人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

十角館の殺人(綾辻行人著)

ただ一行によって、世界は流転し常識は反転する。


こちらの作家さんは、私のいちばん好きな方です。

実は初読はコレでなく、別シリーズの『緋色の囁き』という作品でした。
だけどやっぱり『綾辻初心者★』という方にはこれから読んでいただきたいなあと思います。

館とつくのだから、ミステリーの定石・館モノ。
海に浮かぶとある島に一軒だけある、十角形の形をした建物が舞台です。
その『十角館』を設計した建築家・『中村青司』が陰惨な死を遂げ――たとされる地に、大学のミス研のメンバーが訪れ、そこで一人一人殺されてゆく……というお約束な展開です。
推理はその館内のみならず、謎の脅迫状を受け取ったもう一人のミス研メンバーである青年・『江南孝明』が、これまた謎の中年男性・『島田潔』と共に別の視点から建築家の死を調べていきます。

島と本土。
ミス研メンバーズと、青年・『江南君』+謎の中年男性・『島田さん』。

その二つの視点で平行して物語は展開していくので、主人公誰だ!? という何とも足元が覚束ない心地になります。
*ちなみにこのシリーズの主人公は『館』です。

『十角館』での登場人物は、全員が『エラリィ』『アガサ』『ポウ』など、ミス研で代々受け継がれたニックネームで通っています。
ちなみに、本土で建築家の『中村青司』を調べる江南君は、コナン・ドイル。表記は『江南君』でも読みは『こなんくん』です。

画像を新装版のほうで表記したのは、旧から進化し、この作品の真髄・新本格の産声である『一行』をより印象的にした仕様だからです。
単純に文字も大きくて見やすいですしね。


記念すべき。綾辻行人先生の館シリーズ第一弾。
当シリーズは、発行順に読むことを強く強く強ーよーく、……おすすめします。