人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

映画/リカ 自称28歳の純愛モンスター

レンタルで観たホラー映画シリーズです。
2021年制作、日本のサイコホラーシュールコメディです。

 

 

 

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【あらすじ】
山中で胴体だけの死体が発見された。
それは3年前に連続殺人犯・『リカ』に連れ去られた本間隆雄だった。
刑事・奥山は自らを囮にして、リカへの接触を図る。
奥山の恋人である孝子は彼を心配し、同僚刑事の尚美に相談するが……

 

【ひとこと感想】
王蟲の目玉かよ!」とツッコんで「シャッ!」が強烈すぎたサイココメディ。

 

※全力ネタバレです。

 

 

【3つのポイント】
①更なるスキルを得たリカちゃん。
②「惚れたら、終わり」ではなくないかと思ったら。
③『皆』と『リカ』の違いは?

 

【①更なるスキルを得たリカちゃん】
リカちゃんに対する自分の見解(というかラブレター)は、過去の記事に書いております。

 

word-world.hatenablog.com

 

word-world.hatenablog.com

 

お裁縫やハーバリウム作り、殺人に誘拐に果ては生体解体と色々ハイスペックなリカちゃん。
今作では 3Dプリンター という新たなるスキルを得ていました。

キッカケは、奥山刑事が買った真っ赤なハイビスカス。
慎ましい交際を望む彼女に、奥山刑事は写真を送ります。
リカちゃんはその写真を3Dプリンターで印刷して着色し、ハイビスカスを受け取りました。
さらに電話で特徴を聞いて似顔絵を書き、3Dプリンターで印刷して奥山刑事のフィギュアまで作ってました。愛のなせる技スゴすぎんか。

(奥山刑事フィギュアの顔は雑なのに、リカちゃんのはやたら整っていたのが妙にツボでした)

(でもそれは「愛する貴方がどんな容姿でもリカはいつだって綺麗にしているね」というメッセージかもしれない)

「殺人犯じゃなかったら重宝された人材だったろうなぁ」というこの惜しさ、『SAW』シリーズのジョン・クレイマーにも通じますね。

 

【②「惚れたら、終わり」ではなくないかと思ったら】
このキャッチコピー、最初は違和感を覚えました。

何故ならリカちゃんは、口裂け女さそり座の女と同じ、圧倒的に『追う女』だからです。
ゆえに「惚れられたら、終わり」なのでは? と思っていたのですが、原作からの改変部分を見て納得しました。

なんとリカちゃんに惚れる男が現れたのです。

奥山刑事はリカの持つ『愛』――「大切な家族、特に子どもには寂しい思いをさせない」に共感を覚え、幻を見るほど、夢でキスを交わすほど、リカという女性に囚われてしまったのです。

 

奥山:「(メールの返事が遅いリカに対して)
    何してんだよ、リカ……まさか他の男とってことは……」

 

(もう完全に惚れてるやん)

(ずっとドラマを観てきてすっかりリカちゃん贔屓になってしまった自分は、素直に「よかったね!」と思いましたとも)

(でも同時に「ずっとリカのこと考え続けて脳がバグったんやろなぁ」とも思った)

ちなみに原作は、佐々木希さん演じる梅本尚美さんが主人公です。
(奥山刑事は早々に退場し、そこからヒントを得てリカに追跡する、女同士の戦い的な展開)

この改変はすごく面白くて良いな――と舌を巻きました。
主人公の迷走というものは「待て待て落ち着け」とハラハラ感がありますし。このまま奥山刑事とのバトル展開かと思いきや。

なんと奥山刑事、フツーに死にました。

 

【③『皆』とリカちゃんの違いは?】
そこから原作どおり、女性たち(孝子と尚美)のターンです。めっちゃ優秀です。

拉致されて拘束された孝子は、目の前にいる悍ましいモンスターを否定したくて否定したくて否定したくて必死に言葉を紡ぎますが。

 

リカ:「だったら、人間はみんな可哀想ってことね」

 

モンスターは優美に微笑み、そう返します。
このやりとりは原作のテーマを思い出しました。

真っ当な精神を持っていても、
愛すること、愛されることへの強烈な飢えを抱けば、
それを満たせる相手を見つければ、
誰だって『リカ』になり得る。

『皆』とリカちゃんの違いなんて、髪の毛ひとすじ程度。
冷静ぶって物語を俯瞰する自分だって、何かを間違えたら、誰かと出逢ったら……と自省しました。

したんですけど。

( ・ω・)<すまん。

( ・ω・)<いくら愛に飢えて(略)相手を見つけても、


( ;ω;)<外壁をスパイダー登りはできんし空も飛べんわ!

 

【まとめ:最後の残った感情は『混乱』でした】

( ;ω;)<どういう感情になればいいんだよ!?

鑑賞後の所感はこれです。

予告でガッツリ出てますが、リカちゃん、警察の包囲網から逃れるために、空を飛んだりスパイダーマンばりに「シャッ!」と言いながら壁を登ったりします。

 

  ヽ(˙ ꒳ ˙ ) / \ シャッ!
   \ヽ \\
     \\\
      \\
        \
         、;'.・

 

もはや走行中のタクシーに追いつくだけじゃ足りないのです。どこまで進化する気だ。
ていうか腕にあるアザ(ドラマシーズン2を観たらすごく深い意味がある)が興奮して赤く光るという謎の追加設定、

( ;ω;)<王蟲の目玉かよ!!!

と、思わず座布団をハタきました。こんなツッコミ、人生で初めてだわ。

途中までは真っ当なホラー、クライマックスからカオス。トンチキっぷりも含めてめちゃくちゃ楽しい映画でした。
ぜひ、気の合う仲間とストゼロストローとポテチのしあわせバターキメながら観てください。ストレスとか飛ぶぞ。

 

【備考:唯一の不満点】
以下、『リターン』のラスト大好き芸人の戯言です。

やはり奥山刑事は死亡ではなく、胴体のみの生存状態で発見された方がよかったのでは。

それを最後は孝子が引き取る……にした方が、この作品の根底に流れる「女(概念)は誰でもリカになり得る」に即したような気がします。

永遠に成長しない赤ん坊でも愛し続ける、狂ってはいるけど理想的な女。

それこそが『リカ』なので。

(でも映画のリカちゃんはラストに目覚めたしなー)

(映像化スタッフ的にリカちゃんは唯一神なのかもなー)

(というかあのラスト、お約束すぎて盛り上がりました。王道サイコー)

 

次回は4月18日月曜日、
1976年制作、アメリカの青春オカルトホラー、
『キャリー』の話をします。

 

 

鳥谷綾斗