人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/ディープ・ブルー

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
1999年制作、アメリカのサメ映画です

 

ディープ・ブルー (字幕版)

ディープ・ブルー (字幕版)

  • サフロン・バローズ
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【あらすじ】
太平洋上〜海中に建てられた、海洋医学研究施設・アクアティカ。
サメの脳細胞からアルツハイマーの新薬を作ろうとするスーザン博士は、使命感とスポンサー獲得のために事を急ぎ、サメの遺伝子を改良してしまう。
巨体と高度な知能を手に入れた3頭のサメは、次々と研究員たちを襲う。

 

【ひとこと感想】
鑑賞中、特大の「マジか!?」が3回出た力強きサメ映画!

 

※全力ネタバレです。

 

【3つのポイント】
①冒頭の「マジで?」=なかなか殺さないサメ。
②作中の「マジか!」=演説中に死ぬスポンサー。
③ラストの「マジ……か!?」=えっ、この人が死ぬの?

 

【①冒頭の「マジで?」=なかなか殺さないサメ】
始まりは夜の海でした。
おあつらえ向きに、ボートの上でイチャつくカップルたち。

ホラー映画でイチャつくカップル=惨劇フラグ。
もはや様式美通り越して常識です。

そこに忍び寄る怪しい影……
水面からチラ見えするヒレ……

( ・ω・)<来るぞ、来るぞ……

しかし最高潮となった期待(ぶっ壊れ倫理観)は裏切られ、人を襲おうとしたサメは捕獲されます。

( ・⌓・)<マジで!?

そして舞台はアクアティカに移り、ダイバーが潜る中、サメが不穏な雰囲気を漂わせます。

( ・ω・)<さっきは肩透かしだったけど、やっと来るぞ……

しかし同じく裏切られ、ダイバーことカーターは、巨大なサメのヒレに捕まり、サメの口から食べかけのナンバープレートを取りました。

( ・⌓・)<マジで!?

こんな感じで、「天才サメがなかなか人を食わない」。
(ちなみに最初の天才サメの犠牲者はサメ)

意外でしたが、先日観た『マツコの知らない世界』によると、「サメの横で泳ぐ」というは現実でもありえるようで。
サメの狩りの時間は決まっているとか。紳士淑女だな。人間とは違うぜ。

 

【②作中の「マジか!」=演説中に死ぬスポンサー】
サメ無双が始まり、登場人物たちのアクアティカからの脱出劇が繰り広げられます。
そして発生する人間同士の軋轢。起こる言い争い。

そんな中、高い人徳を示すのが、スポンサーであるラッセル。
彼は雪山で遭難したという過去があり、その経験を語ります。

 

自然は過酷だが人間の残酷さには及ばない。

 

「人間が事態を悪化させる」――というのは、こないだ観た『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』でも悲しく思ったことです。
あまりに真に迫った、真摯なラッセルの主張に、全員耳を傾けます。
そうして彼は呼びかけます、「皆で協力しよう」――

その瞬間サメが現れて、ラッセルをBAITにしました🦈

( ・⌓・)<……?

( ・⌓・)<さては感動させる気がないな……?

ホラー映画に出てくるお金持ちにしてはめっちゃ人格者だったのに……
(※偏見に凝り固まった意見)

『パニマ』の今カレといい、この世は理不尽ですな。

 

【③ラストの「マジか!?」=えっ、この人が死ぬの?】
ラストにして最大の驚愕は、主人公のスーザン博士の死亡。

まさかサメに食われたと見せかけて助かりましたという王道展開が、主人公ではなくやたらアクの強いコック(プリーチャーさん)だなんて普通思わんくない?

ですが。
このまま彼女だけ生き残るには、彼女は罪を重ねすぎた。――のかもしれません。

新薬を開発して多くの人を救いたいという大義のためとはいえ、サメに知性という名の狡賢さを持たせ、多くの人間をその餌食にした。

最初の人間の犠牲者・ジムが腕を食い千切られた時にサメを逃すなんてことをしなければ、被害は最小限に食い止められたのに。

一人で研究データを取りに行ったり、もう本当に余計なことしかしないスーザン博士。

ここだけ見ればサメの餌食になるのはさもありなんなのですが、結局は彼女の研究は潰えました。
サメに襲われて電流で殺した際に、記録媒体が壊れてしまって。

それだけじゃ神様は赦してくれなかったのか。

サメから生還したプリーチャーが目覚めて、自分を手当てするスーザン博士に対して言った、

 

「悪魔だ」

 

というセリフが効いてきます。

死ぬことによって彼女は「悪魔」から「人間」、或いは「勇者」に浄化された――のかもしれません。

 

【まとめ:最強サメと最強コック】
シンプルにサメがすごかった。
年をとっても癌にもならず、脳も衰えないサメは、
銃が自分を殺す武器だと判別できる、後ろ向きに泳ぐ、カメラを壊すことができる、怪物に変貌しました。

しかも、生きたままの人間を人間がいる場所の強化ガラスに叩きつけて割る、というまるで人間のような性格の悪さまで発揮しました。

すべてはたったひとつの目的のために。

深く青い海で自由を得るために、
サメは自身すら囮にしたのです。

(ここでタイトルの『ディープ・ブルー』の意味を説明するのはプロの技✨)


最強サメに負けじと出てきた最強コック・プリーチャー。
まったく負けてません。
すぐ退場しそうな外見なのに生き残りました。
ただ、オウムのバードが死んだのは残念。鳥殺しは人殺しより軽かったか……。

サメに追い立てられ、キッチンのオーブンに閉じ込められ、まさかのサメ映画で焼死かと思いきや、知恵と筋肉と思い切りで乗り切りました。

(水中にあるオーブンが何で稼働するん? とか)

(水浸しのライターって着火するん? とか細かいことはどうでもいい)

そしてラスト、サメに海中に引き摺り込まれて食われそうになったのに、十字架で目を潰して脱出するのはつよつよが過ぎる。

十字架は持っておくべきものだなと思いました。(思考停止)

そうしてサメは爆破され、
ディープブルーに紅いラフレシアのような花が咲き、
交代の人員を乗せた船が水平線の向こうから来ました。

このアクアティカで、スーザン博士の研究が順調に進めば、脳の退化を一掃できた薬ができたのかもしれない。

でも、神様は『それ』を禁じたのかもしれません。

――と、このプリーチャーがよく神様を唱えていたので、自然とそんな感想が生まれました。

ってな感じの、
二大巨塔の評判に違わない、超A級サメ映画でした!

 

次回は7月19日月曜日、
2019年制作、アメリカの(敬愛せし)ブラムハウスのサスペンスホラー、
『透明人間』の話をします。

 

鳥谷綾斗