アマプラで観たホラー映画です。
2003年制作、アメリカの海洋スリラーサメ映画です。
【あらすじ】
仕事中毒な夫婦、ダニエルとスーザン。
久しぶりのバカンスでスキューバダイビングに参加するふたり。
だがインストラクターの不手際で、夫婦は海の沖に置き去りにされてしまう。
【ひとこと感想】
『海は美しい、海は恐ろしい、サメは恐ろしい』と思い出させる、原始的サメ映画。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①元ネタは『実話』
②足元に何かがいる恐怖
③夫の最期と妻の選択
【①元ネタは『実話』】
“この映画は実話である。”
冒頭から示された、この作品の売りです。
もうひとつは撮影にホンモノのサメを登場させている点。
なので、このサメ祭期間に鑑賞した前3作品とは、リアリティと臨場感が桁違いでした。(キングオブあたりまえ体操)
ワーカーホリックな夫婦の久しぶりのバカンス。
(※突然全裸ベッドシーンが出るのでそこだけ注意)
集団でのダイビング体験。
インストラクターも複数人いて、「サメがいるかも!」とウキウキな雰囲気でした。
ただ、『海』や『サメ』を愛でたかっただけなのに。
参加者が忘れ物をしたり、耳抜きができないからと中断したり、バディはいないけれど潜りたいと言っただけで、
人数の数え間違いという小さなミスで、ダニエルとスーザンは海のど真ん中に置き去りにされました。
画面いっぱいの大海原、点でしかない人間がふたつ。
映画館で観ていたら、もっとその景色の壮大さと絶望感が伝わってきたんだろうと思える場面。
( ・ω・)<どないすんのコレ……
その一言に尽きました。
【②足元に何かがいる恐怖】
『陸地に戻れない』という一点だけで、すべてが変貌します。
心地良いと思っていた海水の冷たさも、今は自分の体温を奪う悪魔に。
優雅なバカンスが、じっくりと絡めとるような死を運ぶ地獄に。
特にスーザンがクラゲに刺されたシーンは、「うわっ」と軽く怯みました。
水族館で見たら綺麗だと感動できるのに、毒と痛みを与える存在になる。
状況が変われば感動なんてできない、というのが何とも怖い。
何より、『足元がない上に見えない』。
これは本当に根源的な恐怖です。
見えない足に何かが触っている――その正体が小さな魚であっても、見えないのなら怖い。わからないから怖い。
飢えと寒さと三半規管や自律神経の乱れ。
じわじわと衰弱していく長期的な死の恐怖。
一瞬後には死ぬかもしれないという短期的な死の恐怖。
それらに追い詰められた夫婦にトドメを刺すようにやってきたのが、多くのサメでした。
【③夫の最期と妻の選択】
ダニエルとスーザンは最後まで支え合っていました。
遭難したての際、夫は困惑する妻を気遣います。
けれどそんな彼にも限界が来て、突然怒鳴り出し、「金払ってここに! サメの餌になりに来た!」と悪し様にすべてを罵ります。
夫婦の言い争いに発展しますが――水の冷たさや、何度見かけてもこちらに気づかずに遠ざかる船が、彼らから気力を奪い取る。
それでもふたりは、アメを分け合って助かろうとします。
それを無情にも阻むのがサメでした。
夜になり、海が荒れて、真っ暗な中で夫婦の声だけが流れる。
「何かいる」「サメがいる」「きみの後ろにいる」
「愛してる」「大丈夫」「ひとりにしないで」
――「足が!!」
……夫婦が体験する暗闇の合間に、陸地のリゾートの平和っぷりを流すのがキッツイなぁと思いました。
夜が明け、スーザンは、サメに足を食われ、目を閉じるダニエルを支えていました。前日、夫が妻にそうしたように。
目を閉じ続けるダニエルに、キスするスーザン。
セリフのないその表情は痛みそのもの。
スーザンはダニエルの装備を外し、夫の遺体を放します。
それをサメが食い荒らしました。
どんどん集まってくサメに、スーザンはやはり無言で自分の装備も解いて、
サメがはびこる海中に、その身を沈めました。
あとは静かな朝の海が、ただそこにありました。
【まとめ:サメ漬けの1ヶ月でした!】
エンドクレジットで、サメの解体が出ました。
まろびでる内臓の中から水中カメラ、というラストがなんとも言えないです。
🦈
さて。
サメ祭だった今月。
サメ×竜巻、
サメ×サイコストーカー、
サメ×幽霊、
と、カレーばりに色んなサメとの組み合わせを見ましたが。
結局サメそのままがいちばん怖いっていうね。
(いや、もしかしたらサメが怖いからこそのトンチキ組み合わせなのかもしれない)
(人は怖いものを克服するために、『ホラー作品』というものを開発したわけですし)
というわけで夏のサメ祭、非常に楽しかったです!
寒い時期になったらサメ×雪山・冬を楽しもうと思います🦈
次回は9月11日月曜日、
2023年制作、アメリカのオカルトエンタメ映画、
『ヴァチカンのエクソシスト』の話をします。
( ・ω・)<1週間、お休みいただきま!
鳥谷綾斗