人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (著・野村美月)

JUGEMテーマ:ライトノベル


「……よかったら、食べる?」

「(前略)あなたたち、少しは他人を思いやりなさい、一呼吸置いて冷静になりなさい、 世間出て視野を広げなさいって、本に顔を突っ込んで叫びたくなるわ」

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文学少女シリーズ、二巻です。
レギュラーになるかもしれないオトコノコの新キャラが出てきてうきうきです。このシリーズ、男の子が少ないのですよねー。


文芸部の『恋の相談ポスト』に、恐ろしげな言葉と数字だけが書かれた手紙が投函される。
幽霊の仕業を疑った怖がりの文学少女は、夜の学校を張り込みして、犯人と思われる少女を見つける。
枯れる寸前の花の枝といった容貌の少女は、夜の世界では勝気な『夏夜乃』、昼の世界では人形のような『雨宮蛍』になる。
そして彼女は、遠子の従弟・櫻井流人と付き合っており、彼は心葉に彼女の不可解を解明するための協力を申し込む。


モチーフは『嵐が丘』です。
私はこの作品は、『ガラスの仮面』の作中に出てくるのを読んだくらいでほとんど知りません。北島マヤが演じていたのは子供時代でしたし。
たぶんすっごくヤ――なキブンになるんだろなーと思いつつ、今度読んでみようと思います。
このシリーズ読み出してから、文学作品が読みたくなるったら!

嵐が丘』になぞられた、複雑な人間関係。その模様は、織物のように絡まって美しくもあり、見難くもあり。
そして意外な人物が『語り手』ないしは『書き手』として登場します。
あのひと遠子先輩へのちょっかい要員だけではなかったのね。

遠子先輩の従弟君の恋愛観が大変ユニークでした。高校一年生じゃねー。(笑)
しかし従姉譲りの直感力は侮れないものでした。


過去の恋心によって縛られた現在の恋心。
それは進化して、過去のそれをも凌駕していました。
救いの手があっただけに余計残酷な結末だな、と思いました。
けれど『彼女』は、最期は満足したのかもしれません。

嵐が丘』の作者についても少しだけ触れていて、ちょっと興味を持ちました。

ラスト、当事者でも語り手でもない、読み手だからこその『文学少女』とその『作家』の意見が、嵐のような愛憎+恋心劇を綺麗に彩っています。