人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/マリグナント 狂暴な悪夢

ツタヤで借りたホラー映画シリーズです。
2021年制作、アメリカのスリラーホラーです。

 

 

 

 

 


www.youtube.com

 

 

【あらすじ】
DV夫に苛まれる妊婦のマディソンは、2年で3回流産した。
夫に頭を打ちつけられた夜、彼女は夫が殺される『悪夢』を見る。
そしてそれは現実だった。
妹のシドニーと過去を追ううちに、関係があった人物が次々と殺され、やがてマディソンには『ガブリエル』という『空想上の友達』がいたことが発覚する。

 

 

【ひとこと感想】
馴染みのある真相だけど魅せ方が斬新、ホラー愛たっぷりごった返しホラー。

 

※全力ネタバレです。
※未見の方は、作品を鑑賞してからこの記事をお読みください。

 

 

【3つのポイント】
①予算の潤沢さを感じる
②馴染みのある真相だけれど
③最後は殺戮アトラクション!

 

※その前に。
本作は18禁となっていますが、あくまでグロとバイオレンス描写に対するもので、いわゆるセクシーな面はありません。
グロ度も『ファイナル・デッドブリッジ』がいけるんなら余裕でいけます。(太鼓判)

 

 

【①予算の潤沢さを感じる】
物語のコンセプトは、
『とある女性が見る凶暴な悪夢は現実だった』。

なので悪夢描写は凝っています。
オブラートを取っ払うと、CGに金がかかっている。(強調)

何より魅せ方が凝っていて、主人公のマディソンが暮らす世界が突如悪夢に侵食されるのがたいへん気持ち悪くて最高👍

洗濯をしていたら洗濯機のドアに知らない女性が映っていて、『何者か』に惨殺される。
ベッドで寝返りを打ったら隣に知らない男性が眠っていて、『何者か』に惨殺される。

そんなことが続き、マディの精神はどんどん疲弊していきます。

何者か――悪夢を見せる殺人鬼・ガブリエルは強烈に個性的でした。
暗闇の中に棲息するまっくろい影。洒落怖のくねくねや邪視を彷彿させる奇妙な動き。それでいて素早い。

そんなガブリエルは冒頭で大暴れします。
とある病院の研究所で、パンダの靴下を履いた彼は、電気を操る異能力者として収容されていました。
しかしどんどん凶暴化する彼に対し、医師のフローレンスは決意します。

 

フローレンス:「悪性腫瘍を切除する」

 

しかしガブリエルは、マディソンの傍にずーーーーっといたのです。

 

【②馴染みのある真相だったけれど】
ここで作品のキャッチコピーを。

 

“ヤツは「一番近く」にいる”

 

( ・ω・)<……

( ・⌓・)<もしかして:二重人格オチ?

①悪魔が取り憑いている。(悪魔なのに天使の名前というのがミソ)
②ガブリエルはマディソンことエミリー(里親に引き取られる前の名前)が作り出した人格。

①か②のどっちかで、実行犯は主人公でしたオチかと思っていたのですが、見事にひっくり返されました。
エミリーのインタビュービデオの中で、ガブリエルがその姿を現したのです。

エミリーの背中に。
背後ではなく背中です。

ガブリエルは、エミリーの後頭部から背中にかけて頭と手だけ出ている、結合双生児ならぬ『寄生性双生児』だったのです。

 

【③最後はアトラクション!】

この真相は見たことあるけどグロさが段違い!!!

(※その瞬間の率直な感想)

主人公が実行犯でしたオチは数々あれど、ビジュアルで『もう一人』を描写するのはなかなか無い。

しかも思い起こせばヒントはずっとあった。

『悪性腫瘍』の手術で、ガブリエルの頭と手は切除されましたが、取り除けなかった脳の部分はマディソンの中に収納されました。(文字にすると書くとグロい)

けれどガブリエルは眠っただけだった。
マディソンに宿った命の栄養を横取りして。
覚醒したキッカケは、DV夫に頭を打ちつけられたから。

この2点で、マディソンが流産をくりかえす理由、やたら後頭部から出血していた理由が判明したの巧かったです。

その後は警察署内でガブリエル大暴れ。
女性囚人に絡まれ大覚醒、囚人も看守も警察官も皆殺し。
長い髪を振り乱し、人間を超越した速さで大量殺戮。

その場面がめっちゃ不謹慎なんですけど高揚感があって、いや殺された方々には申し訳ないんだけどホラーって死を楽しむジャンルですし、なんかもうゾンビ映画にも通じる謎の爽快感がありました。

けれど最後は、マディソンとシドニーの家族愛に倒れました。
ガブリエルは再び封印されたのです。

 

【まとめ:ほとばしるオマージュ】
まとめてみれば映画への愛、特にホラー愛がすごかった。

ホラー、サスペンス、スリラー、アクション、スプラッタ、最後は家族愛のヒューマンドラマ。

「どれかにせぇよ!」と言いたくなるほどのごった返しっぷりですが、それがきちんとまとまって最後はエンタメに落とし込むのが天才すぎる。

先達たちへのオマージュもすごいんです。

登場人物を照らす赤いライトは『サスペリア』、
最初の殺人シーンの恐怖じわじわ感はJホラーの雰囲気、
ガブリエルが「ハロー」と電話をするのは『スクリーム』、
地下ガイドのセレナ(実はマディソンとガブリエルの実母)が襲われるシーンは『ライト/オフ』、
目覚めたらセレナが拘束されていたシーンと、ガブリエルが凶器を手作りするシーンは『SAW』、
銃撃を避けるために四つん這いで逃げるガブリエル、顔が後頭部にあるのでまるで『エクソシスト』のスパイダーウォーク――

それぞれを彷彿させてめっちゃ楽しかったです😊

これらをさらに進化させて作り出された殺人鬼、『ガブリエル』。

体は後ろ向きなのに動きが素早いという新たな殺人鬼の誕生を、心より祝いたいと思います㊗️

 

【おまけ:お気に入り場面とセリフ】

ベッドの上で馬乗りになって第2の被害者を刺し殺す場面。
勢いありすぎて顔が潰れるの笑いました。

ラストのマディソンのセリフ。

 

マディソン:「長いこと血のつながりを求めていた
       でもずっと私のそばにいたんだわ」

 

普通に考えたらシドニーのことなんだけどもしかしたら……?

 

【おまけ:2枚一気に借りました】
実は『アンテベラム』と一緒に借りました。

 

 

マリグナントとアンテベラムのDVD

 

(あまりにもうれしくて山賊みたいな笑い声が出た)

(実は去年の12月に、塚口サンサン劇場という映画館でこの二作品が連続鑑賞できるようになっていたんですよ)

(でも師走なので断念しました。悔しかったです)

(今回でリベンジできました。ありがとうツタヤ!!!)

 

次回は9月12日月曜日、
2021年制作、アメリカのホラーアクション、
『ウィリーズ・ワンダーランド』の話をします。

 

( ・ω・)<難しくなさそうなホラーが観たくなった。

 

鳥谷綾斗