アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2020年制作、日本のソリシチュサスペンスホラーです。
【あらすじ】
人狼ゲームの運営側で働く青年、正宗。
いつものようにプレイヤーを拉致し、ゲームの舞台を整えていると、かつて家庭教師をしていた女子高生・柚月を見つける。
柚月を死なせたくない正宗は、なんとか彼女を勝たせようと画策する。
【ひとこと感想】
デスゲームの運営だって『お仕事』だった。
※程よくネタバレです。
【3つのポイント】
①ルールを知らなくても大丈夫。
②お仕事ものに感じる悲哀。
③削ぎ落とした結末。
【①ルールを知らなくても大丈夫】
鑑賞前に懸念事項がひとつ。
人狼ゲームのルール、よく分からん。
( ・⌓・)<アンポンターン。
人狼、村人、預言者と霊媒師ってどう違うの? 用心棒って?
そんな状態ですが、作中の説明のおかげで、「人様に説明できるほどではないけどフンワリとは理解できる」になりました。
誰が人狼か言い当てれば勝ち。
そして『嘘を見抜く』よりも『土壇場で信じれてもらえるか』がポイントな模様。
なので人狼ゲームに馴染みのない方でも大丈夫だと思います。
【②お仕事ものに感じる悲哀】
作品のコンセプトは、「もし自分が主催するデスゲームに愛する人が参加したら」。
デスゲの諸悪の根源たる運営側にスポットライトを当てるのは実に興味深く、正宗はきちんと主人公として焦り、ピンチに陥り、東奔西走しました。
ただし同僚の琥太郎を巻き込んで。
「俺は関係ない!」と拒否る琥太郎に「どうしたらいいかな!?」と言い続けます。正宗めっちゃメーワクなやつだな。メロスじゃん。
ですがセリヌン琥太郎、何やかんやで力を貸します。「よいやつだな。死ぬぞ」と思ったものです。
(ホラー映画の過剰摂取による荒んだ厭世観)
次々と起こるアクシデントに、運営側も必死で対処します。賃金と命のために。
それを見て、
( ・⌓・)<これはもしやお仕事もの作品なのでは……?
と思いました。
感じたのです。働く人たちの悲哀を。
いわゆるデスゲ主催者に感じる、不愉快な愉快犯要素はほぼ無く、淡々と上から言われたことをこなすパートタイマーみを感じました。(そこがまた狂気の沙汰)
途中、正宗が心情を吐露します。
運営の仕事を続けて、三千万もの大金を所持する彼は、不幸まっさかりの顔で言います。
「最初はそうでした。
でも今は、お金があってもそんなやりたいことないなって」
( ・ω・)<……そりゃそーだ。
モニター越しとはいえ目の前で人がバンバン死んで、間接的とはいえ加担していて、正常な脳みそでいられるわけがない。
でも『上層部』には逆らえない。そんな上からのプレッシャーに耐え、黙々と『仕事』をこなす悲哀がありました。
【③削ぎ落とした結末】
そんな社畜たちの静かな反旗の物語の結末は、最低限の情報でまとめられてて好感度が高いです。
映像をうまく出し、過去の場面を効果的に見せることで、セリフによる説明はなしで「ああ、そういうことか!」と納得させる。
面白かったです。こういうのができるから映画は良い。
見ようによってはブツ切りに見える結末でしたが、個人的に大変好ましかった。
ちなみに好きな登場人物は人狼の佐竹さん。
アニメに出てきそうな声音で独特の喋り方のトーン、何より計算高さにグッと来ました。
そして裏切られ、策に溺れた最期。お見事です。この女優さんチェックしよ。
【まとめ:久々の現代邦画ホラー】
最近すっかり海外・古典ホラーにお熱でしたので、久々の今時の邦画ホラーでした。
(リカちゃん映画も観れなかったし)
現在注目しているのは『恐怖人形』です。
今度ネトフリで観ます。
これからもエモい邦画ホラーがどんどこ生まれることを、心より祈念しております。
次回は8月30日月曜日、
2020年制作、韓国のクライムサスペンス、
『殺人者の記憶法』の話をします。
(クーポンでレンタルした)
鳥谷綾斗