ツタヤで借りて観たホラー映画シリーズです。
1976年制作、アメリカのオカルトホラーです。
【あらすじ】
6月6日午前6時、アメリカ外交官のロバート・ソーンは、我が子の死産を知らされる。
妻を悲しませないよう、ロバートは孤児の赤子を引き取る。その子は『ダミアン』と名付けられた。
すくすくと成長するダミアン。だが彼の5歳のバースデーパーティーで、乳母が「あなたのためにやるわ」と屋根から飛び降りる。
【ひとこと感想】
「ダミアンは悪魔の子か否か」への答え方が、悪魔的に鮮やかな作品。
※全力ネタバレです。
【3つのポイント】
①劇的な死に様。
②ダミアンに対する疑念。
③「本当に悪魔の子か?」に対する答え。
【①劇的な死に様】
ソーン一家の幸せなメモリアルを流すこと十数分、この作品でもっとも有名なシーンが炸裂しました。
乳母:「Damian, look at me! ――It’s all for you!」
酒片手に歓談する大人たち、移動式遊園地で遊ぶ子どもたち、そして麗しき一日を過ごしていたソーン一家の目の前で。
ダミアンの乳母は、狂信的な愛を喚いて屋根から飛び降ります。
一度目にしたら焼きつくような、世界一衝撃的な首吊りです。
その他作中で死亡するのは4名。
ラストのロバートは描写がありませんでしたが、先の3名はいずれとも劇的、かつ劇薬的でした。
「ダミアンは悪魔の子だ」と主張する神父は、不穏な気配(このシーン、音楽の効果でめちゃくちゃ不吉でゾワゾワしました)に急き立てられた先の教会で。
屋根から落ちてきた避雷針に刺され、弁慶の死に様のように立ったまま死亡した。
母親キャシーは、夫から「逃げろ」という電話を受けた際に、新しい乳母ベイロックに突き落とされた。
飛び込み台のダイブのように勢いよく落ちて、救急車の屋根を突き破って。
ダミアンの出自を追う記者は、ロバートが放り投げた短剣を拾いにいき、ブレーキが甘かった車に激突され、頭部切断。
ここの流れ=荷台にあったガラスで首をちょん切られる場面は、『ファイナル・ディスティネーション』を彷彿させました。
全体的に、妙に死体、特にデスマスクを魅せるのが長かったように感じました。
まるで 『誰か』 に見せつけるような。そんな印象です。
【②ダミアンに対する疑念】
実はこの作品をきちんと観る前は、
「悪魔の子であるダミアンがなんか色々と暗躍して周囲を全滅させるんだろうなー😶」
という漠然としたイメージを持っていました。それこそ『エスター』のような。
ところがどっこい。いざ鑑賞してみると、
( ・⌓・)<ダミアン何もしてなくない?
母親キャシーに関する諸々は、ダミアンを『悪魔の子』と認定して、「そなたを守りに来た(`・ω・´)」とか言う乳母のベイロックの計らい&仕業でしたし。
他の不吉な描写は、動物園でキリンが逃げたりヒヒがハッスルする程度。
それは『ダミアンは悪魔の子である』という確証には成り得ない。
ベイロックや神父が誇大妄想狂で、父親が考えすぎだった可能性は?
ダミアンは、本当に悪魔の子か?
こんなに可愛い『子ども』なのに――この疑問は最後の最後まで続きました。
【③『本当に悪魔の子か?』に対する答え】
ダミアンの周囲にいる大人こそが悪魔だった――というオチになる心構えもしていましたが。
けれどその疑問は、ラストシーンで見事に美しく回答されました。
警察官に射殺されたロバートの葬送シーン。
大統領、と呼ばれる夫婦と共にいる、喪服のダミアン。
彼はふいっと振り向き、『こちら』を艶々の飴玉のような瞳で見つめます。
そうして、真っ白な、柔らかそうな、天使の頬に浮かぶ笑み。
これが答えでした。
鳥肌が立ちました。これはすごい。
余計なセリフ、説明などなくても、この演出で観客には伝わる――そんな観客への信用を感じました。
この場面、「子役には絶対に笑うなと言った上でスタッフが笑かしにかかった」という裏話も込めて大好きです。
(だからあんな絶妙な笑い方だったのか)
【まとめ:あの強烈な死に様は】
上記の答えを受けたら、①でうっすら引っかかっていた点も腑に落ちました。
登場人物の死に様です。一枚絵のように強烈で、じっくり見せつけるような印象の。
あれはまさに、
It’s all for “you”.
つまり 『悪魔』 に捧げるため――なのかもしれません。
(なので最初の乳母が言ったこのセリフ、自分なりに訳すと)
(「あなたに捧げるわ!」ですかね)
(と、ちょいと翻訳家を気取ってみます😌)
【おまけ:今日の記事の題材が『オーメン』になった理由】
今日が6月6日だから。
ハッピーJune sixth。メリーダミアン。(てきとう)
次回は6月13日月曜日、
1968年制作、アメリカのオカルトホラー、
『ローズマリーの赤ちゃん』の話をします。
( ・ω・)<エクソシスト、ポルターガイスト、オーメンときたら……
(`・ω・)<これしかないと思いました!
鳥谷綾斗