本日、2019年3月19日で、
『散りゆく花の名を呼んで、』発売からちょうど1年です。
早い。むしろ速い。時の流れが猛スピード。光陰はいつだって矢のごとし。
購入して読んでくださった方、ありがとうございます。
改めて心より御礼申し上げます。
小説教室で知り合った方も2名ほど買って読んでくださいました。
ありがとうございます。楽しんでくださいましたら幸いです。
(あとサインがヘタですみません)
集英社 j-BOOKS刊行
「散りゆく花の名を呼んで、」
http://j-books.shueisha.co.jp/books/chiriyukuhananonawoyonde.html
✩
さてそんなアニバーサリーな今回は、作品において重要度がかなりのウェイトを占める『タイトル』についての四方山話と、『散りゆく花の名を呼んで、』の裏話の合体版です。
【タイトルって大切だと思った】
あれは去年の秋のこと。
生まれながらのすごい天パをなんとかするため、なじみの美容院に行きました。
施術の間、漫画&アニメ好きの美容師さんたちと話が盛り上がりました。
(基本陰キャなので)美容室でこんなに楽しく会話できたのは初めてでした。
美容師さん(以下、美)「秋アニメ、何見てます?」
鳥谷(以下、鳥)「ガイコツ書店員とかちとせちゃんにハマってますねー」
美「あー癒やされますよねー。私あれ観てるんですよ、『だかいち』ってやつ」
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人
> 平和な昼下がりの <
> ナチュラルテイストでウッディーな <
> オシャレ美容院内に突然のBL!! <
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( ゚д゚)
一瞬びびりかけましたが、自分も観てたので頷きました。
鳥「何でしたっけ正式名称。確か、抱かれたい男に1位に……(抱かれています??)」
それただの惚気やがな。
心の中でセルフツッコミしてました。
正確には、『抱かれたい男1位に脅されています。』でした。
その後、漫画やアニメや子育てにおける息抜きの話をしながら、ばくはつヘアーをツヤサラ髪にしてもらいつつ、ふと思いました。
タイトルってやっぱり重要だな、と。
【分析してみよう】
もしも『抱かれたい男1位に脅されています。』が、私の勘違いどおりに『抱かれたい男1位に抱かれています。』だったらどうでしょう。
だから何なんだよ、と思う気がします。
何故だろうと考えると、『意外性がないから』に尽きると思います。
抱かれたい男1位の男性(芸能人で魅力的なイケメンだと分かります)がいる。
↓
そんな彼に主人公は脅されている。
この、一見すると謎に思える言葉の組み合わせで、「え、何で? どういうことだろう?」と読者の興味を引くわけです。
全部を覚えてもらえなくてもいい、記憶には残ります。昨今の検索システムは優秀ですから、おぼろげ検索でも出てきて、そこから手に取る機会も増えます。
そう考えたら、秀逸なタイトルだと思いました。
【自作品のタイトルの話】
自作すべてのタイトルを並べて、もっとも気に入っているのは、ふつーにデビュー作です。
『散りゆく花の名を呼んで、』
綺麗でしょう。儚げで、作中に咲いてる描写がない「桜の花」を思わせるでしょう。
そんな風にドヤッと言えるのは、実はこのタイトルは私が考えたんじゃないからです。
こちら自作のうっすらとしたネタバレを含んでいるので、続きは『続きを読む』にて。
その他ですと、
『雛鳥作家と夏空本屋』
(字面がお気に入り)
『13段目を踏んじまえ』
(作中のセリフなんですけど主人公の心情でもある。……つもりだった)
『安芸くんは壁ドンができない』
(モロ少女漫画って感じが)
あたりがお気に入りです。
【好きな作品タイトルの話】
今まで読んだ中でいちばん好きなタイトルは、東野圭吾先生の『さまよう刃』です。
貴志祐介先生の『黒い家』も好きです。
こちら、元は『モラルリスクの黎明』だったとか。ラストを考えるとそっちも良いかと思いますけど、怖さは『黒い家』に軍配が上がります。
続きは裏話です。
『散りゆく花の名を呼んで、』のタイトルの変遷です。
✩
投稿した時、タイトルは『花は二度死に、名を失う』でした。
ちなみにその前は『失名の花』でした。
編集さんと最初に打ち合わせした時から変更は決まっていまして、「とてもいいタイトルだと思います。変えましょう」と言われ(本当に逆接続詞がなかった)、たぶん変えるだろーなーと予想していた私は頷きました。
そっからが大変。
すっかり忘れてましたが、私はタイトル決めと登場人物の名前決めが大の苦手だったのです。
(逆に何が得意なのか。えー……、……『勢い』……?)
難航して、友人知人誰彼かまわず「好きな作品タイトルを教えてください」と土下座(心情的に)しました。上は70代から下は10代まで、男女問わずで。
そして改稿中につけた仮タイトルは、『彼女の名前はもう呼べない』。でもコレもボツでした。
切羽つまって知り合いの大学生にうだうだ話すと、彼は、「『散りゆく花の名は呼べない』なんてどうですか」と翌日提案してくれたのです。
どうだろうなーと担当編集さんに提案すると、見事に採用されたのです。
ただ、受け手の『想像』を喚起するために、『散りゆく花の名を呼んで』にしましょうと言われまして。
正直言って、最初「微妙……?」と思いました。
『呼んで』だと『呼んでください』っぽく聞こえる、と思ったからです。
(この辺のこだわりは我ながら強かった。ヒロインの性質に関わるものだと思ったので)
しかし、あちらも引きません。ところで編集さんが最初に出したタイトル案は『キラキラネーム殺人事件』でした。(※もちろん冗談です)
ちなみにふたつ目は『花葬』でした。『葬る』の要素がない上に、それは憧憬してやまない連城三紀彦先生の傑作シリーズのタイトルなので「それはちょっと……」と断りました。
電話での話し合いだというのに数分ほど沈黙が続いて、結果的に、『句読点』をつけることで双方納得したのです。
いい思い出です。
評判もよくて一安心。ブラボー大学生氏、ブラボー編集さん。おふたりに光あれ。
【おまけ・余談】
美容室の話に戻ります。
漫画&アニメ好き美容師さんはだかいちにすっかりハマり、初めてBL漫画の単行本を買ったそうです。
「わーい腐女子ー」とアイロンされながらキャッキャしました。
特にベッドのサイズでめちゃんこ盛り上がりました。でかいんですよ、東谷さん(だかいちの攻めの人。腹黒天使)ちのベッド。たぶん高人さん(受けの人。ストイックだけどいろいろチョロい。声が低いのいいですね大変いいです)と使うこと前提に買ったんでしょう、キングサイズどころじゃない。
ていうかそもそも家広い。植物でかい。ジャングルか。新人という設定なのに芸能人って儲かるんですねーと身も蓋もないことで和気藹々としました。
あと、ヘルプに入ってくださった美容師さんも同じく漫画好きでした。
ですが、こちらは少女漫画が読めないそうです。
鳥「お嫌いなんですか?」
美2「嫌いではないんですけど……読めないんです……」
鳥「えっと……何で……ですか……?」
美2「読めないんです……なんか……読めないんです……」
(´・ω・)<oh……
なんか理由が分かるような。
次回は映画感想記事です。『キャビン』の予定です。