人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

魔法少女まどか☆マギカ(アニメ)



『この国では、成長途中の**のことを『**』って呼ぶんだろう?
 だったらやがて**になる君たちのことは、『****』と呼ぶべきだよね』

『ごめんね。わけわかんないよね。気持ち悪いよね。まどかにとっての私は(中略)
 あなたと私が過ごした時間はズレていく。気持ちもズレて、言葉も通じなくなっていく。』

『大丈夫。きっと大丈夫。信じようよ。だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから』






2011年、どころかもしかしたら2000年初期を代表するかもしれない名作と誉れ高いオリジナルアニメ作品。
『僕と契約して魔法少女になってよ!』『ひどいよ、そんなのあんまりだよ』『わけがわからないよ』『あたしって、ほんとバカ』『ひとりぼっちは寂しいもんな』etc.の名言を数多く生み出した作品。
遅ればせながらこのたび、一気に視聴しました。

……リアルタイムで毎週視聴したかったあー!

と、いうのが正直な感想です。


必要ないと思いますがあらすじ。
ある日、不思議な夢を見て目覚めた少女・鹿目まどか
その夢の中で出会った少女・暁美ほむらが転校してきた。
『あなたは変わらないでいて』と謎の言葉を残したほむらが、不思議な生物・キュゥべえを殺そうとする場面に遭遇する。
そこで知った、人を襲う、恐るべき存在・魔女。
それを狩る、祈りから生まれた存在・魔法少女
先輩となる巴マミに連れられて、親友の美樹さやかと『魔法少女』を間近で傍観するまどか。
過酷な体験を経て、もう一人の魔法少女である佐倉杏子と出逢い、魔法少女というシステムの真実を知り、
物語は最大の災厄、ワルプルギスの夜を迎える。

すべての前情報をシャットアウトすることで、視聴者にとんでもない驚愕をもたらしたこの作品。
第四話以降は、驚きの連続です。そして絶望の数珠つなぎです。
どうあがいても絶望。
純粋な願いと、希望から生まれるーー生まれるからこその悲劇。

これどうやってオチをつけるんだ……とリアタイ視聴していたら肝を冷やしていたと思います。
そして価値観の違いの恐ろしさを改めて思い知りました。
同じ星に生きる者同士でも、そのせいで争いが生まれるのに、そりゃ別のとこから来たのと話が合うわけないよねっていう。

演出、脚本、声優さんの演技、作画……その他すべてに意欲を感じさせる十二話でした。
特にキャラクターたちの泣き声は、本当に真に迫っていました。思わずこちらまでもらい泣きしそうになります。
マミ、さやか、杏子、そしてほむらの四人の少女の、あまりに過酷な運命。
それを中心人物でありながら、涙しながら見届けることしかできなかったまどかの、最後の決断。
また、少女たちだけではなく、周りにいる大人(女性)たちのシーンも同じく深みを持たせています。


チョイスした台詞のひとつめは、全話通していっっちばん驚愕し、しばらく唖然としたものです。大どんでん返しをくらいました。
また、この物語はまどか以外にもう一人、ある人物の視点に立つとまったく別のものが見えてきます。
その人物の心情を思うと、胸がきしむ思いです。

『もう何があってもくじけない』

オープニングの歌詞なのですが、この部分の意味もまるで変わります。
ネタバレなしで見ることをオススメします。


それにしてもこの作品の何がすごいって、

虚淵玄(脚本)と
蒼樹うめ(キャラデザ)と
梶浦由記(音楽)と
劇団イヌカレー(異空間や魔女の描写)と
ClariS(オープニング)と
Kalafina(エンディング)

が、それぞれの持ち味を決して殺さず共存共栄している点に尽きると思います。
これもまた、作中で某営業マンが言っていた、

全ての個体が、別個に感情を持ちながら共存している世界

の縮図かもしれません。