人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/スパイラル:ソウ オールリセット

ソシャディに気をつけて映画館で観てきました。

( ゚∀゚)<またまたにゃっほー!!

 

 

2021年制作、アメリカのソリシチュホラースリラーです。

 

 

 

 

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【あらすじ】
捜査のためなら独断で潜入捜査も厭わない系刑事・ジーク。
署長はジークに、新人刑事・シェンクと組むよう命じる。
町では、猟奇犯による警察官を標的にした殺戮ゲームを起こった。
それはジグソウの模倣犯だった……。

 

【ひとこと感想】
作品のオールリセットであり、次世代のジグソウが生まれ、『ソウ』はとうとう教科書になった。

 

※うっすらネタバレです。

 

【3つのポイント】
①珍しく邦題が分かりやすい。
②ゲーム性は少ない。
③動機は私怨だった。

 

【①珍しく邦題が分かりやすい】
前回の『殺人漫画』でも触れたように、「なんでそんな邦題にしたん???」と言うのは多いのですが、この映画に限っては例外でした。

原題の『Spiral:From The Book of Saw』から
『スパイラル:ソウ オールリセット』に。

本当に『すべて』『再び始動の状態に戻す』でした。
新たなソウシリーズの始まりを告げていました。

だもので。
ソウのマスコットであり案内人だったビリー人形がいない。あいつリストラされおった。(寂しい)

代わりに豚のマリオネットに代替わりです。
始まりのジグソウ、ジョン・クレイマーは写真だけの出演でした。
ですが、シリーズへのリスペクトは存分に。
クライマックス直前、『捕まったジークが目覚めると、足に枷が嵌められ、手元にはノコギリがあった』という状況には思わず膝を打ちました。

 

【②ゲーム性は少ない】
肝心のゲームの内容はいうと、バリエーションが豊富で工夫を凝らしていました。

のっけから、

①自分で舌を引っこ抜かないと電車で轢死

です。
派手でとても良いです。

②指を犠牲にしないとプールで感電死。

③高熱のロウを顔に垂らされて背骨(脊髄?)を犠牲にしないと窒息死。

④拘束された状態でガラスの破片を打ちつけられて(釘打ち機くらいの勢い)、ジークに助けてもらわないと失血死。

③や④とかよく考えついたな&よく準備したなとか感心しましたが、正直、

( ・⌓・)<これクリアしても死なないか???

という印象が拭えません。
特に④は、ジークに選択肢があるので、犠牲となった人物にはどうしようもない。
明らかにゲームに不公平さがある。今までのシリーズとは明確に違っていました。

 

【③動機は私怨だった】
と思ったら、ゲームの仕掛け人の動機は『復讐』でした。

ちなみにこの作品、冒頭数分で「ああ、たぶんこいつが黒幕なんだろうな」ってのがなんとなく分かります。
(どうなんだそれ)

この仕掛け人は、最初から生還ルートを用意していなかった。
犠牲者たちを帰すつもりなんてなかった。

ジョン・クレイマーとはまったく異なる犯人像は、アメリカの刑法第8条が大きく関わっています。

 

アメリカ合衆国憲法修正第8条(Eighth  Amendment)は、
アメリカ合衆国連邦政府が過度の保釈金や過度の罰金、
または、残酷で異常な刑罰を課すことを禁じる、アメリカ合衆国憲法の条項。

 

この条項があるからこそ、『彼』は、「罪を犯した人間を裁く警察」ではなく、「ゲームの仕掛け人」となることを選んだのです。

 

【まとめ:ジグソウ・キラーは原初の存在へ】
原題を振り返ってみます。

『From The Book of Saw』

つまり、この作品の黒幕は、『ソウ』という物語で――ジグソウが作ったゲームで学んだのです。
いかに残虐に、人間を試し、人間を死に導く方法を。
(※殺し方ではない)

『ソウ』という物語が『教科書』になってしまった。

――と言うのが、自分なりの解釈です。
(本当にそうなのかは分からない)

『ソウ』という作品が生まれたのが2004年。

この革新的な映画は、ホラー映画界に大きな影響を及ぼし、様々な模倣作品を生み出しました。
レンタルビデオ店に似たようなデザインのパッケージがアホほど並んだことをよく覚えています)

それと同じ現象が、作品の中でも起こってしまった。
だからこの映画の世界線では、これからどんどん増えるかもしれません。
ジグソウの後継者でも弟子でもない、ただ模倣した人間が。

ジグソウの手法を使って、
人間を死のゲームで試す、ゲームの仕掛け人が。

……って考えると、ディストピアが過ぎてワクワク 目眩がしますね。

まだまだ続篇が出そうです。楽しみ。

次回は11月1日月曜日、
2013年制作、アメリカのホラー、
『ヘレディタリー 継承』の話をします。

( ・ω・)<その次はミッドサマーだよ!

 

鳥谷綾斗