人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/グリーン・インフェルノ

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2013年制作、アメリカの18禁食人ホラーアドベンチャーです。

 

 

 

 


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【あらすじ】
国連大使を父に持つジャスティンは、国際問題の改善に熱意を持つ女子大生。
いわゆる『意識の高い活動家』に仲間入りし、熱帯雨林を伐採して原住民を追い出そうとする企業への抗議活動のため、現地に向かった。
抗議活動は成功したが、帰りの飛行機が墜落してしまう。
ジャスティンたちは原住民であるヤハ族に捕獲される。
彼らには『食人』の文化があった。

 

【ひとこと感想】
視覚的、文化的、社会的、人間のグロさを詰め込んだ赤が映える緑色の地獄エンターテイメント。

 

※全力ネタバレです。
※グロゴア食人に耐性のない方はオススメできません。

 

 

【3つのポイント】
①グロゴア食人が苦手です
インフェルノ一覧
③真の活動家とは?

 

 

【①グロゴア食人が苦手です】
ホラーを愛する愉快なトリ🎩🦉ですが、これらは得意ではないです。

特に食人。カニバ。ホラーで料理人が出たらまず人肉料理を疑えの法則もありますが、鑑賞するたび思うのです。

( ・ω・)<人肉って絶対まずいやん。

徹底管理された家畜の味に慣れきった味覚で、
特に食べられるための手間暇をかけていない人肉を、美味と感じるわけがない。

別の要素、たとえば性的やら背徳的やらの快楽が混じらないと食べれたもんじゃないと飽食の時代に育った者としては思うのです。

ですが今回、この作品を鑑賞して。

ヤハ族にとって、
人肉食は、もはや味云々の問題ではないんだな。

と、感じました。

ヤハ族の長老が捕らえたジャスティンたちを観て、高らかに宣言したのです。

 

長老:「神の贈り物だ!」

 

実際、めっちゃ手間をかけて調理していました。大切な天からの恵みだからです。

自分基準でしか物事を捉えられない悪習慣を反省しました。恥。

 

【②インフェルノ一覧】
などと反省した直後に始まる阿鼻叫喚の光景。
以下、記憶している一部です。

①飛行機墜落時、首切断。(断面あり)
②動いたままのプロペラに近づいて頭をかち割る。(ドジっこかな?)
③カカシのように飾られるミイラ。(ヤハ族的には看板なのかもしれない)
④立てられた棒の先端に晒し首。(ヤハ族的には風見鶏なのかもしれない)
⑤肌を赤く塗ったヤハ族がゾロゾロ出ててくる。(深緑の反対色なのでめっさ映える)
⑥顔や身体中をベタベタ触られ、髪を引っこ抜かれる。(人間が珍しい動物に接するように)
⑦石の上に寝かされて生きたまま解体、生食。(目玉くり抜き、舌切り取り)
⑧四肢切断中にビクビク痙攣する肉体。(リアル)
⑨ストレスで下痢になり、野外排便を笑われる。(精神的にキッツイ)
⑩処女か調べられ、膜を破られて性器を切除される(家畜の去勢のように)

おなかいっぱいですがまだまだあります。

11.友人の肉料理を食わされる。
12.友人の死体にハッパを仕込んで、脱出に利用する。
13.ハッパでラリった人々に食いちぎられる。(嬉しそうに足を持っていく子どもが地獄)
14.骨叩きされて蟻責め。(蟻がでかい)

よくもまあこんなに思いついた上に実際に撮影したな!?

ってなくらいに盛り沢山でした。強すぎるだろイーラン・ロス監督。

個人的には11で、脱出に失敗した恋人・サマンサの肉を食べたエイミーが即座に自殺したのが印象的でした。判断が早い。

 

最大に「うぉう……」と胃を痛めたのは、ヤハ族に『子ども』がいたこと。
当然のことなのでしょうが、「異文化キッツ……」と思いました。
サマンサから剥がしたタトゥーをボディシールにして遊んだり、しかしこの子どもたちにとっては『普通』だと実感。

しかし、
最大の地獄は、活動グループのリーダー・アレハンドロが、「もうすぐブルドーザーが助けに来る」と発言してからの流れです。

 

アレハンドロ:「こいつらはどのみち滅ぼされる」

 

メンバーはその言葉に希望を見出しました。
元々彼らは、ヤハ族を守るために活動していた。
けれど食われそうになっている今、ブルドーザーと機関銃を待ち望むようになった。

実に人間らしい、理解も納得もできる『逆転』。

さまざまな地獄を描いていました。

 

【③真の活動家とは?】
友人を次々亡くしたジャスティンでしたが、ヤハ族の中で唯一『家畜』の叫び声に顔を曇らせていた少年の力を借りて、何とか脱出しました。

この少年がすごい。
蟻責めにされて「Kill me…」と哀願するダニエルをサクッと殺しました。判断が本当に早い。

元凶クズ野郎のアレハンドロを見捨て、彼女はヤハ族を攻撃する軍人に助けを求め、深緑の地獄から生還しました。

後日、ジャスティンは証言しました。
自分はヤハ族に保護された、と。

 

ジャスティン:「先住民がいなかったら死んでた。
        敵意は感じなかったわ」

 

これは本当ですね。
ヤハ族には敵意などひとつも無かった。

「食人の習慣は見たか?」という質問にも、

 

ジャスティン:「一度も」

 

そう答えました。
彼女は「ヤハ族を守る」という最初の目的を全うすることを選んだのです。

 

【まとめ:この作品のメッセージ】
監督は、この作品についてこう語りました。

 

“この作品は、ネット文化にどっぷりつかり、自分はなにひとつ考えても動いてもないのに、どこかから流れてきた社会性の高そうな記事やツイートをただシェアしてるだけで、活動家になった気になってる人たちへのアンチテーゼだ。“

 

この思いがもっとも感じられたのは、ちょいちょい挟まる森の風景。

どうよ、美しいだろ?
守るんだろ?
この森がどんなものか知りもしないくせに。

そう煽ってるような気さえしました。

……。

『守る』、って傲慢な言葉ですね。

 

【おまけ:クズはクズでも】
さて地獄の中で、もっとも輝いていた人物がいます。
アレハンドロです。

意識の高い活動家、Facebookで「すべての出会いに感謝」とか書いてそうな彼は、ヤバすぎるクズでした。

最初の抗議活動は、ライバル企業を蹴落とすための PRだったのです。
アレハンドロは環境保全民族保護などどうでもよく、名声を求めてジャスティンたちをここに連れてきた。
脱出の際も一人残されるのが嫌で、ラース(生きたまま食いちぎられた人)を巻き込むやつです。

ホラー映画ではおなじみ、
外道すぎてどんな悲惨な死に方をするか楽しみにさせるクズってやつです。

ですがなんとアレハンドロ、生きていました。
エンドクレジット中に、ヤハ族の酋長みたいな格好をした彼が衛生写真に写っていました。

( ・⌓・)<あの状況でどうやって!?

いや100パー食われるラストやったやん。
家畜の立場からとんだ大出世だよ。

そんじょそこらのクズじゃない……

(思わず戦慄した)

(さすがストレス解消と称して首を絞められても野外でアレをアレするのをやめなかったオトコである)


続編があればぜひアレハンドロのピンチ脱出の真相を知りたい。です。

 

 

次回は11月28日月曜日、
1932年制作、アメリカのゾンビ映画の元祖、
『恐怖城』の話をします。

 

鳥谷綾斗