アマプラ観たホラー映画シリーズです。
1958年制作、日本の怪談映画です。
【あらすじ】
深夜、大学病院の医師・久住は研究室にいた。
突如停電し、真っ暗な中、不気味な足音が近づいてくる。
久住の脳裏に6年前の記憶が浮かぶ。
妻の結核治療のために住んだ古い屋敷のことを。
そこで起こった、猫の鳴き声と恐ろしい体験を……。
【ひとこと感想】
猫耳おばば様が元気に人を襲う怪談映画。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①怪談映画というジャンル。
②猫耳おばば様の無双。
③「いや仇から殺せよ!」というツッコミ
【①怪談映画というジャンル】
この作品の冒頭、大変素晴らしいです。(直球)
味のあるフォントでのオープニングの後、真っ暗な停電の夜の『病院』内が画面一杯に広がります。
明かりで照らす部分だけが見える。
いま通ったストレッチャー、乗せられているのは生者なのか死者なのか。
それを押していた看護婦(この時代なのであえてこの表記で)に、ちゃんと足はあったか?
そんな不安を掻き立てられる画面展開は、
『化け猫』というモチーフも相まって、
『ホラー映画』でも『恐怖映画』でも『怪物映画』でもなく、
『怪談映画』と呼ぶにふさわしい――などと頷きました。
ちなみにVRで観たら最高だろなぁとも思いました。
( ・ω・)<ワクワク。
【②猫耳おばば様の無双】
そんな50年代の怪談映画、モンスターはなんと 🐱猫耳が生えた老婆👵 です。
( ・⌓・)<50年代のニッポン、進みすぎでは?
と、昨今の萌え文化に侵食された感想が出ましたが、よくよく考えると『人間に猫の耳が生える』とは、本来ならかなり奇怪、奇妙、フリークスなのです。
(それを文化にまで発展させた日本すごい。タコを食べる国なだけある)
白髪を振り乱し、猫の耳と顔面と動きで、養生する頼子を襲う化け猫のインパクト、そりゃもう凄まじかったです。
ふと目を向けた先の、暗がりにいる。
雨夜の中、裸足で佇んでいる。
突如頼子の部屋に現れて襲う。
まさに神出鬼没。久住夫婦は、屋敷を紹介した兄の伝で、お寺さんに事情を聞きます。
ここは丁髷の時代、恐ろしい呪いが跋扈した屋敷だったのです。
(そんな家に妹夫婦をあてがうなよ、と静かなツッコミ)
【③「いや仇から殺せよ!」というツッコミ】
そして謎解き。屋敷の過去編です。
それまで白黒画面だったのが過去に遡ると、カラー画面になったのが鮮やかでした。
普通逆では、と思いましたが、『血の赤』が映えさせたかったのかと推測。
簡単にまとめると、
①元々この屋敷は、えぐい癇癪持ちの色情狂の御家老のものだった。
②御家老はプロ棋士の青年・小金吾と囲碁をして、負けた腹いせに斬って壁に埋めた。
(心が狭い。しかし小金吾も接待囲碁と割り切ればいいのに、本気でボコボコにした挙句煽るのはやめてやれ)(しかし気持ちは分かる)(囲碁に誇りを持っていたんだろう)
③小金吾の母親は当然仇討ちへ。しかし返り討ちにされ、自害して、飼い猫に血肉を食わせて化け猫と化した。
(小金吾の幽霊が現れただけで「誰に斬られたの!」と察した母上、理解が早い)
です。
だがしかし妙な点。
若く美人の母上に猫耳が生えるのではなく、わざわざ 🐱御家老の母親(老婆)を殺して取り憑いた👵 点。
なんでや。何故ひとつ挟む。そこは普通に母上に猫耳でええやろ。ていうかそのおばあちゃん関係ないだろ!
そう。
この怪談映画、元凶の御家老をさっさと殺せばいいのに、何故か他の人から襲うのです。
老婆、女中さん、御家老の息子。いや周りを巻き込むな。
さらに御家老の息子は、若い女中さんと身分違いの恋を燃え上がらせていたのですが、御家老は彼女にすら手を出しました。胸糞です。
しかし化け猫は、彼女が襲われるのをじっと見るだけ。何してんねん、早よ切り裂いて噛み殺せよ。(野次)
化け猫がちんたらしたせいで、御家老はますます調子に乗り、息子に恋愛を諦めるよう言います。
その時のセリフ。
御家老:「女狂いも程々にしろ」
( ・⌓・)<おまいう!?!?!?
世界中でおまえだけには言われたくない。
――という鬱憤がめちゃくちゃ溜まった後だったので、派手な殺戮シーンはスカッとしました。
でもそれまでが長すぎた! 周りを巻き込むな!(2回目)
【まとめ:ハッピーエンドでした】
そんなわけで現代。冒頭の、停電の夜の病院に戻ります。
謎の足音は、元気になった頼子のものでした。お弁当の差し入れです。
不気味な猫の鳴き声は、ホンモノの 🐱ネコチャーン🐱 の声でした。
猫好きになった頼子は、 🐱ネコチャーン🐱 を抱き上げて、この子を飼おうと言い出し、明るい笑い声で終幕です。
化け猫の祟りは屋敷の壁に埋められた小金吾の遺体を弔ったら止んだ、という事実をさらっと流して……
( ・ω・)<……
ハッピーエンドです。
だが力技だな???
(肝心なシーンをセリフだけで済ます的な意味で)
【おまけ:お気に入り場面】
御家老の母親(おばば様)が化け猫に殺される際、
『障子に映った影絵』で表現していたのが素敵でした。
影絵にはロマンがある。
さらに女中さんが殺される際、
女中さんが帯を解かれ、完全に「あ〜〜〜れ〜〜〜」の状態で踊りながら殺されるの面白かったです。なんだこれ。
化け猫おばばが障子を破る際も、
「そりゃ破るよね、猫ちゃんだもの……😌」
などと思いました。猫だもの。
猫が可哀想な目に遭う場面はないので、猫好きさんも安心してご覧になれます!👍
次回は6月27日月曜日、
2020年制作、日本の都市伝説ホラー、
『シライサン』の話をします。
鳥谷綾斗