人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

ある閉ざされた雪の山荘で(著・東野圭吾)

JUGEMテーマ:ミステリ


今や*の**は*の**ではなくなった。*もまた****の一人になったのだ。


「芝居はいいものよ。素晴らしいわ。改めて、そう思ったもの……」





い、いちばん心に残った文がよりにもよっていちばんのネタバレなんて!

仮面山荘殺人事件』と同じく、クローズドサークルモノです。
事前に『仮面~』読んでいた方が楽しめる……かも?
設定からして、なんとなく彷彿させますし。

名演出家の舞台のオーディションに合格した、役者である七名の男女。
彼らは演出家からの指示により、ある高原のペンションに集まった。
手紙によると、これより舞台稽古が始まると――『此処』は豪雪に襲われ孤立した山荘であり、『君たち』はそこにたまたま訪れた客。そして次々と人が殺されてゆくという設定の『舞台』を演じてほしいとのこと。
おかしな指示に首を傾げるも、それに従う彼ら。やがて一人、また一人と仲間が本当にいなくなっていく。
これは本当に 芝居 なのか?


現実か芝居か。そこが問題だ。(笑)

一度限りの大トリックでした。確かに。

最初から違和感は感じていました。
この物語は、『地の文』と一応の主人公である久我和幸(登場人物の中で、唯一の部外者。外の劇団からやってきた)の『独白』の二重構成で成り立っているんですが、その『地の文』に最初っから違和感。

東野先生の文体っぽくない……
(何で所変わればの描写がそのまんまなの、そして何でずっと登場人物がフルネームなの、といった点が)

そして何より、『地の文』の久我和幸と『独白』の久我和幸のイメージが合わない……?

これで、もしかして『地の文の久我』と『独白の久我』は違う人間じゃないか、そういう叙述トリックなんじゃないかと疑いました。
うーん。してやられた!

動機に関するねたばれなので反転。

雨宮と由梨江と温子の配慮の無さ、無神経さ、頭の悪さに怒りを覚えました。
ですが、同時に『ヨクアルコト』でもあるなと思いました。そこがすごく腹立たしいです。



なんだか力抜けて、笑っちゃうラストでした。
ははは、久我お前可愛いやつだったんだなあ! って思っちゃいました。(割とヤなやつだったのにー(笑))