「それじゃあ、まるで夜這いみたいだね」
(『ベストフレンド』より)
咲哉を悲しませるものは、何であろうと許せない。
(『谷間の白百合』より)
チョイスの台詞は、読んだ当時に『きゃあ~』となり、
現在再読したら『うわあああああ』となった代表の台詞。(これでも全部ではない)
さて花の探偵第三巻です。
梅雨から初夏のお話です。
『ベストフレンド』
梅雨の時期の日曜日、二人の家の前で峻のクラスメートである相羽直紀が行き倒れる。
相羽は幼い頃に自分が描いた紫陽花の絵を見て、父親を埋めた記憶が甦ったという。
事の真偽を確かめるため、現場である相羽の紫陽花に囲まれた別荘に行く。
梅雨ですからモティーフは紫陽花です。
紫陽花の花の色が土によって変化するのは、割と有名なお話でそれによって事実が発覚するという手法の物語は珍しくありません。
(こんな感じで→)
ですがこのお話ではそれを、実に変則的なオチに持っていってます。優しいオチだなあと思います。好き。未来に希望を持たせるところが特に好きです。
峻君は実にやんちゃな少年で、しっかりしてて人情に溢れてるんだけど時に考えが浅かったり、調子に乗りすぎる傾向があります。まあ中学生ですから当然ですけども。
その短所を指摘し、時に厳しくして成長に手を貸すのがお兄さんの咲哉さんの役目です。
それが如実に表れた回でした。
『谷間の白百合』
旅先の神社で知り合った巫女さんが、村祭のための精進潔斎の最中に何者かに襲われる。
百合の花に囲まれたお篭り所で無礼を働いた不届き者は、果たして。
タイトルは鈴蘭(『リリー・オブ・ザ・バレー』)なのにモティーフは百合です
犯人を突き止めた後の処置が、同じ女性として超スッキリしました
しかし最後の最後で、何やら非常にメルヘンな描写が……。
だんだん人間離れしていく咲哉お兄さんでした。(笑)