人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

3月はじめに友人氏と観に行きました。

※普通に犯人のネタバレがありますのでご注意ください。

 

sumaho-otoshita.jp


【あらすじ】
連続殺人鬼・浦野の逮捕から数ヶ月後。
新たな身元不明の死体が発見される。
刑事・加賀谷は、獄中の浦野のもとへ訪れる。
浦野は『M』という人物の名を上げた。犯人を追うために、加賀谷は彼に捜査協力を依頼する。


【ひとこと感想】
予想外に腹を抱えて笑った、『羊たちの沈黙』をやりたかったのだけはすごく伝わる映画。


【3つの見どころ】
①なかなか見ないタイプの殺人鬼・『浦野』。
②不満はある。~麻衣やんと鈴木さんの扱い~
③サイレント爆笑した。~脱獄シーンと腐女子

 

【①なかなか見ないタイプの殺人鬼・『浦野』】
特筆すべきは長い髪の女性に執着する、凄腕ハッカー系連続殺人鬼・浦野です。
単なる狂ったサイコキラーではなく、「どうすれば人を愛せるのか」と問いかけるような人物です。
質問の相手が、似た境遇で育ったのに、刑事になり恋人もいる(つまり心に闇はあれど真っ当に成長した)加賀谷刑事というのもよかった。
彼にも彼の葛藤があるんだなと思わせられました。

大変好みです。
この路線は死守していただきたいです。


【不満はある。~麻衣やんと鈴木さんの扱い~】
白石麻衣さん演じるヒロインの扱いが不満です。

人物描写がなさすぎて、単なる善意の押しつけ系みたいに見えたのが非常に不満です。
あんな可愛いのに。千葉雄大さん演じる加賀谷と並んだら「あらーお雛さまとお内裏さまみたいねーうふふー」とか思ったのに。もったいないと思います。(ビジュアル大事)

そんな感じで人物描写はほぼ皆無に近いんですが、何故か着替えのシーンや暴行未遂シーンはやたら長くて、「そんなトコで個性出させんでも!」ってツッコみました。


鈴木拡樹さん演じる犯人(not黒幕)の扱いが不満です。

ぶっちゃけますと一番の目的はこの方でした。一緒に行った友人氏も同じく。
この物語における驚き要素=一種のどんでん返しって、この犯人の動機だと思うんですが。

その『そこそこ衝撃的な真相』があまりにサラッとしていてもったいないなーーーーと。
何故だ。そこは千葉雄大との直接対決での逮捕が見たかった。
井浦さん演じる公安だと、どうしてもぽっと出の印象がぬぐえなかった。そんな感じ。

とはいえ、大きなスクリーンで見る鈴木拡樹さんは大変好青年でした。

(✿´ ꒳ ` )<まじ小学校の先生……!
(※伝わりにくい褒め言葉)


【③サイレント大爆笑した。~脱獄シーンと腐女子~】
そんな感じで不満も多い今作ですが、おなかが痛くなるほど笑いました。
映画館の暗い中、声を殺してサイレント大爆笑です。

おそらく一番の盛り上がり所であろう浦野の脱獄シーン。

どうかと思う。

ずっと浦野に嫌がらせしてたクズ刑事を惨殺するのはいいとして、その方法が、

『口に含んだアメのカケラを吹いて目玉に突き刺す』

なのは、どうかと思う!!!

やばすぎでした。映画館がミッドサマーばりに大草原と化しました。「肺活量すごいwwやばいwwむりwww」ってな感じです。

ここまでは笑いませんでしたが、その他笑いどころとして、ヒロインちゃんの友人キャラに腐女子が出てきました。
この腐女子描写がまたウケりんぐ。
オシャレなカフェに痛バッグ持って、テーブルにうすい本を何冊もおっぴろげるのです。

( ・ω・)<ねーよ!

たぶん『そこそこ衝撃的な真相』への伏線かもしれませんが、それでも「無いわー」と現役オタは思うのです。
「すまんな。めんどくさい観客なんだ」ってなもんです。
さらに笑ったのが、会社の休憩用オープンスペース(またオシャレなんだコレが)で、痛タンブラーを使ってた場面です。

ていうかアレ、同人誌と同じ表紙ってことはノベルティかオリジナルグッズ?
そういうのって普段使いする? 観賞用にしない?
そもそも何故タンブラーのイラストを自分ではなく観客側に向けてんの?
普通イラストは自分側に向けない? スポンサーの商品ラベルなの? このイラストの絵師さんはスポンサーさんなの???

という一通りの疑問が渦を巻いた後、やっぱり笑いました。
(ちなみに友人氏のツッコミどころは「社長にコーヒー入れる前にタイムカード押せやぁ!」でした。なるほど)

映画館でここまで笑ったのは『カンフー・ヨガ』以来かもしれません。
笑いの種類は異なりますが。


【まとめ:『羊たちの沈黙』がやりたかったのは分かるけども!】

視聴前。
( ・ω・)<あらすじ、『羊たちの沈黙』みがすごいなぁ。

視聴後。
( ゜Д゜)<思ってた以上に『羊たちの沈黙』だった!

いえ、分かるんですよ。
ホラー・サスペンスを創りし者なら、みんな『自分なりの羊たちの沈黙』を創りたいという欲望は。気持ちは。

私も『自分なりの八つ墓村』、『自分なりの犬神家の一族』、『自分なりの十三日の金曜日』、『自分なりのセブン』、『自分なりのゲット・アウト』、『自分なりのアンパンマン』(以下略)を書きたいと日々思い、望み、邁進していますので。
気持ちは分かります。

(※どこから目線の発言なんだコレ)

(※換骨奪胎って大事ですよね。小説教室で学びました)

その他ポイントとしては、
①『M』の正体には驚いた。
②『スマホを落としただけなのに』というタイトルの回収超がんばってた。(まさかヒロイン視点のものだったとは)
でしょうか。


というわけでめっちゃくちゃ笑ったので、「大勢でポップコーン食べながら観てほしい映画」になりそうなんですけど、
何せ『児童虐待のフラッシュバック』、『やたら長い性的暴行(未遂)シーン』、『謎の飲尿強要描写と、刑事が仕事中に観ていたエロ動画の描写』があるので、うーん難しい。

浦野は本当によかったぞ。

以上です。