人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/リゾートバイト

映画館で観たホラー映画です。
2023年制作、日本の都市伝説ごった煮Jホラーです。

 

シアタス心斎橋で観てきました!

 

リゾートバイト

個人的にこちら、オススメの映画館です。
座席同士に仕切りがあって、あまりお隣を気にせずに映画の世界に没頭できます🥳

 

resortbeit.com

 

 


www.youtube.com

 

 

【あらすじ】
引っ込み思案な大学生・桜は、幼なじみの聡と希美に、島のリゾート地でバイトを始める。
楽しく過ごしていたが、先輩の岩崎に肝だめしに誘われる。
女将の真樹子が、使用不可の2階へ食事を運んでいたらしい。
2階の閉じられた部屋に入ってから、桜たちの身に恐ろしい出来事が次々と起こる。

 

【ひとこと感想】
ああ来るとは思わなかったしこう来るとは思えなかったし、最後はそう来たかと膝を打った、予測不能青春闇鍋ホラー。

 

※全力ネタバレです。
※未鑑賞の方は、今すぐブラウザを閉じて映画館に行ってくださいまじで。

 

 

【3つのポイント】
①ああ来るとは思わなかった=八尺さま。
②こう来るとは思わなかった=憑依TS。
③そう来たかと思った=Jホラー的ラスト。

 

【①ああ来るとは思わなかった=八尺さま】
冒頭は完全に、ムズキュン青春ものです。
野いちごのように甘酸っぱいです。( ⸝⸝ ⌓ ⸝⸝ )キャッ 🫶

船の上、スマホのサーキットゲーム(圧倒的な伏線み)で無双する希美の横で、桜は海を眺める聡を見つめます。
キラキラとした背景に、ああ、恋をしているんだと分かる演出。
バイトの合間にビーチバレーや花火。「桜と聡をくっつけるのが私の使命なの!」という希美。それを受けて、少しずつ距離を縮めるふたり。
もう二度と戻れない『あの頃』を想い、( ⸝⸝ ω ⸝⸝ )キュン🫰

そんな中、いい感じにウザいオッサン 先輩の岩崎が提案した肝だめし。

(   º △ º )<やめろやめろ! 試すな肝を!

そのまま自然にくっつくのを待てとか磁石みたいなことを思いましたが、肝を試さねばホラーにならないというもの。

聡は、まんまと女将さんが謎行動をとっていた2階へ上がります。
ここからはホラー大放出。
無意識で腐った食べ物を貪る姿は、生理的にクるものがあってグッときました。

幽霊が見えてパニクる聡のために、桜も2階へ。
そこには鏡台に髪の毛と爪と、『禁后』と書かれた紙。
この時点で、

( ・ω・)<ん?

となりました。
まんまと桜も呪われ、子どもの幽霊たちに追いかけ回されます。
そして聡は、幽霊に囲まれ、目の前に現れた化け物を見上げて倒れてしまいます。

……ぽっ、ぽっ、ぽ…… と声を出す化け物、それは――

Σ( ・⌓・)<八尺様やないかい!

リゾバイだっつってんのに何故八尺様。このコラボは聞いていない。
いやまあ2階に仕舞われていたが『禁后(パンドラと読む)』な時点で予感はバリバリでしたが。

そんなわけで、2階にあったのは海で亡くなった子どもを復活させる儀式であり、真の敵は八尺様だと判明しました。
桜は旅館の無愛想な主人に連れられ、ある『住職』のもとへ。

 

【②こう来るとは思わなかった=憑依TS】
そのあとは『朝までここから出るな』の流れです。
八尺様とリゾバイ、共通の儀式ですね。
(発語と飲食と睡眠厳禁がつらいやつ)
(読書はありですか、京極夏彦のレンガ本なら朝までいけるのですがと言いたくなる)

のちの展開も予想どおり。桜は声真似で騙され、まんまと扉を開けて八尺様に魂を取られました。
(声真似で嵌めてくる点は事前に注意してほしい、と切に思う)(※1)

魂を取られ、抜け殻になった桜と聡。
二人を助けるためには、本人の体が魂を取り返しにいかなくてはならない。
そのために、希美が桜の体に、住職が聡の体に憑依することになりました。

ですがどういうわけか、(※2)

希美の魂は岩崎の体に、
岩崎の魂は聡の体に、

そして肝心の桜の体には、住職の魂が憑依しました。

( ゚∀゚)<うまいことやったな〜〜〜〜!!

心の中でスタオベしました。

さてここで、邦画ホラーにおけるしょっぱい話を。
一部を除外して邦画ホラーとは、『主に新人の俳優を売り出すもの』なのです。

半ばで桜が倒れ、あわや主役交代になってしまうところを、まさかの憑依TS(性転換)で解決!

素晴らしい手腕! これぞプロの技術!👏
あと単純に祓い屋女子かっこいい!

その後、見てはいけないイベント、八尺様とのカーチェイス(伏線回収✌️)――この辺は絵面がどえらい面白かったのでぜひ劇場でご覧ください――を経てのラストバトル。

 

桜(中の人は住職):「破ァーー!!」

 

( >ω<)<寺生まれのTさーーーーん!

都市伝説三部作、ラストでやっと出てきた、寺生まれってスゴイ一般人(?)。
いよっ、待ってましたって気持ちです☺️

まさかの憑依T(てぃー)S(さん)でした☺️

 

【③そう来たかと思った=Jホラー的ラスト】
無事に旅館の2階にたどり着き、住職が経文を唱え、静かに夜が明けました。

部屋で荷造りする桜と聡。
変な感覚だね、と笑い合うふたり。

浜辺では希美と岩崎がその後のことを語ります。
女将さんは客を別の宿に移動させてから、音信不通になったこと。
ついでに岩崎は希美から桜に乗り換える宣言。(※世界一どうでもいい)
自分がフラれた感に納得いかない希美は、旅館に戻ります。

そこには、

 

聡:「ブリは醤油なしで食べた方がおいしいよね!」(※意訳)

 

刺身を生臭いと言って決して食べなかった聡が、うまそうにブリを食べる姿が。

それに疑問を持たず、笑っている桜。

ふたりは『別人のように』なっていました。

一方、Tさん 住職の元には旅館の主人と、行方知れずのはずの女将さんが。
彼らは同志のように、お互いを労り合います。
早くに子どもを亡くした彼らは、願いが叶った喜びを分かち合います。

八尺様に連れ去られた娘と息子の魂が、
別の人間の体を宿り、再び現世に戻ってきたことを。

そして旅館の1階、『桜と聡』がはしゃぐその真上で、
2階の障子には、ふたつの影 が映りました。

 

桜:「……たすけて……」

 

【まとめ:制作側の思い、受け取ったぜ🥲】
このオチには痺れました。
何よりJホラーらしい、後味の悪い結末。

『きさらぎ駅』と同じ系譜ですね。
都市伝説や恐ろしい怪異すら利用する、人間の業です。

地味に、元ネタの穴である『(※1)』が補強された点(故意に教えず、八尺様に魂を抜かせた)と、

(※2)』が予想外のアクシデントではなかった点、
足の怪我をしていたはずの旅館の主人が普通に歩いたという、映画ならではの種明かし。

最高でした!!!

何よりサービス精神に感動しました。

ホラーに限らず、昨今は物語にスピーディーさを求めます。
ホラー特有の間=もったいぶる感じは、「ダレる」と評されることもある、悲しい時代です。

そこでゲームっぽい要素や画面作りを盛り込み、最後まで絶対に飽きさせない姿勢をバーンと。

でもラストは、きっちりJホラーであることを明示する。

世界中のホラー好きを唸らせたJホラーは、
まだ! ここに! 『生きている』と!

制作側の熱き思い、自分はしっかりと受け取りました……!!
(※一方的に)
(※オタクのヒートアップした戯言です。妄想です)

🥲

ですが最後に一言、

希美が可哀想すぎん???

(岩崎の態度以外はめちゃくちゃ健気ないい子だったのに!)

 

 

次回は11月6日月曜日、
2018年制作、アメリカのサスペンスホラー、
クワイエット・プレイス』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗