人生はB級ホラーだ。

良い作家さんになりたい鳥谷綾斗のホラー映画中心で元気な感想ブログ。(引っ越しました)

ドラマ/リカ リバース

2019年秋に各界を席巻した、
自称28歳の純愛モンスターこと『ある意味男の理想の女』の具現化系ホラーレディ・リカちゃんが国士無双するホラードラマ、待望の続編です!

( ゚∀゚)<最高!!!

前作の感想はこちら。

word-world.hatenablog.com

www.rika-28.com



【あらすじ】
『リカ』より30年ほど昔のこと。
雨宮家に、若い家政婦・幸子がやってきた。
彼女の主人となるのは、医者の夫と美しく聡明な双子の娘を持つ女・麗美
だが、絵に描いたような幸福な家族には、恐ろしい歪みがあった……

 

【ひとこと感想】
 Happy BIRTHDAY, JUN-AI Monster.
(かっこよく英語で)

 

【3つのポイント】
①ビジュアルが素敵すぎる。
② 『リカ』と麗美を同じ役者さんが演じたの100点。
③どうすればリカちゃんは幸せになれるのか。

 

【①ビジュアルが素敵すぎる】
前作に引き続き、画面の雰囲気はレトロです。
加えて、舞台が豪華なお屋敷になり、ゴージャスさが加わりました。

お気に入りは、双子の姉妹・梨花と結花の対比。
第1話で無表情なふたりが並んだ場面は、『シャイニング』の双子のシーンを彷彿させます。

でも一番グッときたのは、
真っ白なレースのネグリジェが真っ赤に染まる、あのラストです。

これだよこれ、求めてるのはこれなんだよとガッツポーズってなもんです。

自分は常々日本のホラーに思ってました。

( ;ω;)<怖くないんなら怖くないなりにビジュアルは振り切ってくれよ!!!

雰囲気だいじ。

そんなホラーレディとして完璧な『リカ』(※概念)たちが、3人がかりでタクシーを追っかける場面は是非とも観ていただきたい。

 

【②『リカ』と麗美を同じ役者さんが演じたのは100点】
キャスティングが発表された時、「神ってる」と思いました。

『リカ』のルーツを描くためには、間違いなく正しい。

『母親』と『娘』とは、不思議なものです。
鏡写しのコピーのような、相反するようで同じ性質、似たくないと思っても似てしまう、絆と呪縛の螺旋がそこにあります。

自分がもっとも怖いと思ったのは、麗美が娘たちの前で、自分の腕を傷つける場面。
残酷な場面でした。子どもにとっては、自分が叩かれる以上に深く深く傷を負う。

この母親の元で育ったら、『リカ』がああなるのも分かる。そんな説得力がありました。

 

【③どうすればリカちゃんは幸せになれるのか】
さて、予想どおり最終話でほぼ全員ぶち殺して、ここからリカちゃんの愛を探す長い長い日々が始まります。

彼女が求める愛はどこにあるのでしょうか。

たぶん彼女と最大に相性が合うのは、『子どもな男』です。
自分一人では何もできず、何もしようとせず、食事の際にテーブルに座って新聞を読む(今ならスマホをいじる)だけで何ひとつ動こうとせず、うっかり箸を出し忘れようなもんなら、「おい、箸は?」と言うような男です。
(これはクソ野郎の描写として秀逸すぎるので自作・『殺人権利、お売りします。』の第2章で採用しました。読んでください(要求が直球))

リカちゃんは尽くす女なのでね。良妻賢母ですのでね。

 

ですが、

彼女がそんな男を、好きになるわけありません。

 

この『リバース』で、彼女の好みの男は『包容力のある年上の男性』、要は『父親』だと判明しました。

 

決して振り向いてくれなかった父親。

優しい顔で優しく名前を呼ぶのに、冷酷な、無関心で自分のことしか頭にないあの父親に、彼女はずっと愛されたいと泣いていた。

だから、パパのような男を求める。
(ていうかパパと前作の本間さん、系統一緒やな?)

 

これこそがジレンマ。需要と供給がまったく一致してないのです。
いっそ愛の形を変えたらどうだろう、とも思いますが、そうは簡単にいかないから悲劇は生まれてしまう。ままならないですなあ。

 

【まとめ:全3話なんて残念、と思いきや】

( ゚∀゚)<映画来たぞやったー!!!

2021年6月18日に公開だそうです。
ホラー映画がコンスタントに公開されるのはめっちゃ嬉しいです!
そんな期待度大な予告編。


www.youtube.com

 

ホラー……んっ? ホラー?
いや、ホラー!! うん!!!

超絶楽しみです。
(でもキャッチコピーは、「惚れられたら、死ぬ」では? と思いました)

映画/ドント・ハングアップ

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2017年製作、イギリスのサスペンスホラーです。

 

 

ドント・ハングアップ(字幕版)

ドント・ハングアップ(字幕版)

  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: Prime Video
 

  

※全力ネタバレです。

 

 

【あらすじ】
卒業間近の高校生・サムとブレイディ。彼らはイタズラ電話の様子を配信する、迷惑系動画の投稿者だった。
サムは両親が留守の夜、遊びに来たブレイディとイタズラ電話を愉しむ。
そんな中、電話をかけた相手から折り返しがかかる。
「――楽しいか?」
冷ややかな男の声で、惨劇が始まる。

  

【ひとこと感想】
「生きたければ電話を切るな……」→「いやめっちゃ切っとるがな」的映画。

  

【3つのポイント】
①どこに出しても恥ずかしくないほどのツッコミ系ホラー。
②技術がすごい。
③海外ならではの真相。

 

【①どこに出しても恥ずかしくないほどのツッコミ系ホラー】
もはやタイトルでモロバレですが、こちら、世紀の大傑作・『ドント・ブリーズ』の人気に乗っかった系です。
懐かしい現象です。『SAW』が大ヒットした時、いったい何本の白地にタイトルバーンと書かれた『SAW』っぽいパッケージのホラービデオが量産されたことでしょう。

 

最大ツッコミ要素は、以下の2点。

①犯人(自称リーさん)のかくれんぼ。
死体と入れ替わって隠れていたわけですが、なんで入れ替わったのか分かりませんでした。

 ②目覚めた時のサムの行動。

( ・⌓・)<サムはなんでナイフずっと持ち続けてるの???

 

(気絶したサムに凶器を持たせて、すべての罪を着せちゃうオチでした)


金田一少年の事件簿caseシリーズの『金田一少年の殺人』に、気絶しているはじめちゃんを立たせた&ナイフを持たせる場面を思い出しました)

(本家公認のスピンオフで「意外と簡単に立つんだなぁ金田一って」って神フォローがあった)

(本当になんで警察が来るまで律儀にずーっとナイフ持ち続けてんの???)

 

【②犯人(自称リーさん)の技術がすごい】
家電で警察に電話したのに、全部リーさんにつながるってどんな技術よ。

(両親監禁のタイムラグの仕掛けより気になりました)

  

【③海外ならではの悲劇】
真相は簡単にいうと、サムたちがイタ電をかけたのがリーさんだった。
嘘の通報を信じたりーさんの奥さんが、恐怖のあまり娘さんを発砲して自殺してしまった……というもの。

銃社会ではない日本では、まず起こらない悲劇です。
なんとなく、これと似た怪談・「赤ん坊の首」を思い出しました。
(つーかあれも幼心に「そんなアホな」とツッコみました)

 

【まとめ:スカッと啓蒙】
間違いなく友達と観てコーラ飲みながらポップコーンを投げつける、でもスカッと系であり、「悪いことはしちゃイカン」という啓蒙系の映画でした。

 

「一生ダチだ」

 

そんなセリフの後に、親友の彼女と浮気をしている場面があって、こいつぁ皮肉たっぷりだぜ流石イギリス! とテンション上がりました。

 

そしてラスト。
リーさんは悪質な迷惑行為をする輩を懲らしめる、なんと仕置人になりました。

キャラをもう少し立ててくれたらグッときたオチですね! うん!!!

映画/フライト・ゲーム

BSで観ました。
2014年製作、アメリカのアクションスリラーです。

 

 

 

 

【あらすじ】
航空保安官のマークスは、過去のとある出来事から酒浸りの日々を送っていた。
いつものように一般客を装い、ロンドン行きの飛行機に乗った。
夜を迎え、マークスの携帯電話に差出人不明のメッセージが届く。
それは、「指定の口座に1億5000万ドルを振り込まないと、20分ごとに誰かを殺す」という脅迫文だった。

  

【ひとこと感想】
『密!!!』が詰まった模範的娯楽映画!

  

【3つのポイント】
①ハリウッドのド王道を突っ走れ。
②細けえこたぁいいんだよ。
③恐怖の描き方とそれに対するキャラの書き方。

 

【①ハリウッドのド王道を突っ走れ】

( ・ω・)<びっくりするほど脚本術のお手本!

これでもか! と娯楽の基本がみっちみちに詰まっていて、テクニックが大渋滞すぎて『密!!!』でした。見事なり。

手本①/大事な大事なコンセプト。

太平洋上空を飛ぶ飛行機内で殺人を予告されるという、いわゆる『一行で分かる面白さ』がありました。

手本その②/主人公のマークスがめっちゃ馴染み深い。

航空保安官というエリート的な立場でありながら、過去のトラウマで自暴自棄モード、いわゆる『現在は“殻”の中にいる人物像』です。
そんな彼が犯人に狙われ、徐々に忘れかけていた正義を思い出す。
そして自分を縛っていた過去と対峙し、乗り越える……
もちろん、トラウマの元となった『娘』に対する救済もありです。でら手厚い。

( ・⌓・)<この展開、どっかで見た……

( ・ω・)<進研ゼミ(※脚本術の教本)で見たやつだー!

と、胸中で大盛り上がりでした。

この脚本、絶対シナリオ入門とかSAVETHECATとか読んだ人が書いただろ。
ゆえに吸引力が非常に高い。いやー面白かった。退屈しなかった。

 

【②細けえこたぁいいんだよ】
もちろん教本そのまんまというわけではなく、ちょいちょい外してきます。

まず最初に起こった殺人はマークスによるものですし。
(不可抗力です。仕方なかったんや)

次に、第2の被害者の凶器がまさかの吹き矢でした。

( ・⌓・)<なんて???

めっちゃ笑いました。突然の吹き矢。しかもトイレにある操縦室を覗ける穴(?)から吹いた。どんな構造?

こんな感じでちょいちょい引っかかる点はあるものの、コンセプトと展開が面白いので細けぇこたぁいいんだよと英語で笑い飛ばされた気分に。力技にも程があんだろ。

 

【③恐怖の描き方とそれに対するキャラの書き方】
この映画の最大の特徴は、『主人公の追い詰められっぷりが容赦ない』です。

見えざる脅迫犯からのメール。
常に背後から監視しているかのような言葉がどんどん届きました。
緊張感がすごかった。

 

乗客がマークスに不信感を抱く状況。
味方であるはずの保安局からも「犯行を思いとどまれ! 今なら引き返せる!」と言われ、
テレビではさもマークスが犯人だと言いたげな報道が流れる。

募る疑心暗鬼、乗客の中に芽生える攻撃性、どんどんボルテージが上がり、ついには爆発します。
しかしさすがハリウッド映画の主人公、それらに対する反応は、

 

マークス:「俺に協力してくれたら一年間飛行機無料にする!」

   私:「ฅ(º ロ º ฅ) !?」

 

一筋縄ではいかねぇ。
周囲から「アル中の保安官め! おまえなんか信頼できるか!」と言われまくった末のキレ方が独特すぎた。

マークス:「そうだよ! 俺はクズだよ! でも乗客を守りたい気持ちは人一倍だよ!(乗客の一人を抑えつけながら)」

 

めっちゃ輝いてました。
追い詰められた時にこそ為人が出る……これもまた、進研ゼミ(※脚本術の教本)で見た気がします。
勉強になります。

 

【まとめ:伝えたいテーマは】
クライマックスでこの作品のテーマはセリフとして提示されていました。

 

「安全はこの国の最大の嘘だ」

 

( ・ω・)<そら2010年代に吹き矢で殺されるたぁ思わんわな。

 

でも今書いてて思ったんですが。

2021年4月現在だとこのセリフ、沁みますね。

『安全』などどこにも無い。
『自分だけは大丈夫』なんてことは絶対に無い。

 

画面の向こうのものだと思っていた『不運』や『不幸』が、
自分の死角に在る隣人だと、少し意識できた最近です。

ドラマ/ヒトコワ

アマプラで観たホラー作品シリーズです。
2018年製作、日本のホラードラマです。 

 

ヒトコワ -この女たち全員サイコパス- 1 [DVD]

ヒトコワ -この女たち全員サイコパス- 1 [DVD]

  • 発売日: 2019/03/01
  • メディア: DVD
 

 

 

 

※全力ネタバレです。
※あまり好意的ではない。

 

【あらすじ】
舞台は練馬区。そこで生活する人間たちの、怖い素顔。
(1話につき2部構成です。微妙にリンクしていて、謎解き感覚を味わえます)

 

【ひとこと感想】
途中までは「おっ」と思ったんだけどもな。

 

【1話ずつ5秒感想】
この話の主軸は、 

借金まみれの会社を相続したので自殺しようとしていた会社員が、なんやかんやあって妻と自分の伯父が不倫していたことを知り、妻と娘を殺そうとするけれど未遂に終わった。
十数年後、会社員は妻を殺して、ついでに娘も殺そうとしたけど本当は実の娘だったことが発覚。
なんか知らんうちに会社員はなんか死んだ。
その娘は成長して、サイコパスに狙われたけどなんか大丈夫だった。
ちなみに別にパッケージの女たちは全員サイコパスってわけじゃない。

でした。
最終話で全部説明してくれた親切仕様に乾杯。

 

 

①捨て子

捨て猫
猫ちゃんを犠牲にする以外は期待値が上がった1話目。変質者の描写はよかった。

『依頼』
解決策が大変回りくどい。死体を運ぶ方が手間だと思いますが、でもサイコパスって解決策がぶっ飛んでるもんだからなー。(例:悪の教典のハスミン)

 

②侵入者

『トイレの鍵』
なんでわざわざトイレで待ち伏せするのかが謎。

『隣の夫婦』
個人情報を聞き出す会話テクニックが面白かった。

 

③復讐者の誕生
殺し屋への依頼文を、「生まれてくる娘の父親を殺す」という形にするための会話が勉強になりました。

 

④看護師

『家飲み』
性描写あり。浮気した女への意趣返しでした。
でもこれ、見せつけたい相手が起きるタイミングを見計らっておっ始めたのかと思うと、コントっぽくて笑けますね。フフッ。

『遺言』
孤独な老人が若い看護師にデレるのがあまり早い。『それだけ寂しかった』ということかもしれない。ゆえに、そのデレが愛になり狂気になるのもカップ麺ばりに早かった。

 

⑤山田ハイツ

『姦』『隣のカップル』
2話と話の仕掛けが一緒やないかーい。
(隣人・知人の旦那や彼氏かと思いきや、恐ろしい犯罪者だったネタ)
(なんでベランダの鍵が開いてるの???)

 

⑥犯罪者

『盲人』『誘拐』
胸糞系マックス。子どもの親切心につけ込んで誘拐したら、その子どもは実は……な展開。

『車泥棒』
ウシジマくん的展開。

 

⑦助けを求める

『予告』
騙された男が今カノにフラれる時の、「優しいよね。だからこそ無理」と突き放す場面はよかったです。

『ゴミ漁り』
他人のゴミを漁るようなヤバい奴だけど人間として大切なものはあるようだと期待したらやっぱりヤバい奴だった、オチ。
この虐待されていた子どもは6話の子どもと同一人物なの? あのあと家に帰されたの? と謎が残る。

 

⑧うらぎり

4話とオチ一緒やないかーい。
(殺される側が実は彼氏を寝取っていたネタ)

 

【まとめ:邦画ホラーの悪いところが出ていた】
途中で匙が大暴投されてました。

 

ホラー業界ではよくあることかもしれませんが、個人的には残念でした。

意外なオチにしようという心意気は買いたい。だがそれはそれとして、5話〜7話は「蹴っ飛ばすぞ」案件すぎる。

1話の猫ちゃんの件は必要性を感じましたけど、それ以外がなーーーー。
どうにも恐怖や意外性のための安易な選択に思えました。いやはや残念です。

映画/うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

ムービープラスで録画したものを観ました。
1984年製作、ループものアニメの金字塔です。

  

  

※全力ネタバレです。

 

【あらすじ】
文化祭の準備のため、ずーっと学校に泊まり続けて準備をする諸星あたるたち友引高校の面々。
変わらずドッタンバッタン大騒ぎな彼らだが、文化祭の前日に、担任・温泉マークと保健医・サクラが気づく。
自分たちは、「文化祭の前日」をずっと繰り返しているのではないか……?

 

【ひとこと感想】
もう手の届かない、夢よりも遠い世界『観』。

 

【3つのポイント】
①騒がしい、ときどき幻想的、たまに恐怖。
②2021年の今では考えられない描写たっぷり。
ラムちゃん、『蚊帳の外』状態では?

 

【①騒がしい、ときどき幻想的、たまに恐怖】
うる星やつら観るの久しぶりだったんですが、ドタバタコメディが記憶のままで懐かしさマックスでした。
遅れて登場するラムちゃんがめっちゃ可愛かった!

教室からはみ出た面堂家の戦車(この部分がもうほんとに昭和のラブコメ)大砲部分の先端にちょこんと降り立つの、めちゃんこエモ可愛い。「来たー!」って感じ。

幻想的な描写も力が入ってました。
帽子の少女、風鈴の屋台、しのぶを見下ろす青年、宙を泳ぐ魚など、印象深い。

お気に入りは風鈴の屋台です。引き手がいないのにカラカラ動く。綺麗な悪夢って感じでした。

緊張感があったのは、真相に迫る温泉マークとサクラ先生のやりとり。
じわじわ恐怖を感じたのは、家に帰ろうとするのに、袋小路にばかり行く車や友引高校の最寄り駅に戻る電車。

うる星やつらの映画』として見れば、確かに異端だな、と思います。

 

【② 2021年の今では考えられない描写たっぷり】
さてこちら、私が生まれる前の映画です。

「えっ、マジかよ」と思ったのが、連日の泊まり込みでヘロヘロになった生徒や教師が保健室に駆け込む際に、サクラ先生が、

トランキライザー

を、処方していた場面。

 

( ・⌓・)<まじで?

 
昔の学校やばいな???
そもそも、文化祭の準備のために高校生が連日学校に泊まり込む、というのは今でもありえるのか。
自分の時代は1日だけだったように記憶しています。
(大学は死ぬほど泊まったけども)

男女が同じ部屋で雑魚寝、ってのもないですし、そもそものそもそも、ここまでがっつり文化祭(校舎改造レベル)をする高校は今でもあるのか。

特にこれからは某ウィルスのせいで縮小すると予想。そう考えたら、手の届かない夢みたいに思えてしまいました。

 

【③ラムちゃん、『蚊帳の外』状態では?】
全力でネタバレします。

ループの原因は、『「ずっとこんな楽しい日々が続きますように」というラムちゃんの願いを夢邪鬼という妖が叶えていたから』でした。

つまりラムちゃんが原因なんですけど、それにしては彼女が蚊帳の外すぎた。

原因を突き止めるのはサクラ先生と面堂で、夢邪鬼と対立したのはあたる。
一瞬、不満が生まれましたが、「ああ、これが皆の願いなのか」と思い直しました。

ラムちゃんの夢は、死ぬほど身勝手です。

友引町以外を消して、文化祭の前日という当日よりもずっと楽しい時間に大好きなみんなを閉じ込める。

恋路に邪魔な女たちは消して、
私が幸せに暮らす世界の支えになれよ、と望む。

身勝手だけど、めっちゃくちゃ可愛い願望です。
恋する乙女だからそういう部分がある。恋とは残酷なのだ。

でも、そんな可愛くて醜い願望を、ラムちゃんに自覚してほしくない。

ラムちゃんが、「こんなこと望むなんて、うちはヒドイ女だったっちゃ」なんて悩む姿は見たくないわけです。

 

見たくないものは、
見なくたっていい。

(※フィクションに限っては)

 

副題の『ビューティフル・ドリーマー』はラムちゃんのことです。
それはつまり、ラムちゃんに『ビューティフルドリーマー』で在ってほしい、という男たち(※概念です。私も含みます)の願いです。

って考えると、良い副題ですなぁ。

 

【まとめ:「やり直したい」こそタイムループの源】
さて敵対する夢邪鬼、すっとぼけた見た目の割にはなかなか鬼でした。
(というか声が藤岡琢也さんで驚いた。渡鬼の初代お父さんやんか)

あたるにラムちゃんが死んじゃう夢を見せて、夢の世界の素晴らしさをダイマするのが特に。 

 

「自分の作り出す現実と違いがない、楽しい夢の世界で思いどおりに暮らす方がいい」

「何度でもくりかえせる」 

 

この言葉、2021年現在の自分には突き刺さります。
去年、「もう2020年やり直そうや……」と何百回思ったことか。
世界中の人間がそう望めば実は可能なのでは、と空想します。

すべての人間――もしくは大多数の人間が竜宮城に行けば、100年も1秒だ。
時間とは何ぞや。現実とは何ぞや。

 

( ・⌓・)<……ならば

 

この映画において、「やり直したい」ともっとも願っているのは誰だろう?
それはたぶんこの映画を作った人、そしてこの映画を大好きな人たちでしょう。

誰もが胸に抱える『あの時』に戻ってやり直す、そんな叶わないからこそ美しい夢をもたらしてくれる――そんな映画です。

映画/罪の声

映画館で観てきました。
2020年製作、日本のサスペンス映画です。

tsuminokoe.jp



※全力ネタバレです。

【あらすじ】
テーラーの曽根は、父の遺品からとあるカセットテープを見つける。
それは、昭和に起こった未解決事件ーー食品会社への脅迫事件で使われた脅迫文の録音だった。
幼い子どもの声は、曽根のものだった。
一方、文化記者の阿久津は、脅迫事件の謎を追う企画の応援に駆り出され、脅迫犯の目的は身代金ではなく、相場を操作することだったと知る。


【ひとこと感想】
実際の悲劇はひどく静かで地味なものだと思い出した。


【3つのポイント】
①全体的に、静かでリアル。
②母親という偏見と幻想。
③その浅慮さこそが罪。

 
【①全体的に、静かでリアル】

( ・⌓・)<小栗旬氏が主人公なのに切った張ったの大暴れが無い!?

と、驚くぐらい絵面は基本的に地味です。派手なバトルシーンもなく、ひたすら人に話を聞き、主役の二人が東奔西走します。
それでいて物語がちゃんと進み、真相に近づいていくので退屈しなかったです。

また、舞台が大阪なので、見たことある景色にテンションが上がりました。特に中之島

ダブル主演なのでバディものかと思いましたが、あくまで「同じ事件を追う」だけの関係性でした。
その距離感がとてもリアル。
ぶつかって対立したりもしません。微笑みを交わす程度の、細い繋がり。
けれどそこが、『大人』って感じでよかった。それぞれにそれぞれの人生や生活があるというか、暑苦しくない『人とのつながり』を感じられました。

そして松重豊さんと古舘寛治さんが可愛かった。まじ清涼剤。

 

【②母親という偏見と幻想】
当時幼児だった曽根さんに脅迫文を読ませたのは、彼の『母親』でした。

その真相を突きつけられた時、自分の中にちょっとした反発心が生まれました。

犯人の一味である男性刑事・生島が、娘と息子に脅迫文を読ませたことについては、たいして何も思わなかったのに。

この反発心の正体を少し探ってみた。ら。

( ・ω・)<あっ、これ偏見だ。

と気づきました。

作中の重要要素である、昭和に起こった過激な学生戦争。
あの苛烈な場面の中に、曽根さんの母親はいたのです。
横暴な権力で父親を奪われた彼女は、理想の世界を得るために戦っていたのです。

私の中で、戦争というものには『男性的な』イメージがあります。

けれど。

すっぽ抜けてました。
女にだって怒りがある。
衝動的な、刹那的な、「こんな汚い世界ならぶっ壊れちまえ」という破壊願望がある。

世界を憎むその気持ちが、
成人しようが結婚しようが子どもを生もうが消えることなく燻り続けた怒りが、
曽根さんの母親に、「無関係で無辜で無垢な息子に犯罪行為を手伝わせる」という愚行を犯させたのです。

これは完全に、私の中にある偏見でした。
『母親』という生き物は、何があっても子どもを己のエゴに巻き込んだりしない、子どもを優先して考えるものだという偏見、何より幻想に抱いている自分に気づきました。

曽根さんの母親の名前は真由美。
それすら私は覚えていなかったのです。(wikiった)


【③その浅慮さこそが罪】
作品が示す『悪』を表現するのが、曽根さんの伯父である曽根達雄です。

彼はもう本当にどうしようもなかった。

私が一番怒りを感じたのは彼です。
こいつ何逃げてんだ、なんでイギリスのシャレオツな古本屋で悠々と隠居してんだ、とシンプルに憤りました。

彼は確かに、夫/父親の生島のせいで反社会団体(婉曲的表現)に追われることになった妻の千代子、娘の望、息子の総一郎の三人を一度は助けました。
けれど結局、母子三人は捕まり、軟禁されてしまった。
そのせいで、路地裏で隠れるように生きる羽目になった。

曽根達雄は、『助けたその後』を確かめることなく、「彼女らは僕のおかげで助かった、幸せになったんだ」と思い込んでいたのです。

一度も確かめることなく。
これを浅慮と言わずになんと言おう。

そんな彼は、阿久津さんに真相を突きつけられ、再び姿を消しました。

なんてやつだ。
まあ暴力で手っ取り早く世の中を変えようなんて考える人に、堪え性なんかないわな……などと思いました。

どえらい辛辣ですが、生島親子のことを思うと、どうしてもそう感じてしまいます。


【まとめ:浅慮な誰かの罪の代償は、いつも弱いものが背負わされる】
巻き込まれた生島親子の人生について、きちんとじっくり描写されたのが素晴らしい。
『事件』を扱った映画は、どうしても事件そのものに焦点を当ててしまうので、あまりこういう陰に覆われてしまう部分は描写されないからです。(あっても短い)

娘の望は、軟禁場所から逃げようとしたけれど死んでしまった。
彼女には夢があった。いつか翻訳者になりたい、そのために勉強したいと、諦めない姿が描かれていました。

息子の総一郎は、周りの人間に恵まれず、曽根さんが電話しなければ自ら死ぬところだった。
本来なら、彼は逃亡者のような人生を歩まなくてもよかったのに。
その事実を突きつけられた時の、絶望の表情が突き刺さります。

せめて総一郎が母親と再会できてよかった。

「望ちゃんの声が聞きたい」

 

泣いて抱き合う母親と息子の願いを叶えたのは、あの脅迫テープだったのですが、ーーここですよここ! 小道具の使い方がうまくて泣いた。
忌々しいはずのものが、救いになる。
とても好きな手法です。

ちなみにお気に入りのシーンは、
記者会見に臨む総一郎に、曽根さんが仕立てた素敵なスーツを着せる場面です。

たぶんこれまでの人生で、彼はオーダーメイドのスーツなんて着る機会がなかったんだろうなぁ。
『着るものの魔法』を目にしたような気がします。すごく好き。

悲劇とはとても静かで、地味で、見えづらい。
だからこそ悲しいのだ……とため息をついた、そんな鑑賞後感でした。

(読後感という言葉の映画版ってないのかな)

映画/コンジアム

アマプラで観たホラー映画シリーズです。
2019年製作、韓国のPOVモキュメンタリーホラーです。

 

コンジアム(字幕版)

コンジアム(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

 

【あらすじ】
7人の若者が、動画配信を目的にとある場所を訪れた。
場所は韓国最恐の心霊スポット・『コンジアム精神病院』。
戦時中は拷問施設、戦後は精神病院となり、大勢の患者が不可解な死を遂げ、院長も失踪か自殺したというこの廃病院は、閉鎖された後も幽霊の目撃情報が絶えない。
扉を開けたら必ず死ぬ402号室を主目的にし、彼ら彼女らの闇夜は深まっていく。

 

【ひとこと感想】
巧みな『引っ張り力』が光る、暗い部屋での鑑賞推奨心霊ショー。(韻を踏んでみた)

 

【3つのポイント】
①部屋の電気を消して観てみた。
②1:10くらいまでは『アイテム』と『予感』で引っ張る。
③1:10からは電気をつけた。

 

【①部屋の電気を消して観てみた。】
ここでひとつ告白なのですが、自分はPOV=主観映像のホラーが苦手です。 

酔うのです。_(´ཀ`」 ∠)_

ガッタガタに揺れるカメラを観ていると酔うのです。
なので、たぶん集中しきれないと踏んで、電気を消して強制集中状況を作りました。
そこまでして観たかった。前情報がよかったので、万全の状態で挑みたかったのです。

結果、その判断は大当たりでした。
( ・ω・)<やったね!

 

【②1:10くらいまでは『アイテム』と『予感』で引っ張る。】
こちら、プロットは非常に単純。

 『心霊スポットに金目当てで動画配信したら呪われちゃった』系です。 

昔々、ホラー界で『愚かな若者』が向かうのは『田舎でキャンプ』がセオリーでしたが、たぶんこれからはこのパターンが新たな『お決まり』になるんでしょうなぁ。 

けれどこの映画、1時間34分あるうち、なんと1時間は大したことが起こりません。
ひたすら廃病院の探検、再生回数を稼ぐためのやらせ、ほぼほぼ心霊現象は起こらないんですが、出てくるアイテムが怖かった。
 

特に以下のふたつ。 

①精神病院の、スタッフと患者の集合写真。
(なんでそんなん撮ったん? おすましして座る院長の隣の、人形を持った男性の表情が不気味すぎた)

②胸のあたりに謎の四角い穴が空いている箱。
(ロッカーなのか棺桶なのか)

 

この小道具が、「何か恐ろしいことが起こりそう」的感情を誘発させ、心霊現象が起こっていないのに怖いという状態を生み出していました。
これはお見事。また、人物たちの『影』がよい演出でした。
でも人物たちに対する好感度はゼロなので、途中で、「コイツらとっととひどい目に遭わんかな」などと思いました。

 

【③1:10からは電気をつけた。】
1時間を過ぎた頃からやっと心霊現象です。
ミッドポイントは1時間10分。
恐怖のあまり、外に出た女子ふたりが取り憑かれるところ。

詳しくは書けませんが、

電気つけました。

 

  [⊂二⊃]
    :
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    ∩  ∧_∧    
   (・ω・`)
   (          )

 

耐えきれんかった。
アレはダメだろう。画面も音声も心臓止まりかけたし夢に出るわ。

 

【まとめ:本作における心霊現象に対する所感(ツッコミ)】
ラスト20分の怒涛のように打ち寄せる心霊現象の数々に、思わず口に出してました。

「黒コンタクトやめろ! 黒コンタクトやめろ!」
「なんか内股で全裸の人いるんですけど」
「いや君ら(※動画配信の画面のサイドに、女の人が髪の毛で顔を隠した状態で椅子に座る画像があった)も動くんかい」
「襲われる瞬間って逆に怖くないよね」
「なんか後ろにいるんですけど」
「あーあの棺桶の四角い穴はそういう……ああ……」 

間違いなく怖かったです。楽しめました。
是非とも真夜中、真っ暗な部屋で、ひとりきりで観てください。

 

( ´∞`).。oO(ミステリ要素のないホラー久々だったなぁ)