人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

深泥丘奇談・続(著・綾辻行人)



「やっぱりあなたも死んじゃってたわけ?」
「はい。しっかり死んでおりました」
(『狂い桜』より)

「これは〈心の闇〉です」
「どうなさいますか、この〈心の闇〉を」
(『心の闇』より)

『それってどんな価値よって思わない?』




みゅっ、みゅみゅみゅみゅみゅ……




怪談専門誌・『幽』に掲載されたものを蒐集した短編集の続編です。
装丁と口絵と挿画は、夜をイメェジしたもの。美しいです。
あとがきによるとまだ続く、とのこと。
読むと酩酊と仮寝と白昼夢の混ざったような心地になるので、嬉しいです
一気読みさせてくれない作家・綾辻行人


ラインナップは、
鈴/コネコメガニ/狂い桜/心の闇/ホはホラー映画のホ/深泥丘三地蔵/ソウ/切断/夜蠢く/ラジオ塔……です。

お気に入りは、『狂い桜』『心の闇』『ホはホラー映画のホ』です。
掌編としてこれは秀作だなと上から視線で言っちゃうのが『ホはホラー映画のホ』。
何故か『私』が刑事さんになってます。『ソウ』もソウです。もちろん夢オチ(ーーような気がする)です。
語り手兼主人公の『私』と、奥さんと同じツッコミをしたのは、『切断』です。
地味に怖いのも『切断』です。
『******』の形状を想像するとぞわわってします。パーツは全部人体と一緒なのに、形が『輪っか』になってるだなん、んん、んんん、て考えるだけで、ずずっ、ずずずず、背筋が寒く…………ん、んんん。

謎の生物がどんどこ出てくる短編集ですが、コネコメガニだけはちょっと可愛いかもしれん……と半ば本気で思ってます。いやあの鳴き声が。
でも食べるのは勘弁。ていうかコレ読んでカニとかエビとか大好きなのに食べれなくなっちゃうじゃないかっ!
(ーーというような気が読後に起こりましたが、普通に夕飯で食べれました。エビちゃんおいしいですシッポまで食べます)

一巻で地味に怖かった奥さんは今回も絶好調です。
『大丈夫よ』→『どの辺が!?』となります(笑)

『心の闇』は私でもそうするかもな、と理屈ではなく思えました。
絶対に見れない・触れられない・食べられない〈心の闇〉。心がとろけそうなほどに美味』らしいです。
(なんとなく有栖川有栖先生の『暗い宿』という短編の一文を思い出しました.アレは羊羹を凝縮した闇に喩えてましたっけ。『甘い闇』というフレーズが残ってます)

『ソウ』は正直「えーっ!?」という感じでした。
ちなみに私は『ソウ』は普通に1が好きです。ジグソウ萌えなら3、次に2。6はも中々騙されました。

さて。この巻で胃に〈顔〉、頭に〈鈴〉が棲み着いて(?)しまった『私』。
謎の生物(?)・******や***との対決や如何に、ってそんな話では絶対に無い。
ゆるやかな忘却と共に面妖なる京都で過ごして行くのだろうな、と思います。


あ、余談ですがムカデといったら『暗黒館の殺人』ですよね。
(↑何の確認だ)