アマプラで観たホラー映画シリーズです。
1968年制作、アメリカのゾンビ映画の始祖的ポジションの白黒映画です。
【あらすじ】
田舎にお墓参りに来た兄妹・ジョニーとバーバラ。
彼女たちの前に、『生ける屍=ゾンビ』が現れ、ジョニーが食われる。
バーバラが逃げた先には一軒家。
そこには黒人青年のベンと、地下室に篭っていた若いカップル、そして親子三人がいた。
夜が深まり、ゾンビたちは次々と集まってくる……。
【ひとこと感想】
得体の知れなさは現代ゾンビを遥かに凌駕していた。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①最初のゾンビの形は『動きがなんかおかしい人間』。
②ヒロインが本当に何もしない。
③人間が2人以上いれば争いが起こる。
【①最初のゾンビの形は『動きがなんかおかしい人間』】
wiki調べで恐縮ですが、初めてゾンビが出たのは、
1932年アメリカ制作、ヴィクター・ハルペリン監督の『恐怖城』という映画だそうで。
ですが、今現在の『噛まれたらゾンビになる』などの要素はこの映画で確立した模様です。
田舎の墓地で現れたゾンビ、第一印象は、『動きがギクシャクとして奇妙な人間』でした。
いわゆるゾンビメイクもなく、腐っている様子もない。
夢遊状態の生者、そんな感じでした。
石を使って窓を割る知能、服に引火した火を消そうとする理性もあり。
すっぽんぽんの女性や、虫を食う老婆もいました。
そんな一見生者と変わらず、ただ動きだけおかしい『人間』がゾロゾロ集まってくる様は非常に不気味。
車で轢こうとしても避けようともせず、ただじっと見るだけ。
見た目が自分たち(生者)と変わらないのに、徹底的に違う。
何ひとつ通じなさそうな得体の知れなさは、現代のゾンビ――腐っている体、血まみれの顔、高速で走るバリ高の身体能力(※新感染ネタ)、銃器の扱いもお手のもの(※サイコブレイクネタ)、理性も知能もある(※という漫画であるそうです)――そんな高品質ゾンビたちを遥かに凌駕します。
そして内臓を引き摺り出して食べる場面。
めっちゃ美味しそうに食べてました。フランクフルトを食べる子どもみたいにニッコニコ😊
(可愛げもこちらの方に軍配が上がる)
【②ヒロインが本当に何もしない】
ヒロインの、冒頭で兄を殺されたバーバラさん。
びっくりするほど何もしませんでした。
ひたすら『兄を失ったショックで放心』していた。
ベンに窓を塞ぐから板を探せと言われているのに、なぜかオルゴールを鳴らす。
釘を打ちつける時に少しは手伝いましたが。他の人も「ああ……」と呻く間にまんまとゾンビに髪をつかまれたり。
( ・⌓・)<何なん???
ぶっちゃけイラッとしましたよね。
血を吸うシリーズでも思ったけど、昔の女(主語をでかくするのやめろ)、何なん???
こんな感じでバーバラさんへの反発があって、これ以降のゾンビ映画はヒロインが大活躍なのでしょうか。
( ・ω・)<たぶんそう。
【③人間が2人以上いれば争いが起こる】
外にいるゾンビたちを『殺し屋のバーゲンセール』というパワーワードで喩えつつも、生存者たちは決裂していきます。
車で逃げるべきVS地下に閉じこもるべき。
登場人物はたった7人。
たったそれだけなのに、一致団結できない。
ゾンビという共通の敵がいても、手を取り合わない。
シンプルに悲しいです。
【まとめ:バッドエンドでした】
最後は全滅しました。当然です。
地下に閉じこもるべきだと暴れたクーパー氏は、ゾンビに噛まれた娘に食われました。
(でも、『ゾンビに噛まれたらゾンビになる』という前提を知っている我々からしたら当然的帰結ですけども、当時の人たちからしたら驚愕&絶望ものだったんでしょうなぁ)
唯一朝を迎えられたのは、主人公のベン。
彼は駆けつけた保安官にゾンビと誤認され、否、確認すらされずに遠距離で射殺されました。
これだけでも胃に来るオチなのに、さらにここから残忍な光景が広がります。
殺されたゾンビたち――生きるために必死に戦ったベンも、遺体に手鉤を刺され、まるで食肉のようにズルズルと地面を引きずられます。
その先には焚き火。ベンもゾンビも一緒くたに火にくべられました。
火葬ではなかった。
弔いのためのものではなく、どう見ても『物』の処理。
まるっきり家畜です。
ゾンビの元は『死体を蘇らせて造る奴隷』なので、その比喩もあるのかもしれない。
ただ、ここで、『新感染』のラストを思い出しました。
実に対照的です。長い時間を経て、ゾンビ映画に救いをもたらせるようになった――ような気がします。
では最後に予告編を。
「ナイト、オブザ、……リビングデッド!」
言い方の圧が強すぎる。しばらく耳から離れなかった。
ちなみに始祖ゾンビたちの原因は、
『金星に向けて放たれた探査衛星が爆破された』
『そこから高水準の放射性物質が放出した影響』
でした!
次回は7月5日月曜日、
1999年制作、サメ映画の二大巨塔の片割れ、
『ディープ・ブルー』の話をします。
( ・ω・)<えっ、もう7月???
鳥谷綾斗