人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

新参者(著・東野圭吾)

JUGEMテーマ:ミステリ


「捜査もしていますよ、もちろん。でも、刑事の仕事はそれだけじゃない。事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、その人だって被害者だ。そういう被害者の救う手立てを探しだすのも、刑事の役目です」

「加賀さん、あんた、一体何者なんだ?」
(略)
「何者でもありません。この町では、ただの新参者です。」






加賀シリーズにして、2010年4月期に放映されたドラマの原作です。
前回の『赤い指』の記事で、「新参者マダー( =∀=)ノノチンチン☆」とやっていたら、翌日に順番が回ってきました。ラッキーです。
感想→阿 部 寛 !!
完全にドラマの影響です。加賀さんが加賀さんが阿部寛。ていうか浅黒くて彫りの深いという加賀さんの顔面描写はまさしく阿部寛。(ガリレオのときもそうでした)

粗筋。
江戸っ子人情と文化の残る下町で、一人の女性が絞殺された。
彼女は離婚し、この町に引っ越してきたばかりの新参者だった。
一体誰に殺されたのか?
そして彼女にまつわる謎――部屋にあったワサビ入りの人形焼や新品のキッチンバサミ、この町に引っ越してきた理由、不思議な日課、不自然な行動、やろうとしていたこと。
同じく新参者である加賀恭一郎が、絡まる謎を紐解いていく。

目次。
煎餅屋の娘/料亭の小僧/瀬戸物屋の嫁/時計屋の犬/洋菓子屋の店員/翻訳家の友/清掃屋の社長/民芸品屋の客/日本橋の刑事/
……となってます。
ドラマではコレプラス、『刑事の息子』(キーパーソンである上杉刑事の話)がありました。

謎を解く話、と思いきや人情話。
この不意打ちには毎週驚かされ、ほろりとさせられ、ヒキョーだ と思ったものです。(笑)

全編を通じて、加賀さんの服装がやけにラフでした。何があったの加賀さんと心配になりましたが、ちゃんと理由がありました。
全体的になんだか、脚本の草案のような……ココから頑張ってふくらましてね! というイメージでした。これもドラマの影響でしょうか。各章の登場人物の描写(特に表題になっている人物)が物足りなく感じました。

それでも被害者である三井峯子の友人で、彼女の死の責任を感じる吉岡多美子や、夫である清瀬、上杉刑事に語りかけるシーンではジンとしました。
そしてある人物がドラマ以上に軽薄なキャラクターで辟易しました。(笑)

一人の被害者と、その周囲にこれほど深く関わる加賀さん。
もしかしたら刑事の在り方としては不適当かもしれません。でも加賀さんには、ずっと変わらないでいてほしいな、と思います。