急に夏が本気を出した中、いかがお過ごしでしょうか。
( ・ω・)<鳥谷です。
えー……
こうも暑いと、ホラー小説を書きたくなりますよね!
(強引な前振り)
実は今月、奈良の『わかつきひかる小説教室』様にて、
「ホラー小説の書き方」というお題で、
ゲスト講師をさせていただくことになりました!
(強引な誘導)
ご参加お待ちしております!
(強引な宣伝。ちなみにこの茶番 宣伝、来週もします)
閑話休題🍵
アマプラで観たホラー映画です。
2022年制作、日本の都市伝説ホラーです。
【あらすじ】
民俗学を専攻する大学生・堤春奈。
卒論制作のために、かつて『きさらぎ駅』に迷い込んだ女性・葉山純子に取材した。
彼女から “詳しすぎるほど詳しい“ 話を聞いた春奈は、同じ方法できさらぎ駅に行こうとする。
【ひとこと感想】
前半FPS、後半RTA、ラストはJHな、Z世代(概念)脱出ホラー。
※全力ネタバレです。
※記事の中に、『Z世代』という単語が出てきますが、
ある特定の年代を指すものではなく、
メディアに作り上げた『概念としてのZ世代』のことです。
(フィクションにおける『幼なじみ』『姉』『御曹司』『後輩』みたいなものです)
【3つのポイント】
①FPSの恐怖感
②RTAの爽快感
③JHらしい結末
【①FPSの恐怖感】
映像演出が大変凝っていた本作。
『はすみ』である葉山さんの回想が始まると、映像はFPSのゲーム画面のようになります。
FPS #とは
ファーストパーソン(本人視点)シューティングゲームの意。
恋愛ゲーでキャラが自分に語りかけてくるあの感じ。
ゆえに内容もほぼゲーム。
目覚めたら電車内には自分と女子高生、乱暴な男、ギャル、気弱な男、酔っ払いに6人だけ。
車掌や運転士の姿はなく、着いたのは見知らぬ駅の見知らぬ町。
明らかに異様な世界から果たして脱出できるのか。
CGもまんまゲームです。90年代〜00年代初期を彷彿させるファニーなチープっぷり。
異世界の住人が同じセリフを繰り返すのもゲームですね。
次々と退場していく仲間(?)たち。
内輪揉めし、アホな男が暴れ(助かるには生贄が必要ってアナタそれゲームのやりすぎよ)、やっと助かったと思ったら――
(ちなみに前半部で一番怖かったのは、通りすがりの車に乗るか否かの場面です)
(これは怖い。やっぱり恐怖イベントの真っ最中より、「絶対何か起こるだろコレ!」の予感の方が目を覆いたくなります)
善良な女子高生・明日香ちゃんと協力しあっていましたが、結局、元の世界に戻れたのは葉山さんのみ。
明日香の帰りを今でも願う葉山さんの言葉で、取材は終了します。
そこからが本番です。
【②RTAの爽快感】
異世界エレベーターの原理で、きさらぎ駅に飛ぶことに成功した春奈。
なんとそこで、葉山さんから聞いた知識をフル活用します。
( ゚∀゚)<異世界チート転生だコレー!!!
つよくてニューゲーム! 人生二度目!
春奈の八面六臂の活躍で、最初に犠牲になったのは気弱男子ではなく暴力男子、とっとと死ぬ酔っぱらいおじさんも生き延びて、
春奈:「来るなら来るで早くしてもらえますか」
春奈:「その話はもういいから!」
春奈:「この化け物があなたの彼氏なの!?(奪ったナイフで刺して抜いて蹴り飛ばす)」
爽快感が凄まじい。
人生二度目ってこんなにサクサク進むのか。
そらぁ皆さんトラックに轢かれてなんかの勇者になったり過労死して乙女ゲーの悪役令嬢になりますわ。
これがRTA……!!
いかに効率よく『きさらぎ駅』から脱出できるかリアルタイムアタック……!!
一番面白かったのは、葉山さんと明日香ちゃんが引っかかったヒッチハイクトラップ。
皆が運転手を信頼しきっている中、地面に探し物をする春奈。
「この中で車の運転できる人ー? あ、いた。よかった!」と謎の質問をした後、
\ ガツッ!! /
(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵
親切な運転手(罠)を石で殴りました。判断があまりにも早い。
ドン引きする周囲に、春奈は訴えます。
春奈:「このおじさん アレだから!!!」
このタイパとコスパと効率性重視っぷり、
( ;ω;)<これぞZ世代ホラー!
感動しました🥲 永江監督すごい🥲
ホラーは時代を映す鏡にも程がある🥲
【③JHらしい結末】
効率重視できさらぎ駅をクリアする(こう書くとかなりどうかしてるログラインで🌱)御一行。
そしてたどり着いたのは、葉山さんたちが行った神社――ではなく無人の家。
きさらぎ駅(概念)も本気を出します。
気弱男子もギャルも倒れ、春奈はかつての葉山さんのように明日香ちゃんと2人になります。
そこに出現したのは、光の扉。
ここで春奈の考えが変わり――歪みます。
魔が差したと言ってもいいかもしれません。
これまで全員で生き延びようとしていたけれど、
葉山さんの話に出てこなかったステージになり、
何が正しい選択なのか分からない状況で、
人間なら誰しも浮かぶ考えになります。
“自分ひとりだけ助かろう“
光の扉は罠だったという『知識』で明日香ちゃんを出し抜いて、
春奈は、自分だけ脱出しようとしました。
ですが、
助かったのは、明日香ちゃんでした。
そして草原に佇む明日香ちゃんを迎えにきたのは、葉山さんでした。
ラスト、彼女はひとりごちます。
葉山:「ありがとう、堤さん」
……これにはシビれました。
この上なく、JH――Jホラーな結末です。
自分本位な行動をとると、悲惨な目に遭う点。
すべては、黒幕が仕掛けた罠だった点。
葉山さんは春奈を利用したのです。
明日香ちゃんを助けるために、光の扉がハズレだと嘘をついて。
倫理と陰鬱をみじん切りにして混ぜた、
どこか『道徳的な教え』を感じる、日本ならではのホラーでした。
【まとめ:人生n度目程度では】
昨今の、一部の人々の思考の兆候(?)に冷水をぶっかけるような内容だったなぁと思いました。
以前ツイッターで、『生まれた時からSNSがある世代は人生2度目みたいなもので、あらゆる人生の失敗を回避できる』みたいな漫画を見かけました。
漫画にこんなこと言うのもなんですが、しゃらくせぇなと思います。
2度目3度目n度目程度では、人生なんてB級ホラーよりも凄くて酷くてやばいものはクリアできないと思います。
結論極論、窮地に陥った人間を救うのは、
自分が信じること、つまり信念なのでしょう。
明日香:「自分に恥じる行為はするなって、いつも母から言われてるんです」
この信念に従い続けた彼女だけが、本当の意味で助かった。
葉山さんもエンドロール後、しっぺ返しを受けたのです。
自分がついた嘘のせいで姪っ子が『あの世界』に行ったと知ったら、彼女はどうするのやら。
🤔
【おまけ:永江監督の作品が好きだ】
『心霊写真部』で有名な永江監督。
永江監督のヒロインは、ちゃんとしっかりファイナルガールばりに戦うので大好きです。
ちょっとあの時代――夏休みにニコ生ホラーを観まくった頃を思い出して郷愁に浸りました。
特に祭囃子が聞こえてくるあの場面。
どんちき♪└(^ω^ )┐♫┌( ^ω^)┘どんちき♪
画面が見えないほど流れたこのAAコメントの弾幕を、
私は生涯忘れない🥲
(センチメンタルな〆)
【おまけ:どうでもいい感想とツッコミ】
感想:最初に出てきた『電車内のリュックマナー』のポスター可愛い。
ツッコミ:1月の割りにみなさん薄着すぎん?
次回は7月10日月曜日、
1998年制作、日本のホラースリラー、
『リング』の話をします。
( ・ω・)<なんとこの日は鳥谷の誕生日!!!
鳥谷綾斗