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綾辻:「やっぱりポイントは、「完璧に見えるロジック」なんですよ。(中略)小説という表現形式のなかでの、すこぶるレトリカルなロジックによる、言ってみれば推理小説的証明。」
ご両名のファンだというに実は読んでなかった、こちらの本。
内容は、綾辻行人先生と有栖川有栖先生が、本格ミステリについておしゃべりして、毎回のテーマに沿ったオススメの一本、短篇掌編を紹介するといったものです。
ラジオのディスクジョッキーのイメージで創られたこの形態は、『ハローエブリバデーみんなノッてるかーい』といった感じで、全体的にライトです。
ですがとってもディープです。
誰にも負けないミステリ愛をびしびしと感じます。
収録されているのは、
『技師の親指』/コナン・ドイル、『赤い部屋』/江戸川乱歩、
『恐怖』/竹本健治『開いた窓』/江坂遊、『踊る細胞』/江坂遊、『残されていた文字』/井上雅彦、
『新透明人間』/ディスクン・カー、『ヨギ ガンジーの予言』/泡坂妻夫、
『黒い九月の手』/南條範夫、『ガラスの丸天井付き時計の冒険』/エラリー・クイーン、
です。
個人的お気に入りは、『赤い部屋』、『残されていた文字』です。
『赤い部屋』はオチが好きです。おおよそ現実的でなく、幻想的で、でもラスト数行で戻されて、読み終わったあと、『ああ……』という目が覚めた心地になります。
『残されていた文字』は、事前に有栖川先生がおっしゃってたとおりになりました。ほんまうまいわ、とまじものの驚喜を味わいました。見事にきれいに騙されました。どうやら僕は人類だったようです(笑)
これを紹介&オススメするときのわくわく感、読んだ後ならよくわかります。
(とは別に、ちょっと切ない側面もあるののかなと思ったり。きっとこの残されていた文字が紡ぐのは、奥さん(恋人?)には助かってほしいって願いから生まれた作品だと思うので)
『ヨギ ガンジーの予言』は、本筋のトリックも面白いんですが、最初の砂浜でのマジックの種明かしに笑いました。
『黒い九月の手』は、ミステリというより頭の体操のような。
通常にセレクト短篇集ではなく、トークもありなのでかなりのお得感な一冊でした。
次の2巻も読みます(๑•̀ㅁ•́๑)✧