アマプラでレンタルした映画シリーズです。
1984年制作、アメリカのナイトメアホラーです。
【あらすじ】
高校生のナンシーとティナは、同時に世にも恐ろしい夢を見る。
廃工場で赤と緑のセーターを着た男から逃げるも、鉤爪で八つ裂きにされるという夢だ。
それは町に伝わる縄跳びの歌の内容と酷似していた。
“1、2、フレディがやってくる”
“3、4、ドアに鍵をかけて”
“5、6、十字架を握りしめ”
“7、8、夜じゅう起きていよう”
“9、10、もう二度と眠らない”――
【ひとこと感想】
『眠るのが怖くなる』の煽り文句は伊達じゃない、残忍ユーモアド派手スラッシャー。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①しっかり怖かった
②しかし愉快だった
③悪夢に混じるささやかなリアル
【①しっかり怖かった】
正直に言います。
前回のブログでも書きましたけど、フレディはジェイソン、ブギーマンと並ぶ『愉快なスラッシャー野郎』だと思っていました。
だもんで少々ゆるく構えていました。
そしたら、
( ・⌓・)<普通にこわいやん……
普通におののきました。記憶より怖いんだが???
裏切られた気分です。(八つ当たるな)
特にヒロイン・ナンシーが学校でうたた寝してからの一連の流れ。
ビニール袋に入った死体のティナが佇んでいた姿、ゾワっとしました。
まさに悪夢。走っているのにゆっくり追いかけてくるフレディから逃げきれないのも、悪夢あるあるそのものでした。
(ところで冒頭がティナのターンだったので、彼女がヒロインかと思いきや)
(ロッドとベッドでわっしょいしたので「あ、違うんだな」と思いました)
(※ホラー映画特有の謎判定基準)
【②しかし愉快だった】
けれども基本的に、各登場人物の死に様もフレディのパフォーマンスも、派手派手のド派手なので楽しかったです。
取り分けティナの死に様がインパクト大。
たとるなら『エクソシスト』の人体浮遊を『ポルターガイスト』並みの激しさで表現したような。
噴水のように噴き出す血液、
牢屋の鉄格子をすり抜けるフレディ、
勝手に首に巻きつく布、
ブラックホールと化したベッド、
それらを巻き起こすフレディの輝かんばかりの悪趣味さ!
彼は基本的に、『嫌がる女の子を付け回すおじさん』スタンスでした。
ついでに夢の中で女子に変身してもいました。どういうことだってばよ。
お下げがキュートなちょいダサ……もとい、レトロな雰囲気の女子です。好みなんでしょうか。
極めつけはナンシーに電話をかけるシーン。
フレディ:“I’m your boyfriend, Nancy”
「君の恋人さ🌟」とのたまった後に受話器を口に変化させてベロォ。
シンプルに気色わるかったです。
ダメだコイツさっさとボコろう。(過激派)
【③悪夢に混じるささやかなリアル】
悪趣味エンタメに混じる、妙なリアルさがべらぼうに秀逸でした。
たとえば、空中回転するティナがロッドにローリング頭突きする場面。
さらに2階の床にたまったグレンの血が、1階の天井から滲み出る場面。雨漏りならぬ血漏りです。
これらに謎のリアリティを感じました。
精神疾患を疑われ、病院でナンシーが脳波を調べられるパートも上げたい。
ここでフレディの夢を見るナンシーではなく、母親や医師の視点にすることで、異なる恐怖が仕掛けられていました。
すっかり『悪夢に怯えて、頭がおかしくなった娘』扱いになったナンシー。
彼女が死に物狂いで訴えても誰も見向きもしない。
『誰にも信じてもらえない』。
――という一番の恐怖が描かれていました。
【まとめ:『所詮は夢』だからこそ】
それでもナンシーは、最後まで戦って抗おうとしました。
フレディを現実世界に連れ出し、ホームアローンの過激ver.みたいな罠で殺人鬼を捕獲撃退しようとします。
ナンシー:「ママと友達を返して」
その一言で、『所詮は夢』でしかなかったフレディは消えた。
――ところがどっこい。
と、いうオチです。
所詮は夢、だけれども。
人間は眠らなくてはいけない。
ゆえに夢からは逃れられない。
そんな不変的な怖さを突きつけた後、
フレディカラーのサンルーフに覆われた車は走り去り、ドアのガラスが破られました。
最後まで芸が細かかったフレディ。
鑑賞者を不眠へと誘うビザール殺人鬼の名は伊達じゃない、そう痛感した次第です。
【余談:グレンとは何だったのか】
ナンシーに片想いの男友達、グレン。
彼がびっくりするほど役立たずで『🤔』でした。
キャストを見てびっくり。若かりし頃のジョニー・デップ氏でした。
( ・⌓・)<ジョニデなのに……?
次回は11月14日月曜日、
2021年制作、日本のサイコスリラー、
『キャラクター』の話をします。
鳥谷綾斗