アマプラで観たホラー映画です。
2016年制作、アメリカ・オーストラリア合作のホラーコメディ コメディではなかった! です。
【あらすじ】
女子高生のアシュリーは、彼氏のリッキーと喧嘩中。
クリスマスの夜、彼女は12歳のルークの子守りをすることに。
ルークはアシュリーに想いを寄せている。
なんとか距離を縮めようとするが、家に不審者の気配がし、二人は戦おうとするが……
【ひとこと感想】
邦題の罠がひどい、聖夜にある意味ぴったりな胸糞系だけど細やかなサイコホラー。
※全力ネタバレです。
※未鑑賞の方は 絶対に 先に鑑賞してください。
(できれば今日中に。一緒に季節を感じようぜ)
【3つのポイント】
①導入はベビーシッターホラー
②物語半ばでどんでん返す
③「ホームアローンではなくない?」→「ホームアローンだ!」
【①導入はベビーシッターホラー】
『ベビーシッターホラー』とは。
両親の留守中に子どもを預かった若い女の子が、子どもを守りながら侵入者と対峙or脱出するストーリー。
(子どもが悪魔だったりシッターがサイコだったりするパターンもある)
(ちなみに多くの場合、ヒロインは彼氏を職場に呼ぶ。どういう業務倫理観?)
シッター文化に馴染みのない日本では、都市伝説の『逆探知』がパッと浮かびますね。
既存の作品と異なるのは、守護対象の子どもが思春期真っ只でヒロインに想いを寄せている点。
アシュリーは彼を守ろうとするし、ルークは彼女にいいところを見せたい。
甘酸っぺぇ展開です。 “U LEAVE U DIE(逃げれば死ぬ)” と書いたレンガを放り投げてガラスを割る殺人鬼(仮)がいるけれども。
ふたりとも美少女美少年で、シンプルに眼福。
こらぁ良質な年の差恋愛ホラーになるぜクリスマスにふさわしいぜ――でもこのコンセプトで1時間30分保つんかな(映画の過剰摂取ゆえに発症する大きなお世話すぎる心配症状)――などと考えていたら。
甘かったです。シュトーレンばりに甘かった。
(今年初めて食べたので積極的に使いたい名詞)
【②物語半ばでどんでん返す】
なんとまあ、不審者侵入事件はルークの『仕込み』でした。
マリファナ推しの友人(12歳)、ギャレットに協力を仰いで。
すべてはアシュリーと一線を超えるため。
ルーク:「君を怖がらせたくて」
すこぶるクズなルークに、アシュリーはブチギレます。当然です。
怒り心頭で帰ろうとするアシュリーに、ルークは、
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
ビンタして階段から突き落としました。
様子が一変します。
ルークはアシュリーを拘束監禁して、自分を好きになれと脅します。
ここから歴代彼氏のリッキー、ジェレミーも巻き込んだ、緊迫感あふれる心理戦のスタートです。
ここで言いたい。
原題は、『ベター・ウォッチ・アウト』。意味は『気をつけた方がいいよ』。
( ・ω・)<これの邦題決めた人、あらすじしか見てなくない!?
(と一瞬思いましたが、確かに原題だけだと何の映画か分からんのですよねぇ)
(ああ邦題とパッケージを分かりやすくキャッチーなものにしないと商業的にキビしくなる、現代の悲しい風潮よ)
(サンタさん、プレゼントにこの風潮変えてくれ🎅)
【③「ホームアローンではなくない?」→「ホームアローンや」】
この作品の紹介文には、『ホラー版ホームアローン』という記載があります。
先日の金曜ロードショーで放送された名作ですので説明は省きますが、明らかに内容が違いすぎる。
詐欺やんかと思いましたが、ところがどっこい。
憧れのアシュリーのお胸を堪能&恋敵をボコれた高揚感で、完全に調子こばったルークがやらかします。
玄関の中央にリッキーを座らせ、
階段の上からヒモに繋いだペンキ缶を振り下ろし、
振り子の原理でリッキーのドタマに当てようとします。
ギャレット:「ホームアローンかよ!」
( ・⌓・)<ホームアローンや!
ギャレットと完全にシンクロしました。
ホームアローンで観たやつ! めっちゃ笑ったやつ!!
やめろアレは特殊な訓練を受けている泥棒コンビだから&倫理観がまだ80年代だった1990年の作品だったからやっていいやつだぞ!
リッキーは一般人かつ時代は2010年代なので、普通に彼の頭が粉砕しました。
黄色いペンキが派手だった。
死体そのものの描写はないのが逆に良かった。
ケチャップとマスタードみたいだな〜と、フランクフルトを想起した自分にドン引きしました。
もう戻れなくなったルークは、ホラーでおなじみのサイコクソ野郎に完全覚醒しました。
おびき寄せたジェレミーに罪を被せて殺し、首吊り自殺を偽装。
アシュリーを逃そうとした親友のギャレットも殺し、
最後はアシュリーの首にナイフを刺しました。
【まとめ:ルークの目的とは?】
クリスマス音楽に合わせて踊りながら、偽装工作に励むルーク。
タイムリミットは両親が帰宅するまで。
ちょこちょこミスをして、観客を冷や冷やさせるのがまた面白い。
クソ殺人犯でも感情移入(応援に近い)させられるんだな〜と学びを得ました👍
両親が警察を呼び、ルークはママに抱っこされ、赤ちゃんのように「ママがいるからね。大丈夫よ」とあやされます。
これがルークの目的だったのか? と思いました。
もしかしたら本人は自覚していないかもしれませんが、最後にアシュリーに、
ルーク:「以前はママが寝かしつけてくれた」
「どうしてかな。もう寝かしつけてくれないんだ」
そう吐露していたので。
そのオカンは 🎄ツリーのオーナメント🎄 がセクシーとか言うオカンだがいいのか。
第二次性徴のバグですね。
しかしアシュリーも負けていません。
何せ彼女、ファイナルガールとして指折りの強さ――つまり弱いものを守ろうとする勇気、判断力、思考力を持つのです。
手足を拘束するビニールテープを切るためにガラスを拾い、血まみれになっても構わず手を動かす。
何を言われても決して屈さない。
ギャレットの迷いを見抜き、彼に拘束具の電飾を切らせた。
何よりラスト、彼女は生還を果たしました。
ルークに刺された傷に拘束具だったテープを貼り、出血をふさぎました。あまりに賢い。
救急車で運ばれる彼女が、目をつむりながら中指を立てる様は、少しだけスカッとします。
ガッツがあるファイナルガールvs浅知恵が働く甘ったれのガキンチョ
エンドロール後、ルークはアシュリーのお見舞いに行きたいと言っていたので、続編を期待したいところです。
【おまけ:細やかで素敵と思った点】
・ルークの夢遊病や急に現れる蜘蛛が仕込みだった。
・ジェレミーの殺害に、除雪機で首のロープを引っ張る点。
(ブランコの踏み板が良い仕事をしてるなぁ)
・逃亡するアシュリーにぶつけられるレンガ。
(書いてある文字=『逃げれば死ぬ』また良い仕事をしている)
・聖歌隊の訪問にニコニコ応じるルーク
(あの位置だと死体が見える気もする)
別に素敵ではないが細かいと思った点。
↓
・ギャレットの靴下がマリファナの葉っぱ柄。
(どこに売ってんのそんなん)
次回は12月31日日曜日、
今年の総括と年末のご挨拶を書きにゆきます!
( ・ω・)<儚かった2023年!
鳥谷綾斗