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評価:
![]() イブ タイタス 童話館出版 ¥ 1,404 (2014-01) |
ねずみの国で、ホームズ氏に匹敵するほどの者を探すとすれば、それはもう、ベイジルをおいてほかにはおりますまい。

「私はね、ベイジル。ねずみの国のシャーロック・ホームズの相棒でいられることが、光栄だよ」
「言わずもがなだが、ドーソンくん。これから相手にしようとしているのは、野蛮な悪党どもだ。きみは、安全な宿屋で待っていてもよかったんだよ」
「ばかばかしい! われわれは、ここまで、いっしょにやってきたじゃないか。こうなれば一蓮托生だ」

「(前略)きみがホームズテッドにきてくれるなら、家族のための家を喜んで用意しよう。
もし、刑務所に入ることになっても、きみの仕事はきみを待ってるよ」

図書館でたまたま手に取った児童書です。
まずタイトルに惹かれ、そしてイラストに引き寄せられました。
あらすじ。
時は1885年、ロンドン。ベイジルはシャーロック・ホームズ氏を師と仰ぐ、ねずみの国きっての名探偵。
親友であり相棒の医者、ディビッド・Q・ドーソン博士と共に数々の難事件を、その怜悧な頭脳と推理力で解決してきた。
ホームズ氏のもとで学ぶため、町ごと引っ越した矢先、双子の姉妹が誘拐されるという事件が、彼らのもとに舞い込む。
タイトルどおり、ねずみの国でホームズばりに有名有実な私立探偵の物語です。
推理あり、変装あり、遠出あり、聞き込みあり、そして捕物劇とバトルと涙ありのワクワク活劇です。
本家ホームズさんの住むベーカー街が、そのままねずみサイズになったような……想像するとかっわいいですね。(•ᴗ•◍)
ホームズを師と仰ぎ、その手法を学ぶ彼ですが、実際は、ホームズが相棒のワトソン博士に話して聞かせる事件の内容をこっそり耳をそばだてます。端的に言えば立ち聞きです(笑)
門前の小ネズミは習わぬ経を読みました。おかげで、町ぐるみの大事件になるところを、未然に防いだのですから。
本家に倣ったのか、こっちの探偵コンビもとっても仲良し。
バイオリンのシーンや、いざ敵のアジトへ出陣するときの会話はなかなか癒されました。可愛い

ホームズ氏を慕うあまり、同じ格好(コスプレ)をしたり、捨てたバイオリンの弦を拾って自分用のバイオリンを仕立てたり、木彫りのホームズ像を作ったり……根っからのホームズフリークなベイジル探偵も可愛いです。
(↑人間だったらスのつくアレですが)
そしてこちらは翻訳ものなのですが、うーん、何と言いますか、文章が懐かしい(笑)
子供にも分かりやすいように、ちょっと不自然なくらいやさしい文章です。高校のときの翻訳の授業思い出すなー。
お気に入りは事件のキーパーソン(キーマウス?)になる人物(鼠物?)との別れのシーンです。
仕事が無くて、大切な家族を守るため、養うために悪に手を染めた彼にとって、とても嬉しい言葉になったんだろうなぁと思いました。希望持っちゃいますね。
最後は、不休で都会から港、海の上まで駆けずり回った名探偵に、相棒であるお医者様が一週間の休養という処方を出すところーーでは終わりません。
そこに事件がある限り、名探偵は戦う定めなのです。


