人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

ドラマ/「きのう何食べた?」最終回。

関西も最終回を迎えました。


さみしい!!


先に叫んでおきます。


【思ひ出】
ドラマ制作の正式発表があったのは、1月24日。
原作15巻発売と同時に特報を見て、


「なんか信頼できる――……!!」


と思ったのが3月22日。らしいです。バーチカル手帳に書いてました。
そして迎えた第1話

いろんなことがありました。


ケンジとシロさんの *愛の巣* のインテリアに解釈違いが起こったと思いきやそうでもなかったとか。

『あえて言わない台詞』とか。

漫画のキャラクターを生身の人間が演じる上で、加えたらもっと素敵になるスパイスとか。

創作する上でも大変勉強になりました。

エエ年したおじさんふたりを死ぬほど可愛く撮ることに命を燃やしたドラマでした。
笑って萌えて悶えて泣かされてクリティカルヒットの飯テロされて、「ごはんっていいなぁ」「誰かと一緒っていいなぁ」「丁寧に生活するのっていいもんなんだなぁ」と思えた……というより、思い出せたような感覚です。

改めて、制作側に心から御礼申し上げたいです。

 

……と、ここまでが最終回を観る前に書いた記事。


【振り返って見ると、(主に)シロさんの成長物語だった】
全12話でしたが、ドラマ内では2年経過してました。

思い起こせば第1話と第2話。
ゲイだと知られたり、ゲイっぽく見られることを極端に嫌がっていたシロさん。
ケンジに怒鳴ったり、佳代子さんの前で空回ったり、テツさんヨシくんにつっけんどんな対応をしてました。

それがねえ、12話の最後で、一緒に可愛いカフェに行って一緒にスコーーーーンなんぞを食べてるわけですよ!


「なんか、もういいかなって」


って言いながら。
ツイッターにも書いたんですけど、この台詞って、すごくいい言葉です。
ずっと自分を縛って、自分で自分を苦しくさせていたもの(『逃げるは恥だが役に立つ』に出てた『呪い』ともいえる)から解かれた時に使う言葉としては、すごく理想的です。
50歳近くになっても、人は変われるものでした。それは、とっくの昔に成人して、大人になってしまった自分にとって、とても大きな希望に思えました。

ドラマシロさんが気づけてよかった。
自分がいちばん気にすべきなのは、名前も知らない他人や、実はどこにも正体なんて無い『世間』じゃなくて、目の前にいるケンジがハッピーかどうかってことに。


あとフィジカルな触れ合いを最後に持ってきたのも素晴らしい。構成的な意味で。

(長年オタクをやってきてもはや末期レベルなので、たまに忘れるんですけど、同性同士で抱き合ったりすることに嫌悪感をおぼえる人はいるんですよね)

(だから最終回まで、性的なものを匂わせる描写は極端に少なかった。ケンジの『僕の方がオトコなんですよ』はありましたけど)

(12話かけてじっくりふたりの関係性を描いて、このふたりなら抱き合っていても変じゃないな、むしろ普通だなって視聴者に感じさせるようにしたのでは、と)

(それってエモいと思います。頭ごなしに「同性愛は変じゃない!」と押しつけるのではなく、ごく自然に、さりげなーく受け入れさせる)

(……って、改めて考えたらすごいな???)(※語彙力崩壊)

 


【数年後にまた見返したい】

「いい作品の絶対的条件は、再読、再視聴したくなること」

というのが長年いろんな作品に触れてきた自分が、キリッと主張できる意見なのですが。
このドラマも文句なしでそれです。
10年後にまた観たい。
原作も、初読み当時では分からなかった、うっすらとしか理解していなかったことが、今になって「なるほど、こういうことだったのか」と実感をもって分かるようになりました。


(これ感覚としてはアレに近いです。
ヘレンケラーの『Water』のシーン。『知るを得た』とでも表現すればいいのか)


たぶんもっと年をとったら、この『知るを得た』瞬間が訪れる機会が増えるんでしょう。

いま10代の人は20代、20代の人は30代、30代の人は40代、40代の人は50代の人は……みたいな感じで。
長く長く、楽しめる作品に出会えた奇跡に拍手と乾杯を。

 

 

きのう何食べた? Blu-ray BOX(5枚組)

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円盤が出るまで録画を見返します。シナリオブックもお願いします。


ごちそうさまでした!!