人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

怪笑小説(著・東野圭吾)

――(前略)自分たちは大変な勘違いをしていたと思った。
――(中略)過去の中に現在を持ち込んでしまったのだ。

『逆転同窓会』より


――(前略)ここ二か月あまり、いい夢を見させてもらった。それでいいじゃないか。(後略)
――わしはやっぱりこわい。何をこわがっているのか、自分でもよくわからんのだが、とにかく怖いのだ。
『あるジーサンに線香を』





これより以前に読んだ黒笑小説より、うまく笑えませんでした。イタすぎて(切)

ラインナップは
『鬱積電車/ おっかけバアさん/ 一徹おやじ/ 逆転同窓会/ 超たぬき理論/ 無人大相撲中継/ しかばね台分譲住宅/ あるジーサンに線香を/ 動物家族』です。

『鬱積電車』
世にきみょに出ててもおかしくない話。この後は電車の中で暴動……? 満員電車の中じゃ殴りあうのも不便そうだ。
私はあまり満員電車に乗ったことがありません。毎度マイナーな線ばっかりでうまい具合に回避してます。たまに乗ることになったら……ヘッドフォンの音楽に全神経を集中させて、早く目的の駅に到着することを祈ってます。

『おっかけバアさん』
この話を読むちょっと前に、ダイスキなダンスグループのリリースイヴェントに行ってきました。ミニライヴと握手会で、初めて近くに寄れました
なのでこのバアさんの気持ちはわかる! 私も意味も無くダイエットしたり着ていく服を迷ったり帽子を新調したり……ケド、夢は夢のままでいたいので距離は保っておきたいです。
まあ、御婦人方が少女の頃に戻るのはヨイコトだ

『一徹おやじ』
見守らないあきこネエチャン。
語り手の『私』、何気にすごくね? オチがおやじ可哀想でした。

『逆転同窓会』
同窓会における、『変わってないね』は大嘘です。優しい大嘘です。
先生たちにとってかつての生徒は、あの頃の馬鹿で幼いだけの存在のままだったのだろうな……あーイタイ。

『超たぬき理論』
どんだけおばかな理論でも、貫き通せばそれはホンモノになるんだ! ……という理論。
貫き通すまでが大変ですけども。

無人大相撲中継
『ラジオ』が本当に『壊れる』前に、救助よ早く!

『しかばね台分譲住宅』
随分グロい悲劇をコミカルにしたものだなあ……オチがよかったです。何事もそのルーツは意外なところがきているようで。
子供まで巻き込んでいましたが、その子らの将来が心配です。

『あるジーサンに線香を』
アルジャーノンに花束を』のパロディ。身寄りの無いおじいさんが手術を受けて、見る見るうちに若返り、元に戻るまでの経過を日記形式で書かれています。
自分以外の時間も戻す、ならともかく、自分だけ若返る、は嫌だなと思いました。
まあどっちも有り得ちゃいけないことでしょうけど。時間大切。

『動物家族』
すべての人間が人間以外の動物にしか見えなくなってしまった冴えない少年。……ただし自分は何なのかわからない。
オチが切ない……! 両親祖母兄姉から疎まれ、本当に小さな居場所しか無い少年。その小さな、だけどかけがえの無い居場所を奪われてはじめて、自分が何の動物か知る――ただし横目でチラリと。
この後のことを想像すると、幸と不幸の両バージョンがあります。果たして彼の気持ちは斟酌されるのでしょうか……。

というわけで総評。

『いや、笑えないよ……(;□;)』。