CATVで観たホラー映画です。
2021年制作、韓国のアクションホラーエンタメです。
【あらすじ】
韓国で『死体による殺人事件』が発生する。
ネットニュース「都市探偵」の記者ジニは、その犯人と名乗る男からインタビューを依頼される。
現れた男は「スンイル製薬の会長が誠意ある謝罪しなければ、重役たちを殺す」と犯行宣言した後、土くれの死体となった。
【ひとこと感想】
さらなる進化を遂げた韓国産ゾンビによる、道徳エンタメホラー。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①静・事件発生と捜査パート
②動・ゾンビとカーチェイス
③動動動・異能呪術バトル
【①静・事件発生と捜査パート】
こちら、世界中を震撼熱狂させた 『新感染 ファイナル・エクスプレス』 『新感染半島 ファイナル・ステージ』 の監督が原作、脚本です。
毎度変わらず『邦題もうちょっとならんかったんか』案件です。
ちなみに原題は『パッポプ・チュジャンヒ』。
漢字表記だと『謗法(呪いをかける魔術)・在此矣(操られるゾンビ)』。
英語だと『The Cursed: Dead Man’s Prey』。直訳すると『呪い、死者の餌食』ですが、それがどうしてこうなった。
さらにこちら、なんと韓国テレビドラマ『謗法〜運命を変える方法〜』の続編でした。
( ・ω・)<またやっちまった……
とはいえ。
冒頭の不気味な迫力あるゾンビによる殺人シーン、
警察による真面目な『死者による殺人』判定、
(ゾンビにかじられると体内に麻痺性の貝毒を注入される、という設定がよかったです。やっぱゾンビと言ったら麻痺系だよね)
犯人のインタビューのライブ配信というスピーディーな展開は面白いの一言。
さらに、
その犯人は実はゾンビで、犯行予告と脅迫するのが驚嘆オブ絶望でした。
そこまで進化したか韓国産ゾンビ……!!
電車と半島で出てきた俊足&身体能力バリ高ゾンビでも「あ、これもう無理ですわ」だったのに……!!
【②動・ゾンビとカーチェイス】
古き良きゾンビ愛好家たちは「こんなんゾンビじゃねぇ」と思われるかもしれませんが、ご安心を。
ゾンビたちは操られているのです。
その点は 『恐怖城』 と同じですね。元祖に則ってます。
パク・ヨンホと名乗ったゾンビはジニを人質に取り、最大目的である『スンイル製薬の会長の謝罪』を要求した後、土人形のようにボロボロと崩れます。
この時のゾンビの表情、目つきが凄まじかった。
深い憎しみ、激しい怒り、痛切な感情を込めた目をしたまま、土に還っていく。
それは死者を操る術師が抱える感情、そのものでした。
ここから物語は一気に加速。
民俗学者のタク教授によって、
『ドゥクンと呼ばれるインドネシアの呪術師』が黒幕であること、
ジニが依頼した探偵によって、
『かつてスンイル製薬が行なった治験で100人規模の死者がでた』ことが判明。
その100人の死者が襲いくる様は、本当に恐ろしかったです。
以下、鑑賞中メモによる抜粋です。
・洋風ゾンビと違って『人間の形』を保っているため、不気味さが段違い。
・ゾンビ全員、同じ方向を向くのが完全に軍隊。
・走り方が逃走中のハンター。
・エレベーターで下に降りた標的・キム理事を追うため、折り返し階段の吹き抜け(?)に身を投じるゾンビ。
・1階の地面に次々と叩きつけられた後、立ち上がって無表情で追いかけるゾンビ。
・タクシーを強奪するゾンビ。
・待って運転できんのゾンビ!?
ゾンビとカーチェイスなんて、寡聞にして前代未聞。
・車窓ガラスを割って這い出てくるゾンビ。
・次々とキム理事の車に飛び移るゾンビ。
このあたり、あくまでゾンビの目的はキム理事のみで、他の人間には目もくれないのに感動(?)しました。
ジニたちが、我々は襲われないだろうと確信して、ゾンビの後を追いかけるのがシュールすぎる。
キム理事を葬り(引っ掻き殺す&貝毒で皮膚にボコボコと疱疹ができるのが怖い)、車座で動きが絶えるゾンビたち。
さらにジニの夫、ジョンフン刑事も毒に感染してしまいます。
【③動動動・異能呪術バトル】
呪術の作法からヒントを得て、ドゥクンの所在地であろう廃研究所に向かうジニたち。
ゾンビに襲われますが、それを助けたのがソジンという少女。
ジニを姉と慕い、謗法師である彼女の登場で、ここからバトルモードです。マジで飽きさせないです。
ソジンがドゥクン当人を止める傍ら、元凶ことピョン会長が、娘のミヨン専務に『すすめられて』謝罪会見をします。
もうこのピョン親子がクソだった。
お決まりの、形だけの謝罪文を『読み上げた』後、
会長:「これでいいな?」
じゃねーーーーよ! 娘に聞くな!
日本でよく見かけるご不快構文ってやつです。何も分かっていない。
無意味でさらなる侮辱を重ねる会見の後、スタッフの一人、ジェシーが問います。
ジェシー:「あれが誠意ある謝罪ですか?」
彼女こそが、ドゥクンが操る最初にして最強の死者。
治験により亡くなった、ドゥクンの娘だったのです。
ドゥクンは娘の体を使い、自分の命を生贄にし、見下げ果てた外道どもを襲います。
恐ろしい死者の話だったのに、人を襲う死者の方を応援してしまう。その逆転が見事。
一方、廃墟ではソジンが能力を使ってドゥクン(本体)を止めようとします。
ドゥクンはあと一歩のところで、復讐を遂げられませんでした。
その瞬間の、ソジンとドゥクンの無言の会話が悲しかった。
死んだ娘を模した土人形を前に、本体も『器』も涙を流した。
父親が抱えていたものは、憎しみや怒りよりも激しい、深い悲しみ。
忌まわしい呪術の力を持った自分のせいで娘は……という自責の念と、後悔。
そういうものが呪術を使い、世にも恐ろしい『在此矣』を生んでしまった。
あるのだろうか。
これ以上の、やるせない悲劇が。
【まとめ:謝罪すらロクにできない人間たち】
しかしきちんと救済を用意してくれるのがヨン・サンホ氏。
ピョン会長は、娘のミヨン専務に殺されました。
すべての罪を押しつけるためと、彼女の野望の邪魔だったからです。
泣き真似をするミヨン専務ですが、ジェシーが仕掛けたマイク&ライブ配信で最初から白日の元に晒されていました。
その時のミヨン専務のキレっぷり。
ピーナッツ姫かよ……とか思いましたが、現実と同じく、すぐに社会復帰しました。
そんな彼女の前に、ジニとソジンが現れます。
ソジン:「所持品、写真、そして漢字の名前」
ジニ:「私たちもやりたくはないの」
呪殺されたくなければ、謝罪し、裁きを受けろ。
そう脅す彼女たち。
……なのですが、これってなかなかブラックな結末では。
問題の解決のために呪術を使う。
まるで、一度人を殺した人間が、選択肢のひとつに『殺人』を思い浮かべるように。
彼女たちは、呪術に飲み込まれてはいないのだろうか……
と、うっかり思ってしまいました。余計な心配かもしれません。
(ドラマ観たら変わるのかな)
【おまけ:韓国映画の細かい部分が好き】
①キム理事が、ゾンビに追いかけられている最中に家族のことを話すシーン。
(外道でもクズでも人間だから家族への愛情はある)
(『新感染〜』にもあった人物描写。韓国映画のこういうとこずるいわぁ)
②ピョン会長が、イ専務(すべて暴露して責任をとって死を選んだ唯一の良心)の部屋に避難する時、「専務が自殺した部屋だろ! 気味が悪い!」とほざいたシーン。
(余念なくクソすぎて驚いた🫢)
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