『白夜行』『探偵ガリレオ』その他で有名な東野圭吾さんの短編小説。
黒い笑いで満ち溢れている! とのことですが、半数くらいは変にリアルでもうほんと『うああああイタいィやめてくれえ!』って感じでした。
ラインナップは、
いわゆる文壇の裏側を描いた、
『もうひとつの助走』
『線香花火』
『過去の人』
『選考会』
そして下ネタだったり皮肉たっぷりだったりの、
『巨乳妄想症候群』
『インポグラ』
『みえすぎ』
『モテモテ・スプレー』
『シンデレラ白夜行』
『ストーカー入門』
『臨界家族』
『笑わない男』
『奇跡の一枚』
です。
『もうひとつの助走』
老作家が名がある文学賞を取れるかどうかの瀬戸際。オチで逝っちゃった? と思いましたけどその後の話でバリバリ活躍してました。時系列が作品順なら、ですケド。
『線香花火』
新人賞をもらった駆け出し作家が天狗になって堕ちちゃう話。実際はこんなもんなんでしょね。
『過去の人』
その駆け出し作家が次の年の新人賞パーティーに参加して我知らず大恥をかく話。ラストのオチの台詞が効いていましたなあ。
『選考会』
どんでん返し! ほんとに『どうもお疲れ様』でした。
ところで『線香花火』~『選考会』に出てくる『虚無僧探偵ゾフィー』って読んでみたいです。でたらめで矛盾だらけの物語が最後の一行で逆転し、完璧な合理性を表してすべての謎が解けて文体すら計算されていたなんて何そのネ申作品。読んでみたい。いや書いてみたい。
『巨乳妄想症候群』
視覚のみの巨乳に興味ありません。まさしく虚乳か。
『インポグラ』
まあつまりバイ●グラの逆の薬です。『これが一体なんの役に立つんだ』→確かに。『勃起なしに人生の何たるかなどわかるはずがない』→何ひとつ捨てていいものなど無いってことで。
『みえすぎ』
もやしもんの主人公の能力みたいもん……でいいのかな。ハウスダスト云々でもうちょっと続くのかと思いました。それ解明して、この能力にもイイコトが……みたいな感じで。
『モテモテ・スプレー』
殴り飛ばせ殴り飛ばせ(笑)
『シンデレラ白夜行』
靴を履かせないことには惚れた女かどうかもわからない王子に嫁いでシンデレラは幸せなのか、というのが長年の疑問でしたが、この話のシンデレラに限っては幸せなのでしょう。
『ストーカー入門』
考え直せ。その女でいいのか?
『臨界家族』
玩具業界と幼児向けアニメのウラの繋がり。モノが無いと遊べないのも哀しい限りです。お金ナシでも遊べるのは子供時代だけなのにね。
『笑わない男』
鉄面皮のホテルマンを笑わせるようとする売れない芸人コンビ。イタさ・ナンバーワンです。
『奇跡の一枚』
女の子が可哀想でしたが、お父さんにとっては思いがけないギフトでした。いちばん好きです。
残るは『怪笑』と『毒笑』。楽しみです。