(中略)
「しかしこれほどとはな。ほかに楽しみはないのかね」
「バレエだけで充分なんですよ」
『卒業 雪月花ゲーム』で探偵役を務めた加賀恭一郎最初の事件です。
有名なバレエ団に所属するバレリーナが、夜中事務所に忍び込んだ男を『正当防衛』で殺した。
それは果たして『正当防衛』だったのか。そこから始まる殺人の連鎖。
『眠りの森』の舞台にて、すべての謎が明らかにされる――。
東野圭吾先生の純愛は、とても献身的だなと思いました。全体を通じての感想です。
バレエの世界はただひたすら華やかで、たまにライバルのプリマドンナのトゥ・シューズに画鋲が入れられるイメージでしたが、見事に一転しました。
高いプライドと技術、ソレを継続していく根性。血染めのトゥ・シューズという言葉が似合います。
特に理想の体型になるための過酷なダイエット――それを体現したあるバレリーナの生涯が、とても可哀想なものでした。
作中に、過去の舞台でもあるニューヨークに関する記述がありました。
何人もの若者が赴き、ずっと住みたいと思ったり、無数のヒントがばら撒かれているという街。
それだけ魅力的な街――世界。バレエと似てる、と思いました。バレエの世界に住む人たちも、どうやっても離れられなかった。
ミステリ部分ですが、第二の事件で使われた凶器です。
どんなものを用いてニコチンを被害者に注入したのか? またそのタイミングは? それが可能なのか誰か? です。
てゆっかニコチンて普通にタバコから抽出できるのかー……(・へ・;)チョット コワイ。
ラスト、愛を告白する加賀刑事。
二人の道行きは、一体どうなっていくのでしょうか。