ツタヤで借りて観たホラー映画シリーズです。
1968年制作、アメリカのオカルトホラーです。
【あらすじ】
NYのアパートに俳優の夫と引っ越してきたローズマリー。
黒い噂を耳にしつつも、隣人のカスタベット夫妻にお節介を焼かれる日々を過ごす。
ある夜、ローズマリーは人ならぬモノに強姦される夢を見る。
そして彼女の妊娠が発覚した。
【ひとこと感想】
50年以上前の作品とは思えないのが残酷な、不信感募るサスペンス。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①この明るい部屋に、悪魔がいるのか?
② 『現代でも通じる』どころじゃない・近所のおばちゃん編
③ 『現代でも通じる』どころじゃない・夫編
【①この明るい部屋に、悪魔がいるのか?】
この作品のポイントは、
インテリアがとにかく可愛い。
『サスペリア』 『ポルターガイスト』とはまた違う雰囲気で、現代でも通じそうなオシャレさです。
前住人が作り上げたゴシックでレトロで重厚な雰囲気から一転、若い夫婦に似つかわしい、白と黄色の陽の当たおうちに。
前住人が謎の死を遂げたこと、
クロゼットを 「まるで何かを閉じ込めようとしたみたいに」 大きなタンスで塞いでいたこと、
人喰い姉妹がいた・地下室に赤子の死体があったという黒い噂があること、
それら全部スルーーーーして、ローズマリーとガイは理想的なおうちにDIYします。
(ドレッサーが特に可愛い)
そんな素敵な部屋で、ローズマリーはどんどん窶れていきます。その対比が良かった。
奇妙な夢――全裸の人々に囲まれながら、裸の腹に魔法陣を書かれ、さらに異形のモノに覆い被さられ揺さぶられる――を見てから、彼女は不信感を募らせます。
まずいチョコムースをおすそ分けし、薬草入りのネックレスを渡してくるカスタベット夫妻。
彼らは、悪魔教の信徒?
夫もグルになった?
私の赤ちゃんが、生贄にされてしまう――?
誰も信じられなくなったローズマリーは、同時に誰にも信用されなくなった。
それは観客である我々にも、です。
すべて彼女の、妊娠による情緒不安定の果ての妄想なのか?
そんな不信感が募りました。
【②『現代でも通じる』どころじゃない・近所のおばちゃん編】
( ・ω・)<これ本当に54年前の映画?
と思えるくらい、『妊娠した女性』にまつわるアレコレが『現代でも通じる』どころじゃありませんでした。
現代とほぼ一緒でした。
特にカスタベット夫妻。引っ越した先で出会った世話焼きの老夫婦は、その有難い強引さに辟易します。
手作りの品や食べ物を渡されて、嬉しいけど口や好みに合わなかった時の、笑うしかない微妙な感じ。
心配してくれるのは分かるけど、少しだけ迷惑な親切心。
うわ。
これ、こないだリアルでもフィクションでも見たわ。
( •᷄ὤ•᷅)
いつの時代も近所付き合いにはしがらみが付き物。
さらに、ガイも現代(主にネット)でよく見聞きする『夫』像でした。
【③『現代でも通じる』どころじゃない・夫編】
シンプルに言います。
この夫、
( ・ω・)<おっととっとクズだぜ!
(注・EEJUMPの曲のリズムで)(懐かしい)
と言いたくなるほどのクズでした。
最初は普通だったのですが、自分が俳優として出世するために妻を売りました。文字どおり悪魔に売ったのです。
クズ語録も凄まじい。たとえば悪魔に悪魔にNTRされた朝は、
ガイ:「楽しかったぜ 死体を抱いてるみたいで」
悪魔云々より、仮に抱いたのが夫だとしても気絶している妻に手を出すのはいかがなものか。その上にこの発言。クズだ。
そしてラスト、ローズマリーが死産だと聞かされた赤子は生きていたことを知らされた場面。
混乱する妻に、夫はハリウッドに引っ越そうと提案した後、赤子のことは忘れろと抜かした挙句、
ガイ:「死産だと思えばいい」
↓
ローズマリー:「( ゚д゚) 、ペッ」
眩暈がしますね。クズだ。
ちなみに最強にクソな行動は、悪魔教の集まりに現れたローズマリーを見て一瞬だけ姿を消したことです。「逃げんな!!!」とキレました。
(クズな夫という生き物はね。とにかく逃げますよね)
【まとめ:流されやすかったローズマリー】
ローズマリーは、基本的に『素直な女性』です。
夫や目上の人間の言葉を信じやすく、受け入れる。
何ヶ月も腹部に痛みを感じていたのに、医者が「問題ない」といえば我慢し、市販のビタミン剤より謎の薬草を煎じたドリンクを摂取することを選ぶ。
そんな流されやすい彼女は、ラスト、大きな選択と決断をしました。
悪魔の子を育てること。
人の身で、悪魔の母になること。
そう決めた彼女の表情は美しかったです。
そこにあるのは母性か狂気か。
そもそも、母性とは狂気の感情なのか。
不明なまま子守唄が流れ、幕を閉じました。
【余談:個人的にグッときたセリフ】
ローズマリーの妊娠が発覚し、ミニー(カスタベット妻。服もメイクもド派手)がウキウキで有名な産婦人科医に連絡を取る場面。
ミニー:「ええ 今度こそきっと」
これだけのセリフで、最初に亡くなった夫妻の養女・テレサが死亡した理由を察せられるのがスゴイ。
次回は6月20日月曜日、
1958年制作、日本の怪談映画、
『亡霊怪猫屋敷』の話をします。
鳥谷綾斗