ツタヤでレンタルしたホラー映画です。
1999年制作、アメリカのモキュメンタリーホラーです。
【あらすじ】
映画学校に通うヘザー、ジョシュ、マイク。
1994年の秋、 『魔女伝説』を題材にしたドキュメンタリー映画を撮るため、ブラックヒルズの森に向かう。
だが三人は消息不明になる。
1年後、三人のカメラが発見される。そこに残されていたのは、あまりに不可解な現象だった。
【ひとこと感想】
『カメラを止めない理由』が分かる、時代とマッチしたモキュメンタリー映画の金字塔。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①リアルだけど怖くない
②当時の宣伝方法がすごかった
③当然の疑問(ツッコミ)が解消された
【①リアルだけど怖くない】
主にアジア圏でうっすら流行っている気がしないでもない、モキュメンタリーもの。
『女神の継承』でも書きましたが、鑑賞のたびに当然の疑問兼ツッコミがよぎります。
撮影しとる場合か。
何なんだその頑なな撮影意思……止めろよカメラを……何がおまえをそうさせてるんだよ……
というアレです。
その謎を解くため――でもなく、単純にモキュメンタリーホラーと言ったらコレ的ポジションである本作を観ましたが。
これがびっくり。
( ・ω・)<怖くない……?
正確には『思ったより怖くない』。
3人の若者が『魔女伝説』を題材にしたドキュメンタリーを撮る物語。
現地の人のインタビューから始まり、酒と草ァを楽しむメイキングも撮り、森の中へ。
遭難した彼らは、言い争いをしながらひたすら歩き続きます。
(ちなみにバッチリーは「ちょっとした国レベルで用意した」そうです。すごい)
40年代に死者が多く出て、子どもの墓が多く、
世捨て人が少なくとも7人の子どもを殺し、
体中毛だらけの女が出没し、
5人の人間が手足を縛られ、星型に配置された『逸話』だらけの土地。
そんな場所で迷った彼ら。
地図をなくし、気温は急激に下がり、食べ物もロクになく、
夜眠っていると、大勢が走り回るような音で起こされ、
テントの外には何かの儀式のような『積み上げられた石』を3つも置かれ、
徐々に壊れていきます。
そのギスギス具合が最高にリアルで、つい「うぅ……😥」となります。
ですが、『決定的に怖いこと』はやはり起こらないのです。
【②当時の宣伝方法がすごかった】
不気味で人間的な怖さ(険悪な雰囲気が嫌という意味で)はあるけれど……な本作が、カルト的存在となったのは、公開された時代と関係がありました。
1999年代。ネット黎明期です。
今のように情報が発達しているわけでもなく、それでいて情報が伝達されるスピードがその10年前とは桁違いに早かった時代。
そんな中でこの映画は、
『実際にあった事件の証拠VTR』として宣伝されたのです。
3人の学生が消息を断ち、のちに発見されたビデオであると銘打って公開された。
そのための作り物の特番まで放送されたそうです。
( ・⌓・)<それは怖いわ!!!
ホンモノである、ドキュメンタリーであるという前提を踏まえれば、あの決定的な事件が起こらない、謎の足音すら聞こえづらくてガサガサと荒いあの映像は、確かに怖い。
疲れて口喧嘩するのも、お笑いしてゴロゴロ転がってヤケクソになるのも、
実際に人間が壊れていく様子なのだと思うと怖い。
意味ありげに置かれた星(地図記号の『文』みたいなマーク)も怖いし、
なんの脈絡もなく、ヘザーが顔アップにして嘆くのも怖い。
偽物だと分かっていも、パッケージにもなったあのシーンは怖いです。
「みんなのママに謝る。私のせいだ」
そう泣きながら、 右上 を見てひどく怯え、
目を閉じるのも開けているのも恐ろしいと泣いたヘザー。
彼女は何を見ているのか。
観ている者に無限の想像を与えます。
【③当然の疑問(ツッコミ)が解消された】
①でも書いた疑問(ツッコミ)について、ヘザーが答えています。
ヘザー:「なんでもいいから映像を撮影しなきゃ
16ミリを回さなきゃ」
ヘザー:「止めないわ。すべて記録する」
何度も仲間に「こんな時に撮影するな」と言われても、決してやめなかった彼女に、マイクは言います。
マイク:「(君が撮影を続けるのは)“現実”じゃないから。
すべて“映像の中の出来事”なんだよ」
ああ、なるほど。
と、腑にどっこんと落ちました。
いわば精神安定のためにずっとカメラを回しているのか。
レンズを通すことで、現実と一枚隔てることで、
「これは現実じゃない」と無意識でも思うために。
あまりに非現実的な、理不尽で恐ろしくて逃げられない『現実』を前にして、
自分の心を守るために。
( ´∞`).。oO(納得……)
【まとめ:ホラーは新鮮なうちに】
かつてないくらい納得&知見を得たので、その後の記憶は曖昧です。(どうなんだそれ)
まさかのラスト7分で家が出てきて、
壁に謎の文字や手形やらはベッタベタだけど怖いなーなど地味な感想が。
ラストはカメラを落として終了。ヘザーが精神を安定させる必要がなくなったからです。
しかしこれ、公開当時に観たかった。
やはりホラーは新鮮なうちに摂取すべきですね。旬の野菜みたいなノリでね。
いやーカメラを止めない理由がこんなところにあったとは……
……。
いやでもやっぱり襲ってきたらカメラでぶん殴るくらいはしていいと思うぞ!?
(※それはファイナルガールの思考)
次回は7月3日月曜日、
2022年制作、日本の都市伝説ホラー、
『きさらぎ駅』の話をします。
鳥谷綾斗