したら早速、

( ・ω・)<初っ端から雷雨に濡れる洋風お屋敷きたー!

 

タクシーのメーターにすら可愛いと萌えました。
レンガでできたお屋敷、シャンデリア、テカテカ光る階段、陶器の調度品、天蓋つきベッド、「何これ掃除大変そう〜!」とニッコリはしゃげるインテリア。
『血を吸う眼』のヒロインの家も可愛かったです。台所が芥子色×クリーム色の市松模様の壁紙でした。
美女たちの就寝時はレースのネグリジェ。血に染まるのはお約束。

これだよこれ、求めていたの!

どっぷり世界観にハマりました。
ここに出てくる吸血鬼は『ヴァンパイア』ではありません。
『ドラキュラ』です。

ホラー映画ではありません。これは『怪奇映画』なのです。
(同義語は「ミステリ小説ではなく『探偵小説』」)

 

【②昭和のコンプライアンスどうなってる???】
そんなレトロあふれる昭和の風景ですが、ちょいちょいヤバい場面がありました。

『血を吸う人形』では、
若かりし中尾彬氏が、市役所の窓口でタバコを吸って、「ちょっと見せて」と職員から戸籍謄本を勝手に閲覧する。
個人情報保護法のない時代……)

『血を吸う薔薇』では、
「生徒がひとり消えましてねー流行りの蒸発ですなー」というセリフがある。
(軽ぅ。昔の学校教育法には学生の安全は含まれていなかったのか……???)

さらにもういっちょ、
若かりし黒沢年男氏が、「(痴漢に)覗かれるのは君たちがキレイだからさ。怒ることないだろ?」と軽く流す。
(教師というか人間としてどうなん???)

こういうのがあるから「昔はよかった」的な言葉には反発してしまうんですよねぇ。

ちなみに「キ」で始まり「イ」で終わる放送禁止用語も普通にありました。

 

【③美女たちよ、蹴り飛ばせ】
基本的には大満足な作品ですが、でっかい不満がありました。

とにかく美女たちが弱いのです。
雪虫以下の戦闘力でした。

ヨボヨボのおじいさんに肩を掴まれただけで体が動かなくなり、大した抵抗もせずに謎の注射を打たれる美女。
バシッと頬を叩かれただけで気絶する美女。
「誰か、誰か来て!」と助けを求めるしかしない美女。
愛する男(?)が戦っているのに見ているしかしない美女。
やっと抵抗したかと思いきや枕しか投げない(せめて花瓶を投げろ)美女。

(# ゚Д゚)<蹴 り 飛 ば せ !!!

反撃しろ! じっと見てないで後ろから追撃しろー! と飛ばす野次。
反撃ヒロインを何より愛する身にはもどかしい限りでした。

あの時代はこういう女性が求められていたんでしょうか。分からんとです。

そして何故人間が吸血鬼化したかというと、
『黒幕が死にかけた美女や美男に催眠術をかけたから』でした。
死人すら蘇ってました。あとは普通に血を吸って増えた系。 

( ゚д゚)<昭和の催眠術すごいな!?

今こんな真相にしたら絶対企画が通らない。たぶん。
当時では、『催眠術』も『吸血鬼』も同じカテゴリだったんですね。

 

【まとめ:ひとつずつ感想】

『人形』
雷雨の中、婚約者に会いに山奥の洋館に向かったまま戻らない兄。妹は兄を探し、恐怖の夜を過ごす。
肉体は死んでも執念は消えない。黒幕がそもそもの元凶すぎて、だからあのラストは溜飲が下がりましたし、何より哀しくて美しかったです。ロマンです。
見所はカラスの死に様。ド派手で素晴らしい。 

『眼』
少女時代に見た悪夢。洞窟を通った先にある山の中のお屋敷。ピアノを弾くミイラと真っ赤な目の吸血鬼。
棺桶に入った吸血鬼が運送屋に運んでもらっていた。斬新。
追い詰められたヒロインがクローゼットに隠れ、隙間から鏡台の鏡を見て誰もいないことを確認し、ホッとして出てきたら吸血鬼がずっとそこにいた、という場面が最高でした。鏡には映らない吸血鬼。ロマンです。
ヒロインの幼い身勝手さもよかったです。 

『薔薇』
若く美しい女たちが通う学園に、夜な夜な現れる吸血鬼。
婚活とアンチエイジングに勤しむ吸血鬼がいました。斬新。
血を吸うと白い薔薇が紅く染まる演出に、ロマンの粋が込められていて最高でした。
学園長とその夫人(夫人が元凶)が斃れた時、夫が妻に懸命に手を伸ばす場面は、和風な笛のBGMもあって能っぽいラストでした。ロマンです。

そしてもうひとつ。
吸血鬼たちが消える際は灰ではなく、嘔吐物のような幼虫のような溶けた内臓のような造形でした。
(『死霊のはらわた』のラストシーンにも出てくるやつ)

( ・ω・)<カルト映画のグロ造形でしか得られないロマンがある。

ロマンです。怖い映画にロマンチックをお求めの方はぜひどうぞ。

 

次回6月21日は、夏の風物詩・サメ映画の『パニック・マーケット』の話をします!



鳥谷綾斗

映画/ザ・スイッチ

映画館で観てきました。

緊急事態宣言のために4月からずっと休館だった映画館。
「なぜ公開初日に観に行かなかったんだ」と袖を噛み枕を濡らす日々でした。
そして待望の休館明け――そしてまさかの6月3日まで上映されると知り――

( ;ω;)<ありがとうTOHOシネマズ梅田さん!!!

 

 

 

日付が変わった瞬間に最高の席を予約し、感謝のフローズンマンゴーソーダをお供に堪能してきました。
やっぱり映画館最高ですね!

⸜( ´ ꒳ ` )⸝✩︎⡱

閑話休題

2020年製作、アメリカのホラーコメディヒューマンドラマです。
(原題は『Freaky』=入れ替わり映画の名作が元ネタのようです)

 

theswitch-movie.jp

 


www.youtube.com

 

※はしゃいで全力ネタバレです。

 

【あらすじ】
内気な女子高生・ミリー。
父を亡くし、家では酒浸りで過干渉な母と仕事に逃げる姉に挟まれ、学校では教師にも同級生にもいじめられ、我慢を強いられてきた。
学園祭の夜、彼女は「ブリスフィールド・ブッチャー」と呼ばれる大男の殺人鬼に遭遇する。
謎の短剣で刺された瞬間、ミリーとブッチャーの魂が入れ替わった。


【ひとこと感想】
「女には向かない職業第一位は殺人鬼?」なグロコメディ。

 

 

【3つのポイント】
①約束された面白さ。
②滞る惨殺とクズしか死なない気遣い。
③見た目で判断したらダメだった。

 

 

【①約束された面白さ】
最初に予告編を見た時、

「その手があったか……!」

と思いました。

「なんでそれを思いつかなかったんだ……!」

と本気で悔しがりました。

 

入れ替わりもの自体は古典的な設定(この設定の最古の記憶は、観月ありささんといしだ壱成さんのドラマ・『放課後』です)ですが、それをホラー映画の殺人鬼とJKでやるとは。
この勝利しかないコンセプトに期待値は100。
しかも制作がブラムハウスです。
近年の「アメリカ製の面白いホラーと言ったら大抵ブラムハウス」とまで言われる安心と信頼のスタジオです。

そりゃあ期待値が10000000000にもなるさ!!!

 

【②滞る惨殺とクズしか死なない気遣い】
いざ観てみると、なんて気遣いにあふれた展開だと思いました。

何せ殺されるのがクズしかいない。

ブッチャーinミリーになってからは、承認欲求モンスターのいじめっ子女子と、高圧的なパワハラ教師などしか殺されてません。
(ちなみにこの教師にセクハラ要素が皆無だった点に固い倫理観を感じました。邦画なら絶対あったぞセクハラ教師要素。
 ちなみのちなみに変わったセクハラ要素といえば、ゲイの友達が別のゲイに無理やりキスされる場面がありました。
 これはセクハラを容認していると性別関係なく尊厳を踏みにじられるぞ、という警告かもしれない)。

ブッチャーの自己紹介シーンである冒頭でも、パーティー中の高校生が四人ほど殺されましたが、まあ「唐突に乳繰り合うカップル」と「ワンチャン狙ってる男」だからいいんじゃないですかね。
(※ホラー映画特有のぶっ壊れ倫理です。現実に持ち込まないでください)


それに巻き込まれたワンチャン狙われる女子は可哀想ですが、感情移入する前に死んだから大丈夫です。(※ホラー映画特有のぶっ壊れ倫理以下略

途中、ジョシュとブッチャー(体はミリー)が二人きりになって、「もしかしてジョシュ死んじゃうの……?」と不安になりましたが大丈夫でした! ジョシュのオカンも無事でした!

なんて気遣い。
あくまでコメディだから、という強い意志を感じました。

さて、「よし、女子高生の体になったしどんどん殺すぞー!」と超はしゃぐブッチャー。
ですが、思うようにはいきません。

元々の怪力の巨体なら余裕で殺せたのに、今は華奢な女の子の体。
最初のいじめっ子女子以外は返り討ちに遭ってしまいます。

ここで観る側もフラストレーションを感じ、ブッチャーに感情移入してしまうクールな造り。

なのでクライマックスの学園祭のダンパ、ミリーをいじめていたのにちょっとオシャレしただけでモーションをかけてくる下半身系男子が現れた時、

殺されるべきクズきたー!
やったー! しかも3人だー!

( ゚∀゚)o彡゚

と、心の中でガッツポーズ取りました。

(※ホラー映画特有のぶっ壊れ倫理観です。現実ではコンプライアンスを守ってます)

 

しかし、案外あっさりしていたのが少々残念。
個人的にはクズの股間をチェーンソーで狙うのはとても良かったのですが、もう少しガッツリ描写でお願いしたかったです。

ついでに「なぜ入れ替わったのか?」の理由が「謎の短剣(たぶんスペイン産)のせいです」というのも親切でした。
(この作品の場合、謎は余計なノイズになる)

 

【③見た目で判断したらダメだった】
野暮ったい服装でよわよわ女子だったミリーが、ブッチャーに入られ、クールなアイメイクと真っ赤なリップ、赤い革ジャンと無表情で武装したり。

ジェイソンのようなお面を被っていなくても、獲物を狙う肉食の虫のような様相だったブッチャーが、ミリーに入られ、乙女ポーズと「ぴえん🥺」な表情で右往左往したり。

変身の面白さもあって、役者さんすごかったです!

特にミリーinブッチャーの走り方が最高でした。
漫画なら「ぱたぱた」と丸文字で擬音が書かれそうな、可愛いトロくささでした。

そして何やかんやあって、ミリーは片想いのブッカーと心を通じ合わせます。(ポエムで。少女漫画の世界か)
ミリー(体はブッチャー)の隣に座り、彼は甘やかな声で彼女にささやきます。

 

「今、キスしたら変かな?」


ここで場内に失笑が起こりました。
私はと言いますと、

(   ˙-˙ ).。oO(だいぶ変です、と思いかけたけど別に変じゃないな……可愛いもんなこのミリー。いやでも体は殺人鬼なわけで……でも中身はミリーで……あれ「変」って何だっけ……?)

さらにクライマックス。
元に戻るために、ミリーはブッチャーを追いかけます。
この『大男に追いかけられる少女』という構図、「アメリカホラーのクライマックスで絶対見るやつ」なのですが、大変オツです。この作品に限っては、正義側=観客が応援する側があべこべなのです。

人はかくも外見に惑わされるもの、と再認識しました。

 

【まとめ:ジャイアントキリングで喰らいつけ】
弱気なミリーの友達が黒人の女の子・ナイラとゲイの男の子・ジョシュというチョイスがまた印象深いですね。

これまでのブラムハウス作品を観る限り、この子たちは「立場的に弱い」とされる人たちです。
(ナイラとジョシュがブッチャーに遭遇した時、「ゲイと黒人じゃ生き残れない!」とメタ発言もありました)

そんな「弱い立場」の人たちが戦う物語でもあります。

最後の最後、ブッチャーは言います。

 

「おまえになって、おまえの弱さを感じた」

 

母親の言いなりで姉の劣化版の娘だと侮蔑し、ミリーにこのまま殺されちまえと唆します。
ですがミリーは、そんな言葉に負けず、ブッチャーの股間を蹴って(リーサルウェポンとルビを打ちたい)、容赦なく串刺します。

死んだブッチャーに吐き捨てたセリフ、

 

「私はいいタマよ」

 

最高でした。
ミリーは別に弱くなかったし、いじめてくる連中は別に強くなかった。
(ミリーinブッチャーがいじめっ子男子を力で脅し、失禁つきで許しを乞われる場面もありました。自分より強いものには弱いってやつです)
恐ろしい殺人鬼すら、結託と知恵と勇気で倒せる。
夫恋しさに酒浸りになる母親も、家族が煩わしくて仕事に逃げる姉も、我慢を選択し続けたミリーも。
弱いところがあるだけで、踏み潰されるだけの存在では決して無かった。

という、私の大好きなテーマが盛り込まれていました!

 

友情と恋愛と家族愛で殺人鬼――この世で一番恐ろしいもの・『死』をもぶっ倒す。

清々しくも、ちょっとブラックなラストでした。

 

次回予告
1970年代の日本製作、
吸血鬼ものの怪奇映画、『血を吸うシリーズ』です。
ロマンがあふれて止まりませんでした!

 

 

鳥谷綾斗

お知らせ/ブログタイトルを変更しました。

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この年まで生きてきて、
やっと見つけたひとつの答え、みたいなアレです。

( ・ω・)<人生 #とは

というわけでブログタイトルを変えました。
ここまで主張を全面に出すのは小っ恥ずかしいのですが、単なる感想文にここまで 🥳俺色🥳 前出しにしておいて今さら恥ずかしいも無いなと思いました。

そんなわけでホラー映画メインの、元気なブログとして継続しますので、お時間あります時にでもお付き合いください。

(たまに別のジャンルの映画の話もします)

隔週目標で、月曜日20時に更新します。
テンションが安定していれば毎週書きます。

コメントなど頂けたら喜びますのでよろしくお願いしま!


【次回予告】
明日6月7日20時、アメリカ産ホラーコメディ、
『ザ・スイッチ』の話をします。

TOHOシネマズ梅田さんに感謝しながら鑑賞しました!

鳥谷綾斗

ドラマ/リカ リバース

2019年秋に各界を席巻した、
自称28歳の純愛モンスターこと『ある意味男の理想の女』の具現化系ホラーレディ・リカちゃんが国士無双するホラードラマ、待望の続編です!

( ゚∀゚)<最高!!!

前作の感想はこちら。

word-world.hatenablog.com

www.rika-28.com



【あらすじ】
『リカ』より30年ほど昔のこと。
雨宮家に、若い家政婦・幸子がやってきた。
彼女の主人となるのは、医者の夫と美しく聡明な双子の娘を持つ女・麗美
だが、絵に描いたような幸福な家族には、恐ろしい歪みがあった……

 

【ひとこと感想】
 Happy BIRTHDAY, JUN-AI Monster.
(かっこよく英語で)

 

【3つのポイント】
①ビジュアルが素敵すぎる。
② 『リカ』と麗美を同じ役者さんが演じたの100点。
③どうすればリカちゃんは幸せになれるのか。

 

【①ビジュアルが素敵すぎる】
前作に引き続き、画面の雰囲気はレトロです。
加えて、舞台が豪華なお屋敷になり、ゴージャスさが加わりました。

お気に入りは、双子の姉妹・梨花と結花の対比。
第1話で無表情なふたりが並んだ場面は、『シャイニング』の双子のシーンを彷彿させます。

でも一番グッときたのは、
真っ白なレースのネグリジェが真っ赤に染まる、あのラストです。

これだよこれ、求めてるのはこれなんだよとガッツポーズってなもんです。

自分は常々日本のホラーに思ってました。

( ;ω;)<怖くないんなら怖くないなりにビジュアルは振り切ってくれよ!!!

雰囲気だいじ。

そんなホラーレディとして完璧な『リカ』(※概念)たちが、3人がかりでタクシーを追っかける場面は是非とも観ていただきたい。

 

【②『リカ』と麗美を同じ役者さんが演じたのは100点】
キャスティングが発表された時、「神ってる」と思いました。

『リカ』のルーツを描くためには、間違いなく正しい。

『母親』と『娘』とは、不思議なものです。
鏡写しのコピーのような、相反するようで同じ性質、似たくないと思っても似てしまう、絆と呪縛の螺旋がそこにあります。

自分がもっとも怖いと思ったのは、麗美が娘たちの前で、自分の腕を傷つける場面。
残酷な場面でした。子どもにとっては、自分が叩かれる以上に深く深く傷を負う。

この母親の元で育ったら、『リカ』がああなるのも分かる。そんな説得力がありました。

 

【③どうすればリカちゃんは幸せになれるのか】
さて、予想どおり最終話でほぼ全員ぶち殺して、ここからリカちゃんの愛を探す長い長い日々が始まります。

彼女が求める愛はどこにあるのでしょうか。

たぶん彼女と最大に相性が合うのは、『子どもな男』です。
自分一人では何もできず、何もしようとせず、食事の際にテーブルに座って新聞を読む(今ならスマホをいじる)だけで何ひとつ動こうとせず、うっかり箸を出し忘れようなもんなら、「おい、箸は?」と言うような男です。
(これはクソ野郎の描写として秀逸すぎるので自作・『殺人権利、お売りします。』の第2章で採用しました。読んでください(要求が直球))

リカちゃんは尽くす女なのでね。良妻賢母ですのでね。

 

ですが、

彼女がそんな男を、好きになるわけありません。

 

この『リバース』で、彼女の好みの男は『包容力のある年上の男性』、要は『父親』だと判明しました。

 

決して振り向いてくれなかった父親。

優しい顔で優しく名前を呼ぶのに、冷酷な、無関心で自分のことしか頭にないあの父親に、彼女はずっと愛されたいと泣いていた。

だから、パパのような男を求める。
(ていうかパパと前作の本間さん、系統一緒やな?)

 

これこそがジレンマ。需要と供給がまったく一致してないのです。
いっそ愛の形を変えたらどうだろう、とも思いますが、そうは簡単にいかないから悲劇は生まれてしまう。ままならないですなあ。

 

【まとめ:全3話なんて残念、と思いきや】

( ゚∀゚)<映画来たぞやったー!!!

2021年6月18日に公開だそうです。
ホラー映画がコンスタントに公開されるのはめっちゃ嬉しいです!
そんな期待度大な予告編。


www.youtube.com

 

ホラー……んっ? ホラー?
いや、ホラー!! うん!!!

超絶楽しみです。
(でもキャッチコピーは、「惚れられたら、死ぬ」では? と思いました)

映画/ドント・ハングアップ

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2017年製作、イギリスのサスペンスホラーです。

 

 

ドント・ハングアップ(字幕版)

ドント・ハングアップ(字幕版)

  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: Prime Video
 

  

※全力ネタバレです。

 

 

【あらすじ】
卒業間近の高校生・サムとブレイディ。彼らはイタズラ電話の様子を配信する、迷惑系動画の投稿者だった。
サムは両親が留守の夜、遊びに来たブレイディとイタズラ電話を愉しむ。
そんな中、電話をかけた相手から折り返しがかかる。
「――楽しいか?」
冷ややかな男の声で、惨劇が始まる。

  

【ひとこと感想】
「生きたければ電話を切るな……」→「いやめっちゃ切っとるがな」的映画。

  

【3つのポイント】
①どこに出しても恥ずかしくないほどのツッコミ系ホラー。
②技術がすごい。
③海外ならではの真相。

 

【①どこに出しても恥ずかしくないほどのツッコミ系ホラー】
もはやタイトルでモロバレですが、こちら、世紀の大傑作・『ドント・ブリーズ』の人気に乗っかった系です。
懐かしい現象です。『SAW』が大ヒットした時、いったい何本の白地にタイトルバーンと書かれた『SAW』っぽいパッケージのホラービデオが量産されたことでしょう。

 

最大ツッコミ要素は、以下の2点。

①犯人(自称リーさん)のかくれんぼ。
死体と入れ替わって隠れていたわけですが、なんで入れ替わったのか分かりませんでした。

 ②目覚めた時のサムの行動。

( ・⌓・)<サムはなんでナイフずっと持ち続けてるの???

 

(気絶したサムに凶器を持たせて、すべての罪を着せちゃうオチでした)


金田一少年の事件簿caseシリーズの『金田一少年の殺人』に、気絶しているはじめちゃんを立たせた&ナイフを持たせる場面を思い出しました)

(本家公認のスピンオフで「意外と簡単に立つんだなぁ金田一って」って神フォローがあった)

(本当になんで警察が来るまで律儀にずーっとナイフ持ち続けてんの???)

 

【②犯人(自称リーさん)の技術がすごい】
家電で警察に電話したのに、全部リーさんにつながるってどんな技術よ。

(両親監禁のタイムラグの仕掛けより気になりました)

  

【③海外ならではの悲劇】
真相は簡単にいうと、サムたちがイタ電をかけたのがリーさんだった。
嘘の通報を信じたりーさんの奥さんが、恐怖のあまり娘さんを発砲して自殺してしまった……というもの。

銃社会ではない日本では、まず起こらない悲劇です。
なんとなく、これと似た怪談・「赤ん坊の首」を思い出しました。
(つーかあれも幼心に「そんなアホな」とツッコみました)

 

【まとめ:スカッと啓蒙】
間違いなく友達と観てコーラ飲みながらポップコーンを投げつける、でもスカッと系であり、「悪いことはしちゃイカン」という啓蒙系の映画でした。

 

「一生ダチだ」

 

そんなセリフの後に、親友の彼女と浮気をしている場面があって、こいつぁ皮肉たっぷりだぜ流石イギリス! とテンション上がりました。

 

そしてラスト。
リーさんは悪質な迷惑行為をする輩を懲らしめる、なんと仕置人になりました。

キャラをもう少し立ててくれたらグッときたオチですね! うん!!!

映画/フライト・ゲーム

BSで観ました。
2014年製作、アメリカのアクションスリラーです。

 

 

 

 

【あらすじ】
航空保安官のマークスは、過去のとある出来事から酒浸りの日々を送っていた。
いつものように一般客を装い、ロンドン行きの飛行機に乗った。
夜を迎え、マークスの携帯電話に差出人不明のメッセージが届く。
それは、「指定の口座に1億5000万ドルを振り込まないと、20分ごとに誰かを殺す」という脅迫文だった。

  

【ひとこと感想】
『密!!!』が詰まった模範的娯楽映画!

  

【3つのポイント】
①ハリウッドのド王道を突っ走れ。
②細けえこたぁいいんだよ。
③恐怖の描き方とそれに対するキャラの書き方。

 

【①ハリウッドのド王道を突っ走れ】

( ・ω・)<びっくりするほど脚本術のお手本!

これでもか! と娯楽の基本がみっちみちに詰まっていて、テクニックが大渋滞すぎて『密!!!』でした。見事なり。

手本①/大事な大事なコンセプト。

太平洋上空を飛ぶ飛行機内で殺人を予告されるという、いわゆる『一行で分かる面白さ』がありました。

手本その②/主人公のマークスがめっちゃ馴染み深い。

航空保安官というエリート的な立場でありながら、過去のトラウマで自暴自棄モード、いわゆる『現在は“殻”の中にいる人物像』です。
そんな彼が犯人に狙われ、徐々に忘れかけていた正義を思い出す。
そして自分を縛っていた過去と対峙し、乗り越える……
もちろん、トラウマの元となった『娘』に対する救済もありです。でら手厚い。

( ・⌓・)<この展開、どっかで見た……

( ・ω・)<進研ゼミ(※脚本術の教本)で見たやつだー!

と、胸中で大盛り上がりでした。

この脚本、絶対シナリオ入門とかSAVETHECATとか読んだ人が書いただろ。
ゆえに吸引力が非常に高い。いやー面白かった。退屈しなかった。

 

【②細けえこたぁいいんだよ】
もちろん教本そのまんまというわけではなく、ちょいちょい外してきます。

まず最初に起こった殺人はマークスによるものですし。
(不可抗力です。仕方なかったんや)

次に、第2の被害者の凶器がまさかの吹き矢でした。

( ・⌓・)<なんて???

めっちゃ笑いました。突然の吹き矢。しかもトイレにある操縦室を覗ける穴(?)から吹いた。どんな構造?

こんな感じでちょいちょい引っかかる点はあるものの、コンセプトと展開が面白いので細けぇこたぁいいんだよと英語で笑い飛ばされた気分に。力技にも程があんだろ。

 

【③恐怖の描き方とそれに対するキャラの書き方】
この映画の最大の特徴は、『主人公の追い詰められっぷりが容赦ない』です。

見えざる脅迫犯からのメール。
常に背後から監視しているかのような言葉がどんどん届きました。
緊張感がすごかった。

 

乗客がマークスに不信感を抱く状況。
味方であるはずの保安局からも「犯行を思いとどまれ! 今なら引き返せる!」と言われ、
テレビではさもマークスが犯人だと言いたげな報道が流れる。

募る疑心暗鬼、乗客の中に芽生える攻撃性、どんどんボルテージが上がり、ついには爆発します。
しかしさすがハリウッド映画の主人公、それらに対する反応は、

 

マークス:「俺に協力してくれたら一年間飛行機無料にする!」

   私:「ฅ(º ロ º ฅ) !?」

 

一筋縄ではいかねぇ。
周囲から「アル中の保安官め! おまえなんか信頼できるか!」と言われまくった末のキレ方が独特すぎた。

マークス:「そうだよ! 俺はクズだよ! でも乗客を守りたい気持ちは人一倍だよ!(乗客の一人を抑えつけながら)」

 

めっちゃ輝いてました。
追い詰められた時にこそ為人が出る……これもまた、進研ゼミ(※脚本術の教本)で見た気がします。
勉強になります。

 

【まとめ:伝えたいテーマは】
クライマックスでこの作品のテーマはセリフとして提示されていました。

 

「安全はこの国の最大の嘘だ」

 

( ・ω・)<そら2010年代に吹き矢で殺されるたぁ思わんわな。

 

でも今書いてて思ったんですが。

2021年4月現在だとこのセリフ、沁みますね。

『安全』などどこにも無い。
『自分だけは大丈夫』なんてことは絶対に無い。

 

画面の向こうのものだと思っていた『不運』や『不幸』が、
自分の死角に在る隣人だと、少し意識できた最近です。

ドラマ/ヒトコワ

アマプラで観たホラー作品シリーズです。
2018年製作、日本のホラードラマです。 

 

ヒトコワ -この女たち全員サイコパス- 1 [DVD]

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  • 発売日: 2019/03/01
  • メディア: DVD
 

 

 

 

※全力ネタバレです。
※あまり好意的ではない。

 

【あらすじ】
舞台は練馬区。そこで生活する人間たちの、怖い素顔。
(1話につき2部構成です。微妙にリンクしていて、謎解き感覚を味わえます)

 

【ひとこと感想】
途中までは「おっ」と思ったんだけどもな。

 

【1話ずつ5秒感想】
この話の主軸は、 

借金まみれの会社を相続したので自殺しようとしていた会社員が、なんやかんやあって妻と自分の伯父が不倫していたことを知り、妻と娘を殺そうとするけれど未遂に終わった。
十数年後、会社員は妻を殺して、ついでに娘も殺そうとしたけど本当は実の娘だったことが発覚。
なんか知らんうちに会社員はなんか死んだ。
その娘は成長して、サイコパスに狙われたけどなんか大丈夫だった。
ちなみに別にパッケージの女たちは全員サイコパスってわけじゃない。

でした。
最終話で全部説明してくれた親切仕様に乾杯。

 

 

①捨て子

捨て猫
猫ちゃんを犠牲にする以外は期待値が上がった1話目。変質者の描写はよかった。

『依頼』
解決策が大変回りくどい。死体を運ぶ方が手間だと思いますが、でもサイコパスって解決策がぶっ飛んでるもんだからなー。(例:悪の教典のハスミン)

 

②侵入者

『トイレの鍵』
なんでわざわざトイレで待ち伏せするのかが謎。

『隣の夫婦』
個人情報を聞き出す会話テクニックが面白かった。

 

③復讐者の誕生
殺し屋への依頼文を、「生まれてくる娘の父親を殺す」という形にするための会話が勉強になりました。

 

④看護師

『家飲み』
性描写あり。浮気した女への意趣返しでした。
でもこれ、見せつけたい相手が起きるタイミングを見計らっておっ始めたのかと思うと、コントっぽくて笑けますね。フフッ。

『遺言』
孤独な老人が若い看護師にデレるのがあまり早い。『それだけ寂しかった』ということかもしれない。ゆえに、そのデレが愛になり狂気になるのもカップ麺ばりに早かった。

 

⑤山田ハイツ

『姦』『隣のカップル』
2話と話の仕掛けが一緒やないかーい。
(隣人・知人の旦那や彼氏かと思いきや、恐ろしい犯罪者だったネタ)
(なんでベランダの鍵が開いてるの???)

 

⑥犯罪者

『盲人』『誘拐』
胸糞系マックス。子どもの親切心につけ込んで誘拐したら、その子どもは実は……な展開。

『車泥棒』
ウシジマくん的展開。

 

⑦助けを求める

『予告』
騙された男が今カノにフラれる時の、「優しいよね。だからこそ無理」と突き放す場面はよかったです。

『ゴミ漁り』
他人のゴミを漁るようなヤバい奴だけど人間として大切なものはあるようだと期待したらやっぱりヤバい奴だった、オチ。
この虐待されていた子どもは6話の子どもと同一人物なの? あのあと家に帰されたの? と謎が残る。

 

⑧うらぎり

4話とオチ一緒やないかーい。
(殺される側が実は彼氏を寝取っていたネタ)

 

【まとめ:邦画ホラーの悪いところが出ていた】
途中で匙が大暴投されてました。

 

ホラー業界ではよくあることかもしれませんが、個人的には残念でした。

意外なオチにしようという心意気は買いたい。だがそれはそれとして、5話〜7話は「蹴っ飛ばすぞ」案件すぎる。

1話の猫ちゃんの件は必要性を感じましたけど、それ以外がなーーーー。
どうにも恐怖や意外性のための安易な選択に思えました。いやはや残念です。