人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

センチメンタルサーカス(著・市川晴子)

JUGEMテーマ:童画・絵本
 
ミスターとレディ率いるディズニー、キティ姐さん率いるサンリオ、リラックマ先輩率いるSan-x、そして、くまモンパイセンやふなっしーなどの地域ゆるキャラ……。
といった、いわゆるキャラクターものは数えきれないほどありますが、その中での私のいちばんは、San-xの『センチメンタルサーカス』というシリーズです。
和訳しますと『感傷的曲芸団』。その名のとおり、悲しさ、寂しさ、切なさなどが足もとにあるキャラクターものです。
今回の感想は、そのセンチメンタルサーカスのデザイナーさんが書き下ろした絵本です。

あらすじ。

街角や部屋のかたすみに忘れられたぬいぐるみたちが、夜にこっそり抜け出して結成した秘密のサーカス団。
今夜も不思議な仲間が集まって、ショータイムのはじまりはじまり。

(公式より引用)

登場するのは、
お裁縫が得意で何でも(自分の体も(!))作れる団長、シャッポ。
シャッポの顔の布の余りでできた相棒的存在のジャグリング担当、トト。
曲芸担当、ゾウのムートン。
玉乗り担当、ネコのクロ。
ハードル飛び担当、木馬のポニ。
自転車乗り担当、クマのMr.ベア。
たてがみを輪っかにする(ぬいぐるみならでは)輪くぐり担当、リオ。
糸くずでできたおさるの空中ブランコ担当、ピグ&マーモ。ちなみに水色でカタカナでしゃべるのがピグ、ピンクでひらがなでしゃべるのがマーモです。
おしゃべりな三姉妹のバレエ担当、ピヨバレリーナ
そして名前はわからないけど、黒と金のアーガイル模様のフクロウ。

全体的にとても幻想的で詩的、
文の文字もデザインの一部のようで、とても綺麗な画面です。

第1幕は、メンバー紹介とシャッポ団長の過去を綴ってます。
夜になり、屋根裏や路地裏から抜け出してサーカスに集まる団員たち。
うさぎ(たぶん)らしく、いつも『無』に近い団長→(・ ・)の,
いろんな表情を見れて嬉しかったです。
団長は絵本で見ると結構メタボです。←せめてお腹ぽっこりとかの表現に留めてやれ。

第2幕は、ゾウのムートンの過去。いちばん新しいメンバーなんですね。
団員募集のチラシに名前を書き(いわば履歴書)を持って、仲間に入り、でもなかなかうまくいかず、ついには尻尾も無くし……自信も失ってしまうムートン。
けれど団長の粋で優しいはからいのおかげで、自分にできることを見つけました。

第3幕は、ネコのクロの過去。
ちょっと衝撃的な事実が発覚します。そ、そうだったの!?Σ(°ω°;)
同じ頃に発売されていた『秘密の鍵と王様ごっこ』ともリンクしていて、普段はガラクタをリメイクする団員たちも豪華な王冠と衣装に身を包んでいます。どやっとおすましなみんなの表情が可愛いです。

【メモφ(゚-゚=)】団長はめっちゃ驚くと目が飛びはねる。
→( Д ) ゚ ゚ リアルポ-ン

既刊3巻の中で、いちばん切ない終わりです。


うさぎ


私がこのシリーズに出会ったのは、ほぼデビューと同時だったと思います。
一目惚れでした。
淡いようなくすんでるような色合いに、差し色としての黒。ゴシックでレトロで、それまでのSan-xのキャラクターとは違う、ちょっと異質な。
キャラクター紹介を読んでより惹かれて、ダブルクリアファイルをお迎えしました。

捨てられ、忘れられたおもちゃたち。きっと私も同じことをしています。小さい頃に遊んだおもちゃ、どこにあるのかどこにも無いのかさえ覚えていません。
そんな可哀想な子たちが、寂しがり屋だからこそ結成したサーカス団。
第1幕の、ガラクタの山でひとりぼっちで目覚めた団長の、ボロボロの後ろ姿は少し辛かったです。
けれどそこで項垂れるだけで終わらず、自分なりに自分をきれいにリメイクして、仲間を集め、観るものに笑顔を与える『サーカス』という道を選んだ。

……という、可愛らしい中にきらりと存在する鋼のネバギバ精神が、私をとりこにしたんだと思います。Σo(・ω・′)グッ

とはいえ。
思い出の生地からアコーディオンを、遊園地の忘れ物の寄せ集めからヴァイオリンを、安全ピンからトランペットを、壊れた目覚まし時計からホルンを、おもちゃのピアノからショウに使えるピアノを、
それぞれ作り出す団長、本 気 で す ご い。
(※『ガラクタ奏でる~はじまりのポルカ~』シリーズより)

切なくもたくましい、痺れて憧れるキャラクターです。