人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ

ネトフリで観たホラー映画です。
2015年制作、アメリカのスプラッタコメディです。

 

 

 

 


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【あらすじ】
マックスは、母親のアマンダを交通事故で亡くした女学生。
アマンダはかつて、カルト的人気のB級ホラー映画・『血まみれのキャンプ場』に出演していた。
彼女の死を偲び、リバイバル上映が催されるが、映画館が火事になる。
気づいたらマックスは、仲間と共に映画の中に入り込んでいた。
そこには死んだ母と――殺人鬼『ビリー』がいた。

 

【ひとこと感想】
B級ホラーは楽しいぞ! 親子愛と反撃が光る、メタホラー決定版。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①コテコテすぎる舞台
②ファイナル・ガールは誰?
③悲しすぎる覚悟のストリップ

 

【①コテコテすぎる舞台設定】
メタホラーといえば、『スクリーム』 『キャビン』が有名ですが。
今作は、B級ホラーの「んなアホな」な点をピックアップして煮詰めた闇鍋仕様です。

①舞台は山の中のキャンプ場。
②やることしか考えていない登場人
③セックスの気配で出現する殺人鬼

感じる。梅に鶯ばりのわびさびを👍
(食い合わせ的には天ぷらと冷や水=大変なことが起こる、ですが)

そんなコテコテのホラー映画の世界に入り込んだのですが、『今いる場所が作り物である』と伝える演出がよかった👍

タイトルロゴが立体だったり、森の中の花が明らかに園芸用だったり。
アマンダことナンシーが殺人鬼ビリーの過去(キャンプ場の監視員ぐるみでいじめられた)を話し出すと、登場人物が集合して一斉に耳を傾けたり。
回想でモノクロになって過去に飛んだり、果てはビリーが登場するとBGM(ジェイソンの『Kill,mama』ならぬ『pampam』?)が流れたり。

殺人鬼の前で殺人鬼映画のお約束を話す場面がシュールでした。
(その後ふつうに殺される)

 

【② ファイナル・ガールは誰?】
マックスたちは事情を話して、共にビリーを殺そうと持ちかけます。
それには、ファイナルガールの存在が必要不可欠。

そもそもファイナルガールとは。

 

ホラー映画に登場する人物類型である。
1960年代後半以降のアメリカで大量に作られたホラー映画が、一様に「純粋な若い女性が男の殺戮者と対決するが最後には生き残る」という構造をもっていることが映画研究の分野で注目され、この類型的な女性像が映画研究者キャロル・クローバーによって「ファイナル・ガール」と命名された[1]。
weblio辞書より引用)

 

 

追加事項:衣服の露出度は謎に高い。
(鳥谷の個人的意見より)

 

殺人鬼の魔の手から逃れられる、唯一の存在がファイナルガールです。
逆に言えば、ファイナルガールしか生き残れない。

母が演じるナンシーは一番最初に殺されます。つまらん男に処女を捧げたから。

 

アマンダ(ナンシー):「私はファイナルガールにはなれない」

 

娘のマックスは母に生きてほしい望むけれど、当人は気弱にそうつぶやく。
気持ちが伝わらないもどかしさ。切ないです。

そして迎えた夜。
キャビン内にホームアローンばりの罠を仕掛けてビリーを誘き出します。

クスリでラリったティナがセクシーストリップが披露します。
その力強さ。「アメノウズメノミコトのようだ!(※突然の日本神話)」と感嘆しました。

ところがどっこい。
ビリーは火だるまになっても窓を突き破って追いかけてくるレベルの不死身個体で、仲間は次々とリタイヤ。
(この辺の死亡フルコンボだドンがハデで、なおかつエモくてよかったです)

最後に残されたのは、マックスとアマンダ(ナンシー)でした。

 

【③悲しすぎる覚悟のストリップ】
ふたりはお互いがファイナルガールになってほしい――生き残ってほしいと望みます。
けれどそこは、母の思いの方が強かった。

アマンダ(ナンシー)は嵐の中、ビリーを誘き出そうと脱ぎ始めます。
マックスのために。
自分が死ぬことで、娘を『生き残れるたった一人』であるファイナルガールにさせるために。

こんな悲しすぎるストリップがあるのか。

覚悟のストリップは、力にあふれていました。
死に向かうとは思えないほど、生きる力がみなぎっていた。

母の想いを受けて、マックスは覚醒します。

 

マックス:「怒らせる相手を間違えたね」(吹替)
     「処女をナメんなよ」(字幕)

 

字幕の方が整合性があるけど、吹替版の方がかっこいいです。

そして一騎討ち。やはり最後はコブシやで。

ビリーが首チョンパされ、音楽が流れます。
宙に浮かぶエンドロールを背景に、恐怖の一夜は明けました。

 

【まとめ:親子愛】
明らかにB級コメディにヒューマンドラマ足すのは正直ずるい。

不意打ちで感動してまうやろ……!!
とエンドロール見ながら思いました。

最初にじんわり泣けたのが、会って間もない時、何も知らないアマンダがマックスに優しく語りかける場面です。

 

アマンダ(ナンシー):「両親と離れるって心細いよね」

 

マックスがどれほど母親を恋しがっていたか分かるので。
余計に泣けました

いい映画だった……と👍となったのですが。

忘れてはいけない。
これはホラー映画だった。

ホラー激愛映画として、最後まで抜かりなかった。
エンドロールの後、目覚めると病院。
マックスの愉快な仲間たちは全員復活し、ウフフアハハとほがらかな空気が流れます。

そこに流れるビリー登場のBGM。
病室の外では、いちゃつくドクターとナース。

そこにガラスを突き破って飛び込んできたビリー!!

 

ホラー好きのダンカン:「続編だ💕」

 

いや喜ぶなダンカン。
マックスは即座に臨戦態勢に入り、点滴台を構えます。つよすぎん?

母からもらったファイナルガールの称号を胸に、
誰かが書いた筋書きどおりにさせないためにも、

生き残れ、マックス!

 

【備考:吹替版推奨】
セリフもですが、冒頭のナレーションが若本規夫さんっぽくてめちゃくちゃ笑えるのでオススメです👍

ていうか全員のキャラがやたら立ってるのでまじ続編くれ。
(古くさくてダサい下ネタにドン引くのが日本もアメリカも一緒だなと思いました)

 

 

次回は12月19日月曜日、
2022年制作、アメリカのサイコスリラー、
『ブラック・フォン』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗