アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2015年制作、日本と台湾の合作ホラーです。
【あらすじ】
TVのプロデューサー・ハウは、美しい恋人・イーハンとの結婚を控えている。
彼はとある番組で、『冥婚』――死者との結婚について取材していた。
ある日、彼は赤い封筒を拾う。すると、見たこともない場所で婚礼の儀をおこなう夢を見る。
一方、女子高生のインインはこの世ならざるものを視始め……
【ひとこと感想】
仄暗く陰鬱で美しい、けれど幽霊がめっちゃ元気な映画。
※全力ネタバレです。
2
【3つのポイント】
①メモ:台湾の冥婚事情
②美しい悪夢
③意外とハデな最終決戦
【①メモ:台湾の冥婚事情】
死者と生者、あるいは死者と死者が結婚する儀式、冥婚。
台湾ではこんな感じだそうです。
①別名を娶神主(位牌を娶る)と言う。
②赤い封筒を拾った人間が、死者の相手に選ばれ、娶らなくてはいけない。
③台湾では女性の冥婚が多い。
④その背景に、未婚の女性は墓に入れないという前提がある。
⑤墓に入れない女性の霊は、怨念となりこの世に留まり続ける。
⑥だから、それを救済するために冥婚という『措置』がある。
当然ながらいちばん引っかかったのは④です。
( ・⌓・)<なんで???
としか言いようがない。
一応先に「台湾にある女性差別の思想が基づいている」という前置きはありました。だがそれでもあえて「なんで」って言ってやろうと思います。
【②美しい悪夢】
古き良きJホラーを思い出させる、湿度を感じる、じわじわとした、ふと気づいたら足に白い手がそっと触れているような恐怖の描き方でした。
もっとも恐ろしかった場面は、『悪夢から目覚めたハウが右隣で眠る恋人の顔を見て安堵した後、寝返りを打ったら左隣にその恋人がいた』です。
いや怖いわ。と、少々キレ気味につぶやくなど。
両手に花🌻 とかボケしてる場合じゃないです怖ぇです。
かと思いきや、霊能力に覚醒したばかりのJK・インインが見た犬の霊は、ハッキリクッキリ映したり。
シャワーを浴びるハウの横にある浴槽に、まっくろな死体が普通に設置されていたり。
スローな恐怖と瞬間的な恐怖のバランスがばっちりでした👌
あと霊媒師さんの使った交霊術(こっくりさん的なシステムで、ピンと張った革の下から針のようなものが動いて文字で知りたいことを教えてくれる)も、すごい好奇心がそそられました。
いいよね霊感アイテム。異国なので尚のことロマンを感じます。
【③意外とハデな最終決戦】
この映画は二部構成です。
婿殿として選ばれたハウの視点と、
次々と恐ろしい幽霊を目にするインインの視点。
二人の道はなかなか交差しなかったので焦れたのですが、きちんとクライマックスに繋がったのが素晴らしい!
そしてそれまで静かだった幽霊さんたちもヒートアップ。
学校のプールで殺された女学生さんは、足をぶらんぶらんさせて「がおー」と襲ってきたり、ポルターガイストも派手派手です。
一方、ハウは、夢の中で見た結婚式の場に訪れます。
そこでの冥婚の儀式は、美しい悪夢そのもの。
土気色の顔の『花嫁』と無理やり契らせれる、生理的な嫌悪感。
新郎新婦が礼をし合った時の、『花嫁』の ガクン!! という首の垂れよう。
お互いの血を酒に入れ、腐りかけた紅が混じった盃を飲まされる気色の悪さ。
おぞましいのに綺麗でした。
【まとめ:恐ろしいものが美しいものに】
さてラスト。
「どうして幽霊がいるのか」をきちんと考えたインインのおかげで、ハウは助かります。
そんな彼は呻くように、謝罪を口にします。
「イーハン 僕を許してくれ」
ここから種明かし。
インインの元に現れた恐ろしい幽霊の正体は、イーハンでした。
冥婚の花嫁に操られたハウが殺した彼女は、インインに助けを求めていたのです。
どうかハウを助けてほしい、と。
病院のベッドで眠るハウを見守るイーハン。この場面が綺麗でした。
恐ろしい化け物から優しい恋人に戻った彼女の慈愛の瞳。幽霊だからこその麗しさ。
美しいものが恐ろしいものになることがある。
だが、恐ろしいものが美しいものに戻ることもある。
物語の結びとしては、とてもロマンチックでした。
……にしてもこの結末は少々意外。
決して珍しくはない仕掛けなのですが、ここまでこの二人の愛情が深いとは。
何せイーハンの第一声が、
(冥婚の悪夢で魘されたハウに)
「ブタみたいに熟睡するくせに悪夢を見たの?」
だったので。
( ・ω・)<仲悪いの?
って思ったんですよ。
いやいや、これは私の偏見によるものか。『豚』って別に悪口じゃないもんな。いや知らんけど。
ゾクっとするけど派手さもある、オススメの映画です。
(今月中に『返校』を観に行きたいなーー)
(ゲーム未プレイでも理解できるかなーー)
(いやできるはずだホラーへの愛があればーー)
次回は8月16日月曜日、
1931年制作、アメリカのSFホラー、
『フランケンシュタイン』の話をします。
鳥谷綾斗