CATVで観たホラー映画です。
2000年制作、日本のホラーオムニバススペシャルドラマです。
【あらすじ】
竹中直人師匠が強いられた、最恐ホラードラマ。
【ひとこと感想】
恐怖に全振り。ホラーのミックスグリル!
※全力ネタバレです。
【2つのポイント】
①ギャグ調でも怖い開幕
②各話の感想
【①ギャグ調でも怖い開幕】
シリーズ屈指の恐怖度を誇る本作。
オープニングは、池乃めだか師匠から竹中直人氏に。
舞台は『金縛小学校』(まんますぎる!)。
宿直中の教師は、 「開かずの準備室にだけは入るな」 と言われたのに、その禁を破ってしまう。
準備室の鍵が壊れていたから。
現場検証時ばりに足跡がバミられ、ご丁寧に数字まで振られていたから。
そうして誘導された先には、壁に空いた穴。
ちょうど頭が入るサイズで、その左右には『右』『左』と書かれた手形。
「壁のここに手をついて、穴に頭を入れてね!」と言わんばかりの周到さ。
まんまと引っかかり、壁が動いて完全固定される教師。
強制的に、古いブラウン管が流す『物語』を見させられます。
米粒トラップにかかるスズメばりに完全に罠にかかりにいっていましたが、気持ちは分からんでもない。
いつだって人間を殺すのは好奇心、そして『まあ大丈夫やろ』という安全盲信。
(閉所と拘束が苦手勢なので、この時点で怖ぴ🫨)
【②各話の感想】
〈1話/恐怖心理学入門〉
『幽霊だのは信じない』とリアリストを自認する大学生・佐藤。
彼は心理学の講義の後、教授に協力を求められる。幽霊騒ぎを起こす、サクラの手伝いだった。
心霊写真を偽装すると、他の学生も「幽霊を見た」「心霊写真が撮れた」と次々と訴える。
夜のまだ9時に放送していい内容なのかコレ。
ってな感じで、のっけからHONKIです。「少年少女よ、トラウマを抱け」とばかりにかっ飛ばしています。
とにかく演出がすごい。どうしたら怖いか熟知してるぞこの制作者。
佐藤の家に学生たちが集まり、「電気消して、真っ暗な中で撮影しようぜー」のシーン。
明滅演出(フラッシュを焚いた瞬間にだけお化けが現れる)はやっぱり怖い。
うなり声が聞こえたかと思えば犬ちゃん(バグでした)が現れ、ホッとした瞬間に、「押入れに向かって警戒心あらわに唸る犬」という緩急をつけた恐怖。
「長い髪の毛を見つける」からの「コロコロにびっしり長い髪の毛」という生理的恐怖。
次々と出る幽霊目撃証言。とうとう友人も怪我をする。
地味に怖かったのは、「事前に撮った写真では閉まっている扉」が、「今は扉が開いている」という差異(?)、違和感(?)を利用した演出でした。
拡大コピーでどんどん幽霊の姿がハッキリしてくるとか、外をふと見たら電柱の裏にしがみつくように立っている女とか。
『振り向いた瞬間にお化けが眼前に立っている』という基本のキだって、一筋縄ではいきません。

トドメは隠しカメラのアレです。
ホラー好きならお分かりでしょう。
『不在時の部屋に何が起こっているか隠しカメラを仕掛けて、帰宅して再生してみたら、押入れから 誰か が出てきて、しばらくしたらまた押入れに戻る。そこに帰ってきたのは――』のアレです。
(この立ち姿がまた怖い。包丁などではなく金槌なのがいい味出してます)
まーーーー豪華ですこと!!!
(教授役が筒井康隆先生なのもまた豪華)
そしてやはり特筆すべきはラスト。
真相を明かされ、呆然となりながら、自宅に戻った佐藤。
疲れ切った表情で、窓際にたたずむ彼を――
幽霊役の女性:「部屋にまでは入りませんよ」
教授:「じゃあ、これは?」
背後から。
窓を閉める容赦ない音が、記憶にこびりつきます。
〈2話/アサギの呪い〉
女子高生のアヤとマユは、気に食わない友人・キョウコを学校の半地下の図書室の小部屋に閉じ込める。
だが、図書室自体の扉が開かなくなり、3人は外に出られなくなった。
『アサギの呪い』という怪談を披露した後、地下に続く階段を見つける。
3人は謎の地下通路内をさまようが、そこには『異形』が存在していた。
まさかの化け物から逃げる系脱出ホラーでした。
(しかし脱出しても助からない)
アサギの怪談――『いじめられっ子が夏休み前に閉じ込められ、いじめっ子たちはそれを忘れる。夏休みが終わり、いじめられっ子は死んでいた。壁に血まみれの爪の痕を遺して』は、都市伝説ではよくある内容ですが、やはりえげつない。
少女たちの残酷さ、ささやかな友情、それを嘲笑うような怪物の圧倒的な怖さ。
どこにも届かない、「誰か助けて!」が悲惨で、余韻が残ります。
(『アサギ』の造形もさることながら、壁の『るれらべたなんみ』が強烈だった)
(でも『アサギ』の衣装が白いワンピなことや壁のメッセージからして、口承の中の『アサギ』とあの怪物は別物? と考察したり)
〈3話/ドロップ〉
小学生のマサヤは、野球大会でミスをして、友達に責められ、好きな先生にもぞんざいに扱われる。
マサヤは深夜の学校に忍び込み、自殺を図ろうとするが、お化けと遭遇する。
助けを求めて向かった屋上には、知らない『おじさん』がいた。
清涼剤でした。ヒューマンホラーです🥲
冒頭から『おじさん』に会うまで、マサヤくんにほとんどセリフが無かったのが印象的。ただし、表情や動きで感情が分かるのがプロの技巧👍
『おじさん』は色んなことを語ります。
タイトルにもなった『ドロップ』は、ストンと落ちる魔球のこと。
そして、かつてこの学校で野球少年が自殺をしたこと。
この少年の自殺理由がとても切ない。
エースで人気者だったのに、国語の作文で「さよおなら」と間違えたばかりに、先生や同級生から揶揄られるようになった。
野球の試合中ですら「おなら」呼ばわりされてヤジられた、というエピソードがキツかった。
穢された、ってこんな感じかもしれない。
自分が得意だと誇りを持てること、ある意味聖域であり心の支えであったモノが、第三者に集団でオモチャにされる。
これは本当に、大人でもキツいです。
マサヤ:「そんなのバカだよ。もったいない」
そのことに対して、素直にまっすぐに言うマサヤくん。
『おじさん』は「うん、本当に」と切なげな表情。
キャッチボールをして、ドロップの練習をする2人。
本物のドロップを見せて、『おじさん』は野球帽をマサヤくんに被せて、『ホントウの姿』に戻ります。
……なぜ少年は『おじさん』の姿になったんだろう。
大人になりたかったのかなぁ、と思いました。
もし、自殺して死んだ後にそう気づいたのだとしたら……めちゃくちゃ悲しいです。
〈4話/おぞけ〉
若手高校教師の鈴木、小久保、渡辺、石川は、仲良し4人組。
ベテラン女性教師の佐竹と飲みに行き、こっそり彼女をおちょくりつつ、楽しく過ごしていた。
ある日、佐竹が急死する。4人組は葬式には出ず、遊びを優先する。
しかし、遊園地の落下型アトラクションに乗った際、佐竹の棺桶の幻覚を目にする。
人間の尊さを描いた後に人間の醜さを突きつける、その姿勢にブラボー👏
のっけから、鈴木先生がパソコンに『出て行かない』と打ち込み、キーボードに粘着物がくっつくシーン、気持ち悪かったです。
(最後まで見ると、鈴木先生の指が腐っていたとわかる)
しかし人間関係の描写がやばかった。
若い人たちに混ざろうとする年嵩のベテラン教師。
(言うてそこまで歳の差がなさそうですが。あと佐竹先生と渡辺先生、ビジュ被ってる)
この絶妙な、「積極的に排除するほどではないけど……なんか邪魔……」 みたいな空気、めっちゃ覚えがあります。
そこから、雑誌のしょうもない心理テストの話になり、「佐竹先生、予知能力ありますよ〜」と持ち上げ、茶番を繰り広げるのがまたキッツイ。
いい感じに『リアルな性悪行為』を描いていました。
(お葬式をすっぽかして遊園地に行くのも)
そこから遊園地の絶叫マシンにつなげる展開がやばい。
印象的だったのが、佐竹先生の火葬と、デスフォールと名の直下型絶叫マシンで遊ぶシーンがリンクしていたこと。
モブ:「ちゃんと死んでこいよー」
という掛け声と、亡くなった人の死顔の対比。どこか皮肉を感じました。
そこからどんどん退場していく若手教師たち。
(電話しながら佐竹先生の死に顔をスケッチする渡辺先生怖かった)
てっきり呪いと思いきや、原因は『異常刺激』。
この概念、面白かったです。
ネット解説者:「自然界では味わえない、たとえば『高速による恐怖』を味わっている間、一瞬、生と死の境を通過する。
人間が人間じゃなくなる。
生きているのに死斑が出ることもある」
(※意訳)
つまり、生きながら死んでいるのです。
身近な死、つまり佐竹先生の死に触れたばかりの状態で、生死の境に行ってしまったばかりに、心身が死に偏ってしまった。
さらに佐竹先生の魂が、4人組の中に入ってしまった……
鈴木:「出て行かない
でも誰も恨むことはできない」
異常刺激と佐竹先生の未練によって、鈴木先生はゆっくり死んでいきます。
【まとめ:ホラーのミックスグリル】
『おぞけ』に出てきた解説者が鶴田法男監督だった点と、まさかの人面疽オチにべらぼうに驚いて幕引きでした。
怖さ全振りだった。
箸休めもあったけれど、全体的にここまでやって委員会案件でした。
まさにがっつり恐怖を味わえる、ホラーのミックスグリル。
おなかいっぱいになりました☺️
ごちそうさまです☺️
……令和でもやってくれません?
(※強欲なホラー好き)
次回は4月20日 4月27日月曜日。
2001年制作、日本のホラーオムニバス、
『学校の怪談 春の物の怪スペシャル』の話をします。
( ・⌓・)<原稿がんばってます……
鳥谷綾斗
