アマプラで観たホラー映画シリーズです。
1919年製作、ドイツのサイコホラーミステリです。
【あらすじ】
青年・フランシスは、隣に座る男に身の毛もよだつ恐ろしい過去を話しだす。
故郷であるホルステンヴァルに現れた、カリガリ博士のことを。
博士は夢遊病者を操って、人を殺める『怪物』だった。
【ひとこと感想】
『怪物とはこういうもの』を定義づけたかもしれない無声映画。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①初めてのモノクロ無声映画
②カリガリ博士とは❶
③カリガリ博士とは❷
【①初めてのモノクロ無声映画】
1919年製作のこの映画もBGMのみ、字幕も別画面に表記されるスタイルになります。
正直に書きますね。
映画感想ブログとしてどうなんだとは思いますけども、
( ・⌓・)<めっっっちゃ眠かった。
自分の脳みそがいかに刺激の多いコンテンツに慣らされていたか分かりました。
対策として立って観ました。
(そこまでして観たいかって話なんですけど、観たいかどうかという話ではなく、この機を逃すと一生観ないだろうなぁと思ったので)
(万事一期一会、観ると決めたら観よう)
(ついでに何故ホラー映画で無駄に大きな効果音が採用されまくってるか分かってしまった)
ですが。
この年代独特の、薄暗く荒い画質と大仰な演技で形成された場面。
ホラーに必要な要素・『悪夢を覗き見ている』感覚は、現代のものより格段に強かったです。
【②カリガリ博士とは❶】
主人公・フランシスの語るカリガリ博士は、いわゆる狂った研究者、マッドサイエンティストです。
博士は、木の棺で眠る細身の男・チェザーレを使って、他者に死の予言を与えたり、自分を邪険に扱った役場の職員などを殺害するような人物です。
カリガリ博士:「夢遊状態にすれば人殺しさえできる」
そう話して、チェザーレを意のままに操ります。
このチェザーレがまた異様な出立ちで。
骸骨を彷彿させる姿。
ヴィジュアルはマイケル・ジャクソン氏っぽい。
命令を受ければ美女の寝室に忍び込み、かどわかす彼の背後で笑うのが、カリガリ博士なわけです。
そして『カリガリ博士』とは、作中の古い本に記載された見せ物師の名前でした。
夢遊病者を操って人を殺す架空の存在になろうとする――怪物に憧れたものがカリガリ博士の正体でした。
それを突き止めたフランシスは、警察と共に精神病院の院長を追い詰めます。
【③カリガリ博士とは❷】
“I must know - I will become Caligari!”
(私はカリガリになるのだ!)
カリガリ博士に憧れた男は、そう宣言しました
(この時『CALIGARI』とアルファベットの形をしたネオンが点灯するんですけど、めっちゃ斬新な演出で笑った😊)
カリガリ博士の顛末について、フランシスはこう語ります。
“Today he is a raving madman chained to hiscell”
(今や彼は鎖につながれた異常者なのだ)
これでフランシスの話は終わりますが、ここからまさかのどんでん返し。
すべてはフランシスの妄想だったのです。
【まとめ:怪物を夢見るものこそ】
( ・ω・)<……
( ・⌓・)<この手のオチってこんな昔からあったの!?
別の意味で驚きました。
いわゆる『信頼できない語り手』オチです。
「再読必至! どんでん返し! あなたは必ず騙される!」的な煽りがついたミステリがあったら、まずこれを疑うレベルでありふれたトリックです。
「私はカリガリ博士になるのだ!」はフランシスの言葉で、
フランシスの婚約者である美女もチェザーレも精神病院の患者で、
「鎖につながれた異常者」は自己紹介乙ってやつでした。
ラスト。フランシスは、医師をカリガリ博士だと思い込み、襲って、拘束衣を着けられます。
カリガリ博士という怪物を語った者が、怪物自身だった。
では何故、フランシスの意識にここまでカリガリ博士が根付いてしまったのか。
それはたぶん、彼が『カリガリ博士』に相対しすぎたから。
最初の感情は憧れか恐れか不明ですが、彼は『カリガリ博士』のことを考えすぎてしまったのです。
怪物を夢見た者が、怪物自身だった。
ホラー映画の『怪物』とは、夢見た末にそれに成るものだった。
ありふれた、けれど皮肉を感じるオチです。
怪物と相対するうちに怪物そのものに成るとは、
まさしくB級ホラーな顛末だなぁ、と思います。
やっぱり人生ってB級ホラーですね。
(うまいこと〆たって顔🤐)
さてこちらのブログ、ホラー映画中心です。
書き手である私は、それらを日常的にべらぼうに摂取し、これすなわち『怪物』に深く触れて深く考えて深くアウトプット(?)しているわけです。
やばいですね。 ( ・ω・)<フフッ
(※謎の笑い)
そんなわけで怪物にならないためにも今年最後の映画感想はホラー以外にしまーす。
次回は12月27日月曜日、
2021年制作、日本のほろ苦ハピネスグルメドラマ、
『劇場版 きのう何食べた?』の話をします。
鳥谷綾斗