人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)(綾辻行人・有栖川有栖著)

JUGEMテーマ:ミステリ
 
有栖川:「(前略)マジックの原理をちょっと借りてくるにしても、それを小説に使うときには相応のアイディアを足さないといけない。(中略)かつ、その謎が解けるようにしなければいけない。」

綾辻:「やっぱりポイントは、「完璧に見えるロジック」なんですよ。(中略)小説という表現形式のなかでの、すこぶるレトリカルなロジックによる、言ってみれば推理小説的証明。」



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ご両名のファンだというに実は読んでなかった、こちらの本。
内容は、綾辻行人先生と有栖川有栖先生が、本格ミステリについておしゃべりして、毎回のテーマに沿ったオススメの一本、短篇掌編を紹介するといったものです。
ラジオのディスクジョッキーのイメージで創られたこの形態は、『ハローエブリバデーみんなノッてるかーい』といった感じで、全体的にライトです。
ですがとってもディープです。
誰にも負けないミステリ愛をびしびしと感じます。

収録されているのは、
『技師の親指』/コナン・ドイル、『赤い部屋』/江戸川乱歩
『恐怖』/竹本健治『開いた窓』/江坂遊、『踊る細胞』/江坂遊、『残されていた文字』/井上雅彦
『新透明人間』/ディスクン・カー、『ヨギ ガンジーの予言』/泡坂妻夫
『黒い九月の手』/南條範夫、『ガラスの丸天井付き時計の冒険』/エラリー・クイーン
です。

個人的お気に入りは、『赤い部屋』、『残されていた文字』です。
『赤い部屋』はオチが好きです。おおよそ現実的でなく、幻想的で、でもラスト数行で戻されて、読み終わったあと、『ああ……』という目が覚めた心地になります。
『残されていた文字』は、事前に有栖川先生がおっしゃってたとおりになりました。ほんまうまいわ、とまじものの驚喜を味わいました。見事にきれいに騙されました。どうやら僕は人類だったようです(笑)
これを紹介&オススメするときのわくわく感、読んだ後ならよくわかります。
(とは別に、ちょっと切ない側面もあるののかなと思ったり。きっとこの残されていた文字が紡ぐのは、奥さん(恋人?)には助かってほしいって願いから生まれた作品だと思うので)
『ヨギ ガンジーの予言』は、本筋のトリックも面白いんですが、最初の砂浜でのマジックの種明かしに笑いました。
『黒い九月の手』は、ミステリというより頭の体操のような。


通常にセレクト短篇集ではなく、トークもありなのでかなりのお得感な一冊でした。
次の2巻も読みます(๑•̀ㅁ•́๑)✧