アマプラで観たホラー映画です。
1978年制作、アメリカのZ級カルトホラーコメディです。
【あらすじ】
アメリカのとある町で、主婦の遺体が発見された。
凶器も侵入経路も不明な中、その遺体を赤く汚すのは血ではなくトマトジュースだと判明した。
その日から、全米各地で人間はトマトに襲われ始める。
【ひとこと感想】
まだまだこういうホラーで笑えたらと天を仰いだ、Z級トメイトゥ映画。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①初っ端からトバしてる
②人喰いトメイトゥの唯一無二のビジュアル
③人間の逆襲
【①初っ端からトバしてる】
開始1分10秒でトマトが呻いて主婦の命を散らしました。
そこからご陽気なBGMが流れ、高らかに、
主題歌:「トマトが立つ、
ゴミ出ししていた人間がトマトに食われる、
ト〜〜メイ〜〜トゥ」(※抜粋&意訳)
キラートマトのオリソンが流れます。
普通にいい声なのが絶妙に腹が立つ。
「ペロッ、これはトマトジュース!」の現場検証から始まり、
隣人がトマトに襲われているのにガン無視する人々(怖ぇよ)、
挙句にトマトとの銃撃戦が始まり、なぜか爆発する飛行機。
偉い人たちは狭い会議室で机の上に上がって移動し、
廊下で人がシャワーを浴びているのにスルーして、
『野菜 果物vs人間』の戦争に備えて、半人半ロボットが動くけどズッコケる、
天下無敵の茶番オブコントが繰り広げます。
やばいぞこれ。
新年早々、真っ当に鑑賞しちゃいけないもん引いてしまった。
( ・ω・)<ヤッチマッタナー
しかしこちらも年季の入ったホラー好き、
すぐさま切り替えて、Z級にふさわしい視聴姿勢へ。
私は負けません。
(何の宣言?)
【②人喰いトメイトゥの唯一無二のビジュアル】
本作にきちんと触れて驚いたのが、トマトのビジュアル(?)。
てっきりサムネイルのイラストのような、CGか何かで作った口と牙があるトマトを想像していたのですが。
まさかの 🍅トマト🍅 そのまま。
純度混じりっけなし、生まれたままありのまま自然のままの無加工トマトが人を襲います。
正確には倒れている人間の上にトマトを置いて、
やたらうるさいトマトの呻きと人間の悲鳴だけの 捕食シーンです。
人間たち:「(トマトが乗っかっているだけで)Noooooo!!!」
マジで海中にトマトがぷかぷか浮かんでるだけで、サメ映画のノリで人間たちは「Noooooo!!!」。
いや本当に、寝っ転がる人間の上にトマトをコロコロしてコマ送りしただけのホラーシーンとか生まれて初めて見た。
他にも男性がトマトサンドに食われたり。
(待て待てこの状況になっても食品加工対象なのかトマト)
途中で家具の広告のテロップが流れたり。
突然のミュージカルパートが3回もあったり。
犬がしゃべったり。
(ホラーで犬が出るとハラハラする民ですが、今回に限ってはそんな気持ちは起こらなかった)
ていうかメイスン・ディクスン博士を筆頭とする人間パートが案外多くて、実はあんまりトマトの出番無かったり。
そうして39分37秒くらいでやっと出てきました、
念願の巨大トマト。
でもどう見ても大玉転がしの玉(赤)。
この頃になるとトマトも自主性を持ち、自ら人間に飛びかかります。
でもどう見ても玉入れの玉(赤)。
( ・ω・)<運動会……?
なんと言いますが、ながら鑑賞(工作してました)じゃなかったら正気を失ってたんじゃないかな、と思うレベルですごかったです。
【③人間の逆襲】
キラトマ(略)の猛攻は止まらず、町は戦火に包まれます。
トマトが焼き討ちして略奪して性的にも襲うって何? ってなもんですが、
頼みの綱の潜入捜査官(?)も、トマトに変装したけどうっかり「ケチャップはある?」と言って始末されます。
このまま人類はトマトに蹂躙されるのか――ですがご安心を。
最後はハッピーエンドです。
キラトマの弱点である『思春期の歌』というヒットソングを聞かせて、弱体化したところを攻めます。
その人間たちの姿勢、戦う姿にはちょっと感動しました。
だって彼ら彼女らはずっと怯えていた。
どこにでもいる空気読めないクソやろー(最近はSNSで目視されます)が、わざと『トマト』とつぶやいただけでパニックになり、逃げ惑っていた。
こんな アホみたいな 絵面でも、この人たちにとっては間違いなくキラトマは脅威なのだな……と思っていました。
けれど人間たちは立ち上がった。
音楽の力を借りて、自分たちの敵と戦った。
人類はしぶといのだ。
でもどう見ても集団ヒステリーを起こしてトマト踏み潰してるアレな人々。
邪悪なトマト祭りというか。
ちなみにキラトマは『思春期の歌』の譜面を見せるだけで弱体化できました。
→なんでトマトが譜面読めるんだよ。
そしてキラトマが駆逐され、メイスン博士と記者のロワスがウフフアハハとラブシーンのミュージカル(絶対そんなフラグ無かったぞ! いい加減にしろ!)の背後で、
今度は 🥕ニンジン🥕 が目覚めました。
ニンジン:「よし! いなくなったぞ!」
→やっかましいわ。
【まとめ:ホラーコメディで笑えなくなったら】
そんな感じで、笑いとツッコミにあふれた楽しい時間でした。
おかげさまで工作が進みました。
(何の工作かは明日のブログで)
ですが唯一、笑えないシーンがありました。
それは夫と離れた女性に、マスコミがインタビューするシーン。
混乱する女性に対し、マスコミは彼女の腕をつかんで無理やりカメラの前に立たせます。
マスゴミ:「ご主人は行方不明?
死んだ? 悲しい? 再婚しますか?
溝にハマって助けを求めてるかも。
でも新しい男は必要ですね。
質問に答えて! カメラを見て!」
…… ( •᷄ὤ•᷅)
これはいけない。
たぶんブラックジョークの笑いどころだろう。
でも自分は笑えませんでした。
これに似た、あるいはこれよりひどい場面を『現実』で見聞きしたことがあるからです。
ここに来て冒頭のテロップが効いてきました。
“ヒッチコック 1963年の作品「鳥」は鳥の大群が人を襲うという内容だった
人々は笑った
1975年の秋 700万羽の黒い鳥がある町を襲い、どうやっても排除できなかった
もはや誰も笑わない”
現実を癒すためのホラーなのに、現実が邪魔して楽しめないのが誠に遺憾です。ちくしょう。
災害でも人為的な事件でも。
願わくば、現実はもっとお手柔らかになってほしい。
こういうアホなホラーで笑っていられるように。
いやでもさすがに人喰いトマトはないでしょうが。
(でも人食いバクテリアはいるんだよなぁ ( •᷄ὤ•᷅))
次回は明日、1月16日火曜日、
『文学フリマ京都の思い出』のお話と写真を。
ホラーの話は1月22日月曜日、
1979年制作、イタリア・アメリカの合作ゾンビホラー、
『サンゲリア』の話をします。
鳥谷綾斗