人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

13日の金曜日 PART8&?(映画)

JUGEMテーマ:Horror

 

ハッピー13thフライデー、軽い熱中症になりかけた肴猫ですこんばんは。死はさりげない顔をして至るところにたたずんでるんですね、気をつけます。
( ・ω・)<びっくりした。

 

さて、平成最後の13日の金曜日である本日。ジェイソンの話をしなければホラー好きとして名折れです。
すでに13日の金曜日シリーズの記事は書いていますが、あちらは1、2、3、4、6を観ての感想ですので、今回は8と10の感想を書きます。

 

あらすじ。
クリスタルレイクの底で眠るジェイソンが、リア充がいちゃつく気配を察知して覚醒し、片っ端から惨殺する。

 

これ以外何があるというのか。
(・ー・)

 

と開き直りたくなりますが、一応書いておきます。

 

 

13日の金曜日 PART8 ジェイソン N.Y.へ」あらすじ。
電気ケーブルに感電して復活したジェイソン。
一方、女学生レニーは修学旅行でニューヨークへ旅立とうとしていた。
その客船に乗り込んだジェイソンは、次々と学生を殺害、そしてとうとうニューヨークに辿り着く。


「ジェイソン? 13日の金曜日」あらすじ。(※もはや「13金」が添え物)
9で、ジェイソンの不死身っぷりを研究しようとしたが殺害されまくり、なんとか冷凍するも、科学者・ローワンも巻き込まれてしまう。
それから455年後、人類は既に地球を捨てており、ある調査隊がカチンコチンのジェイソンとローワンを発見する。
蘇生技術によって息を吹き返す2人。そして殺戮開始。

 


あらためて視聴すると、?ってかなり秀作なのではと思いました。
昔観た時は、「何やこれめっちゃくちゃやーん」と草生やしてたんですが、私の作品の見方……観る姿勢みたいなものが変わったのもあって、大変楽しめました。

 

8は、舞台が船&ニューヨークのスラム街というのがポイントでしょうか。
今までクリスタルレイクというある種の閉鎖空間で猛威を振るっていた(ジェイソンは殺人鬼の姿を借りた現象なのでこの表現)彼が、夜でもなお光にまみれて、外に開かれた、人も明かりも多すぎる町に現れたらどんな反応を示すのか。
少しワクワクしましたが、ジェイソンは通常営業でした。まあそうだよね。

 

しかしこの8、レニーの彼ぴっぴであるショーンと、叔父の先生の方が、ジェイソンよりも……オブラートに包むとアタマがヤバかったです。

 

叔父は、水泳の練習だといってクリスタルレイクの汚い水の中に幼いレニーを突き落とす。

(そのせいでレニーは水恐怖症に。ジェイソン少年の幻影も視るようになります)

ショーンは、ニューヨークのチンピラにレニーが連れ去られているのに、どういうわけか引きちぎられたペンダント(冒頭でプレゼントしたもの。確か自由の女神像をかたどっていたような。ダサ……じゃなくて、微妙なデザインだったことは覚えてます)にショックを受け、ペンダントの方に駆け寄る男です。意味不明でしょう。レニーが「助けてショーン」と叫んでいるのにです。

 

えぇ……何このサイコパスども……。
コイツらの方がよっぽど化け物じゃないすか……。

(自分自身を善や正義や、正しいことをしている、愛情深い人間だと思い込んでそうなところが)

 

レニーを襲うチンピラどもをぶち殺すジェイソンが、ヒーローに思える不思議。

 

まあでもそんなモヤモヤ、海を泳いでニューヨークに着いたジェイソンが、ホッケーマスクが描かれたでっかい看板を観て、「?」と仔猫のように首をかしげる萌え場面で吹き飛ぶんですけどね。
きょとーん、となるジェイソンたんはとても可愛いなあ。あの場面に8のすべてが集約されてましたね! あと犬可愛い。


?は、医療が発達した未来です。
冒頭でお調子者がふざけて腕を切断する事故に遭う(文章にするとはっちゃけてるな)んですが、仲間は慌てず騒がずで、さくっと止血シールを貼って麻酔を打って、宇宙船内の医療マシンでくっつくような、人体の蘇生も可能な世界観です。


医療が神の領域に達してるのに、地球は滅んだ(滅ぼした)ーーというのがなんだか暗示的でした。

 

400年以上前の遺体を珍しがった船員たちは、ジェイソンと、ヒロインのローワンを宇宙船に連れて帰り、蘇生を試みます。
ジェイソンは最初完全に死亡したと見られましたが、目覚まし(リア充がいちゃつく気配)を察知し、にょきっと覚醒して殺戮の限りを尽くします。

 

とことんブレねぇーー……。

 

つかこのアベック、冷凍ジェイソンがいる隣で、同級生(同僚?)が真面目に仕事している横で何ゆえ発情するのだ。

 

最初の犠牲者:「どこかでスッキリさせてくれば?」(※たぶんイヤミ)
リア充:「いいの?」

 

→何が「いいの?」だ。

 

ここからもう次から次へとイベント=悪いことが起こります。
ドアを開けたらそこにいて串刺し、護衛の戦闘員(軍隊の人みたいな)たちは全滅、停留するはずの基地に突っ込んで爆発させ、戦闘であちこち壊しまくった宇宙船は操舵不能に陥り、ジェイソンで金儲けしようとしていた教授も死に、脱出用シャトルは恐怖のあまりあっぱらぱーになったキャラが破壊して、やっと倒したと思ったら更にパワーアップしてどこまでも追いかけてくるし、救助船が来たと思ったら扉は燃料切れで開かなくなるし……この畳みかけるようなイベントラッシュは非常に参考になります。
( ・ω・)<すげー。

 

登場人物は多いのですが、退場の仕方が死ぬほどザツで、印象に残る人が少ない。いっそ笑います。人物に感情移入とか観客に同情心を抱かせるとかまったく考えてないシナリオに、こんなやり方もあるんだと「ほへー(・△・)」となりました。
(教授のえすえむプレイは笑いましたが。「You paaaaaaass!!(ごうかーく!)」じゃねぇよ)

 

イベントの数珠つなぎの中、特に腹を抱えたのは、女性型アンドロイド・KMの覚醒です。
彼女を造ったツナロンとちゅっちゅしたと思ったら、バイトハザードのヒロインみたいな出で立ちになってジェイソンに挑みます。
これが強い。でも移動する時の側転は何ゆえ。いらんだろ。

 

機転を利かせてジェイソンを倒しますが、倒れた場所がわるかった。
そこは医療マシンがある部屋でした。
マシンが、オートマティックに、すなわち機械的にジェイソンを治療します。
考えうる限りで最良の治療を施し、特殊な細胞を注入して、メカジェイソンにアップグレードさせます。
「人間」たちがせっかく倒したのにお構いなしです。マシンはそうプログラムされているから。

 

この場面が、最初の「地球を滅ぼした」とうまくイメージが呼応してるな、と。

 

(冷凍されていれば死者に近い人体を復活させることもできるのに、地球は救えない。別の星に移動して捨ててしまう。
人間ってちっとも万能じゃない。頭でっかち感すら覚えます)


そこからはメカジェイソンの大進撃です。
ラスト10分がとても楽しい。
救助船に乗る時間稼ぎのために、ツナロンが1980年代の映像を見せて足止めします。
ジェイソンがもっとも興味を引きそうなもの=無軌道な若者の映像ーー具体的には色んなところが軽そうなチャンネー2人が脱ぎだして誘惑するーーを発生させます。

いやーこの場面。並の殺人鬼ならチャンネーにむしゃぶりついてましたよ。
だけどそこは僕らのジェイソン。ガチギレして、チャンネーたちを袋だたき(ソロ)の目に遭わせます。

 

こいつほんっとブレねぇな。
(言い方は乱暴ですが感心いたしました)

 

ラスト5分。
軍曹のロッドスキーと共に、宇宙空間に放り出されてしまったジェイソン。
だけど彼の鋼鉄のネバーギブアップ精神は挫けません。宇宙服もなしに宇宙をクロールして追いかけます。
「もうええわ……」とローワンと観客がシンクロしたところで、横からロッドスキー軍曹がジェイソンを羽交い締めにして、救助船から離そうとします。

 

軍曹ーー!!


(※やっとココでジェイソン以外のキャラに心が動く)

あなたはやればできる子だと(勝手に)信じてた!
(でも最初に刺された時の、「1回刺したくらいじゃ俺は死なんぞ」(グサッ。※2回目刺される)「そうだ。それでいい」は何だったの)

 

タイタニックみたいな体勢で、ジェイソンと軍曹は大気圏に突入して激しく燃えながらも、ローワンたちが帰るであろう「第2の地球」(推定)に落っこちます。


ラスト1分。
クリスタルレイクとおぼしきキャンプ場に、リア充がいました。
よりによって燃えながら落下するジェイソンと軍曹を、「流れ星!」と勘違いします。

 

男「願い事は?」
女「……(キスで返す)」
2人「(あの流れ星が落ちた湖へ)見に行ってみよう」

 

と、湖へ手をつないで向かって、終わりです。
これ完全にフリですね。
( ・ω・)<ハハッ

 

ていうか400年も経ったのにびっくりするほど人間が変わってない。
進化したのは技術だけ。
そしてその技術に足元を掬われまくってる。

金儲けのためにジェイソンを復活させ、至る所でいちゃつく。
――しかし、ツナロンとKMの恐怖から逃れるようとするようなキスシーンを見て、「これは死に近づいたからこそ、本能的に他者を求めているのだろうか……」という見方ができました。

 

富を欲して、人を求める。


人間が持つ「そのような本質」は何年経っても変わらない。

 

そんな永劫に変わらない人間だからこそ、ジェイソンは、何年経ってもぶち殺すのでしょう。

 


制作側の愛と皮肉がたっぷり詰め込まれた(と自分は受け止めました)「ジェイソン? 13日の金曜日」、とにかくツッコミが楽しいですので、ポップコーンとコーラ、あるいは軽いお酒を用意して、気の合う仲間と視聴することをオススメします。夏休みの思い出にぜひ!